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ライフ・アテンダント 人生の付添人  作者: アルシオーネM45
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第三章 第四部 十八禁かも

〇藤咲 或人 パートタイムのフリー・ライター

愛凜(あいりん) ライフ・アテンダント/或人の遠い先祖

〇ゆらり ライフ・アテンダント/愛凜の先輩アテンダント・友人

〇きらり ライフ・アテンダント/愛凜の先輩アテンダント・友人

第三章 第四部 十八禁かも


 玄関のドアを開け、愛凜も入れたであろうくらいの間をとって閉め、ロックした。

 帰ってきた姿を家人に見せておかなくてはならないので、キッチンへ行って冷蔵庫を覗き、スポーツドリンクのボトルを持って部屋に向かった。

 開けっ放しの居間で団らん中の老夫婦は、私を見ても別段反応することなくテレビを視続けている。

 ドアの前で待機しているであろう愛凜を気にしながら、急いで階段を昇る途中で、すでにドアが開かれているのが見えた。「?」と思ったがハイグレードモード装置をオンにして、自力でドアノブを廻して入室したのだろう。

 部屋に入るとすでに愛凜はいつもの『永遠の十七歳』姿になっていた。それはわかるが、隣に見たことあるような女の子がもう一人いる。

 「こんばんは」

 その子が挨拶した。

 「こんばんは。もしかしてきらちゃん?」

 「そうよ。今夜はちょっと雰囲気を変えてみました」

 「ああそう。かわいいよ」

 見たところ愛凜と同じかそれより幼く見える。髪を二つ結びにしているせいかもしれない。明らかに十四・五歳の設定だ。

 「今日はまた女の子おんなの子してるね」

 「愛凜が送ってきたRAINの中に、ちょっとロリった方がアルトの好みかも、て書いてあったからご要望にお応えしようと思って。

 昨日は初対面だったから、散歩の時と同じかっこうで来たけど」

 「いやいやいやいや ロリ好みじゃない。愛凜なんて書いて送ったんだ! 見せなさいRAINの内容」

 「プライベートの私信はお見せできません。

 きらちゃんかわいいじゃない。嫌いだったら違うかっこうに変わってもらう?」

 「誰が嫌いといったですか。別に似合ってるからいいですそれで」

 「やっぱり好きなんだ、こっち系。男の子なんだからいいじゃない、かわいい子が好きと感じるの、当然よ」

 ときらちゃんが言うと愛凜が

 「好みの幅が広いのよアルトは。中学生から自己年齢プラス十歳くらい年上まで。ね」

 「ノーコメント」

 「ほら、肯定したでしょ。別にいいのよわたしたちに隠さなくても」

 「肯定してない。ノーコメントと言うことは何も言わないということです」

 「じゃ今夜はこのかっこうで過ごします。今までのアルトにはありえないシチュエーションだよね。ふたりのロリ系女子と一夜をともにするなんて」

 「だから、誤解を招くようなセリフは言わないように! 誰か聞いてたらどーすんの」

 「大丈夫。誰が聞くのよ、こんなたわいないエロバナ」

 「そうだ、もうどうせだからゆらちゃんも呼ぼうよ。もうひとりロリが増えてもいいでしょ? ね、アルちゃん」

 「ご自由に」

 「やっぱり嬉しいんだ。男ってスケベだよねー。じゃあちょっと電話かけてみよう。愛凜、携帯かけてくれる?」

 なし崩し的にスケベ男にされてしまったが仕方ない。そもそも男はスケベなものだ。何を恥ずることがあろうかね!


 結局ゆらちゃんまで来ることになって、今夜も徹夜になりそうな塩梅だ。

 「ゆらちゃん、どんなかっこうで来るだろね、楽しみだねーアルト」

 「別に。オレは変身できないからみんながうらやましいよ。好きな衣装にさっと変われて」

 「アルちゃんはカジュアルだったら、明るい色系で揃えたらいいんじゃない?」

 「そうね。ファッションセンスは今一つだからわたしたちが指南してあげる」

 やっぱりセンスないのか。どうも衣類を買う時は、同じようなものばかり選ぶ傾向が私にはある。

 「お買い物はどうだった? いいものみつけたの?」

 「みつけたよ! きらちゃんとゆらちゃんにもおみやげあるから、あとであげるね」

 「わーありがとー! アルちゃんも楽しかった? 愛凜との初デートはどんなだったかな」

 「あ、ああ。楽しかったよ。私一人なら絶対に足を踏み入れないようなキラキラのお店に入れた」

 「パンコとかあの辺に行ったんだ」

 「そうよ。ほら、いま天陣はラドンが破壊して復興中だから、虹鉄天陣駅側のショップ廻りがメインだったかな。それでもたくさんお店に寄ってこれたよ」

 「そうなんだ。わたしもデートしたいなー 天陣で」

 「いつかアルトが連れてってくれるよ、きらちゃんをデートに」

 「ほんとお? なんか愛凜の彼を取り上げるみたいで、わたし悪女役」

 「何言ってんのよ。わたしとアルトは血縁関係があるから恋愛できません。それに住む世界が違うし」

 「なんでよ。住んでる世界、同じじゃない。わたしやゆらちゃんも含めて」

 「そっか。言われてみれば一緒だよね、ここにいるんだから」

 「それにさ、血縁関係って言っても、何世代離れてるの。同じ世代でもいとこ同士なら結婚できるのよ。あなたたち三百年は離れてるでしょ。もうほとんど他人と同じよ」

 「らしいわよ。ね、わたしたち恋愛関係になってもいいみたい」

 「いきなりそう言われてもだなあ……」

 「あら、アルちゃん、愛凜のことキライなの?」

 「いや、いやいやそーじゃない! むしろ……」

 言いかけた時、窓をノックする音が聞こえた。ゆらちゃんが来たらしい。助かった。

 窓を開け、数秒して閉めた。

 「いらっしゃい。急に呼び出してごめんね。わたし締め出されちゃって今夜も愛凜に泊めてもらうことになったの。

 せっかくだからゆらちゃんも呼ぼうよって事になったわけ」

 「そうなんだ。きらちゃんちは締め出し、よくあるもんね」

 まだ姿を現していないがゆらちゃんの声はする。

 「さあみなさん、特にアルトくん、お待たせしました。それではゆらちゃんに登場していただきましょう。どうぞー‼」

 意識体が実体化する際のまぶしい輝きが収まってくると、人体のシルエットが見え始めた。

 最初はぼやっとしていた輪郭が徐々にはっきりしてくると、ゆらちゃんの姿が見えてきた。

彼女が選択した今夜の衣装は王道のセーラー服。

 「おー」

 「きゃーかわいー」

 と他のふたりが騒いでいる。

 もともと幼っぽさがあるゆらちゃんが、今日は現役の女子高生あるいは女子中生と化して我々の目の前に現れたのだ。

 「似合ってるかしら。わたし本気のセーラー服姿は初めてだから、ネクタイの結び目とかちゃんと再現されていうかどうかわからない」

 「そんな細かいこと、どうだっていいよ。トータルでかわいい。ね、アルト」

 「か、かーいー」

 この部屋にJK/JCが三人。そして三十路男ひとり。通報されたら確実に任意同行だ。

 しかし現実はそれぞれ奈良時代・室町時代・江戸時代生まれの女子たちである。どう対応すればいいのかわからん!

 「とりあえず座ろうすわろうスワローズ優勝」

 みんなそれぞれの定位置に移動して腰を下ろした。私のダジャレには誰もツッコまない

 「でさ、今度ドライブ行こうって昨日言ってたじゃない。温泉にしない?」

 愛凜が切り出した。

 「いいわよ。別府行こうよ別府! 良かったよー」

 「きらちゃん、今日行ってきたんじゃない。そんなにおススメ?」

 「行ったけど別府八湯のうち、三つしか廻れてない。温泉巡りにも行けなかったし。

 ね、別府行こうよ」

 「わたしはいいわよ。ゆらちゃんとアルトは?」

 「いいわよ。温泉好きだし」

 「はい、いいです」

 「じゃあ決まりね! あ、それからアルトのたっての希望があって、四人で家族風呂に入らないかって。

 もちろん裸じゃあんまりだから水着着用で。水着はスク水がいいって」

 「いま愛凜が言ったことは全部愛凜の提案で私はなんら関与してません!」

 「そうよねー やっぱりスク水よね、ロリ好きなら」ときらちゃん。

 「スク水は鉄板よね、ロリ系LOVEなら」と愛凜。

 「わたしはスク水でいいよ。似合いそうだしロリコン受けするなら。あ、ロリコンって言っちゃった」とゆらちゃん。

 「あぁあ、気を使ってNGワードにしてたのに。ごめんねアルト。ゆらちゃんを許してあげて」

 もう言い返す気も失せた。

 「なんとでも言ってくれい! この際だから宣言します。家族風呂ではスク水とスクパン着用。それ以外は認めません!」

 「あ、開き直った。アルトは二重にはかないと目立つから二枚買わないとね」

 この子たち、姿かたちはJK/JCだが、話している内容は十八禁だ。

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