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ライフ・アテンダント 人生の付添人  作者: アルシオーネM45
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第三十一章 第三部 キャンパス見学

〇藤咲 或人 パートタイムのフリー・ライター

愛凜(あいりん) ライフ・アテンダント/或人の遠い先祖

第三十一章 第三部 キャンパス見学


 昨夜は彼女たちを銭湯まで送ってゆき、五時間ほどして「お迎えお願いします」とRAINが入り、帰りにジョイ福に付き合わされて、けっきょく帰宅したのが午前二時過ぎ。

 こんなこと、毎日続けていると大変だ。ここは強く出ておかなくては。

 「スパ銭はしばらく行きません! 行きたい人は自足歩行で出かけること!」

 「もう飽きたから行かんよ。アルトも行きたかったらひとりで行きなさいね」

 なんという飽きっぽさ! あれだけ騒いで遊んで飲んで食って『ここに住みたい』とか言っていた同じ奴とは思えない変心だ。


 「今夜は銭湯行かないんでしょ?」

 「行かない。あれ? もう飽きたんじゃなかったのかな、愛凜さん」

 「飽きたよ。だからわたしも今夜は銭湯行かない。

 その代わり、と言ってはなんですが、連れてってもらいたい所があるの」

 「ジョイ福? くま寿司? 資産うどん?」

 「んじゃなくてえ、もっとまじめな場所」

 「ジョイ福もくま寿司も資産うどんもまじめに食事する場所だが」

 「ゆきにね、夜学を見学させたいの」

 「ゆきちゃんに? と言うことは糸キャンパスに連れて行くのか」

 「そう。アルトが忙しくなければだけどね」

 「ゆきちゃんの進学に関わる事なら最優先事項だ。いつ行く? 今夜?」

 「今夜がいいでしょう。早い方が」

 「行こういこう。なんなら今すぐでもいいよ」

 「まだ昼過ぎでしょ。一般学生がうじゃうじゃいるじゃない」

 「何時くらいから夜学は開講してるの」

 「普通は夜の十時半から」

 「十時半か。じゃあ余裕を持って八時くらいには出発せんと」

 「でね、やっぱりクライアントにアテンダントが送ってもらっているところを目撃されるのはまずいから、九大学研都市駅付近で降ろしてもらって、あとはキャンパスまでタクシーで行くから、アルトは駅付近で待機していてほしいの」

 「それはかまわんけど、実体化して見学するの?」

 「いや、タクシー下りたら意識体に戻って学内に入る。夜学担当の意識体職員が通してくれるから」

 「意識体なら無条件で入れるんだ」

 「そう。基本的に誰でも入れるし入学もできる。入試はなし。あとは本人が授業について行けるかどうかでそのまま在学したり大学院に進む、あるいはレベルが高すぎれば転学して地元の国立に通うか。

 現生人とは違って誰にでも門戸は開かれている」

 「うらやましい! オレだって行けるものなら東大に行きたかった」

 「行ったじゃない、出雲日御碕灯台に。若い頃」

 「そりゃ灯台だろ。オレが言ってるのは東大」

 「だからトーダイ」

 「もういいから、じゃあ八時に出られるように用意しといてくれ。ゆきちゃんも」

 「はーい。帰りに【博多港西防波堤北灯台】を見てもいいよ。夜の灯台は見てると心が落ち着くよね」


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