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ライフ・アテンダント 人生の付添人  作者: アルシオーネM45
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第三十二章 第四部 気を抜くとおばさん出ちゃうのよねえ

〇藤咲 或人 パートタイムのフリー・ライター

愛凜(あいりん) ライフ・アテンダント/或人の遠い先祖

〇きらり ライフ・アテンダント/愛凜の先輩アテンダント・友人 本名:上野紀こうずけきの

〇まりりん・ゆき 寿満寺学校二年生/愛凜の末娘

〇上野愛乃こうずけよしの きらのクライアント

第三十二章 第四部 気を抜くとおばさん出ちゃうのよねえ


 「じゃあそのよしのちゃん、だっけ? よしのちゃんの会社の友だちが教えたんだ。あなたの後ろに何か憑いているって」

 「そう。どうもその友だちがわたしの波長と合ってたみたいで、何か感じたんでしょうね。

 でトイレに行った時、その事を伝えたみたい。わたしもトイレまではついて行かなかったから、さっき愛乃から聞いて、初めてバレた原因の状況がわかったの」

 「よしのちゃんの反応はどうだった? 背後霊だか守護霊だかと相対して」

 「『怖がらないから返事してちょうだい』って言うから返事したらパニックになった」

 「そりゃまあそうでしょうね。なにしろ初めての霊との遭遇だから」

 「それがさあ、どうもむかしから何か居るってのは薄々感付いていたみたい。

 あの子が小さい頃の冬の夜中、わたしに静電気が帯電してモワッと光っている姿を見てるみたいだし、牛乳をコソッと飲んでいた時の冷蔵庫を開け閉めする音も聞いている。その牛乳の量が減っていたのも確認していたらしい」

 「しっかりした子じゃない。

 なんかいま聞いたきらちゃんの行動、わたしのお母さんと酷似してる。もしかして、けっこうおばさん系?」

 「……まあ、そうかもしれない。自分で自分の行動を話していて愛凜のお母さんのこと、思い出していた」

 「ゆき以外はわたしもきらちゃんもゆら姉妹もおばさん世代の経験あるから、自然とでるよね、そう言うのって」

 「できる限りおばさん要素は出さないように注意してるつもりだけど、ふっと気が抜けた時とか、ひとりと思って油断してるとおばさんになってる。永遠の少女性を持ったゆきちゃんがうらやましい」

 「早逝だったけど、今となってはそのことが良い方向に働くかもね。今度の針路変更にしても」

 「だよね。肉体は滅びても精神は永遠に若いまま未来に続く。ゆきちゃんと比べればわたしなんかおばはんもいいとこ……って、そんな話しをしにきたんじゃない! なんで暗くなってんのよわたし」

 「復旧が早いのもきらちゃんの良いとこだね。

 それでそのよしのちゃんはどんな子なの? 性格的に問題あり? なし?」

 「性格は問題ないと思う。ちょっと神経質で自分の世界に籠る癖がある以外は」

 「じゃあアルトとだいたい似てるじゃない。

 アルトは神経質ではないけど気を使いすぎるし、石橋を叩きすぎて叩き割る、歩く安全運転みたいなオトコだから、意外と気があうかもしれない、よしのちゃんと」

 「あるいは同じ磁極のように猛反発するか。でも一度会わせてみたら意気投合するかもしれない」

 「要はどんなシチュエーションで会わせるかだよね。ゆらちゃんたち、いい案を考えてくれてるかな」

 「ただいま」

 「え? なんでそんなに早いの?」

 「銭湯はボイラー整備とかで休みだった。ジョイ福は満員御礼で三組待ち。ゆきちゃんと相談して、一度帰って出直そうと言うことになった。

 そっちはプロジェクトの打ち合わせ、終わったの?」

 「アルくん、【プロジェクト×】のこと、知ってるの?」

 「知らないしらない。何らかのプロジェクトが進行中であることは知ってるけど、内容はぜんぜん関知してないから大丈夫。ゆきもプロジェクト名しか知らない。

 その聞きかじりのプロジェクトって何ってゆきがアルトに訊いたから、アルトもプロジェクトの存在を知ったの。だからこのまま計画は進行してもかまわないよ」

 「そうだったんだ。じゃあ本人が帰ってきたから打ち合わせはここまでね。

 一時間くらいたったらジョイ福行こうよ。久しぶりにチーズハンバーグが食べたくなったから」


 「ねえ、きらちゃん。早く帰らなくていいの? よしのちゃん、ひとりにしといて大丈夫?」

 「大丈夫。あの子はそんなに弱い子じゃないし、それにしばらくひとりであれこれ試行錯誤したいだろうから。

 遅くなるかもしれないって言ってきたし」

 「そう。じゃあいいけど。必要ならわたしも行って状況説明してもいいよ」

 「ありがとう。でも今のところはわたしだけで対応した方がいいと思う。力を借りたい時はお願いするかもしれないけど」

 「いいわよ。必要な時は遠慮なく言ってね。じゃあジョイ福行こうか!」


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