第二十七章 第二部 議題:今後の配信の方向性
〇藤咲 或人 パートタイムのフリー・ライター
〇愛凜 ライフ・アテンダント/或人の遠い先祖
〇きらり ライフ・アテンダント/愛凜の先輩アテンダント・友人
〇ゆらり ライフ・アテンダント/愛凜の先輩アテンダント・友人
〇みらい ライフ・アテンダント/ゆらりの姉
〇萌絵未もえみ ライフ・アテンダント/ゆらりの妹
〇まりりん・ゆき 寿満寺学校二年生/愛凜の末娘
第二十七章 第二部 議題:今後の配信の方向性
「ゆらちゃん、またコミック増えたね。そろそろ新しい本棚を用意しないと」
「おねえちゃんが大人買いするから、三十冊/週のペースで増えてるよ」
「すごいね。そのペースだと年間千五百冊近く蔵書が加わっていく。その内重さに耐えられなくなって床が抜けるかも」
「だよねー。どこかに貸し倉庫借りて、そこを私設図書館にして管理するってどう?」
「それも考えないとね。でも通気性とか湿気除去とかしっかりしてないと、本はすぐ劣化するから、書庫専用貸し倉庫見つけないと」
「なんならアルちゃんちの庭に倉庫建てて、そこにエアコンつけて管理したら?」
「そりゃそれができるならベストだけど、そこはお金の問題が絡んでくるからね。オレにはそんな余裕も甲斐性もない」
「大丈夫よ。金銭的援助はわたしたちが何とかするから、アルちゃんは土地提供してくれたいいよ」
「まあそれくらいならなんとかなるかも。親には部屋が手狭になってきたんで、資料倉庫を造るとかなんとか言えばいいから。まんざらウソでもないし」
「じゃあちょっとその方向で検討しましょう。
で、今日のミーティングのお題はなんだったっけ」
「愛凜たちが始めた配信にゆらちゃん姉妹にもレギュラー出演してもらう件」
「あーね。なんでまた配信とか始めたの」
「愛凜とゆきちゃん母娘が温泉に泊まってて、トラベラーズ心理の気まぐれで配信したのがきっかけ」
「そうなんだ。毎日やってるの?」
「台風の日は配信を始めてすぐに停電して中止になったけど、それも含めて三日連続配信中。昨日はきらちゃんにも出てもらった」
「じゃあわたしたちが出るのも必然ね」
「まあそうなるだろうね」
「で、次回配信はゆらちゃん姉妹全員が登場、それぞれ自己紹介してもらって、その次の回からは日替わりメンバーで基本三人で回す、これでどう?」
「いいんじゃない。六人いれば話題も豊富だろうし」
「アルちゃんは登場しないの?」
「アルくんは出たくないんだって。女装して出ればそのスジの視聴者に受けるのに」
「腐女子会は推薦するよ。アルちゃん出てみたら?」
「やです。女子高生目当てで見に来る視聴者には、男は目障り。女装しようがコスプレしようが」
「そうかなあ。湯冷まし的にちょっと出てすぐフレームアウトすればいいと思うけど」
「いや、オレの出演は未来永劫ありえないから、その件は除外してください。
オレはプロデューサー兼ディレクター件BPOに徹する」
「BPO? なんでBPO」
「だって調子に乗ると何言い出すかわからない恐れがあるから、それに歯止めをかける役割が必要でしょ」
「大丈夫よそんなこと。わたしたちを何歳だと思ってんの? 亀の子より年の功って言うでしょ」
「亀の甲ね。まあそれはオレより年齢的には大大大先達だけど、意識体になったら年齢は関係ないって言ってたよね。だったらみんなが生きた時代と現代の価値観はぜんぜん違うから、昔はOKでも今はまずい話題だってあるし。それを見極めるのがオレの役目」
「その逆もあるよね。当時は口が裂けても言えなかった聖徳や平や源や織田や豊臣や徳川の悪口雑言ウラ話を、面白く味付けして言っても問題なし。だよね?」
「それは問題ない。むしろ当時の話しはどんどんやって。でもあくまでみんなは今の時代に生きる女子高生の設定だから、歴史にに詳しい歴女として語らないと」
「そこはむずかしいけど、なんとか尻尾を出さないように上手に言います」
「じゃあそう言うことで話がまとまったので、今日のミーティングは終了します。よろしいですか、みなさん」
「あれ、愛凜が議長だったの? てっきりアルくんだと思ってた。愛凜なんにも言わないし」
「そう。議長は聞き役にまわるのです。次のミーティングではきらちゃんに議長をお願いします」
「あ、はい」
「ではみなさまのご賛同を得たと言うことで、拍手!」
「888888888」
「ではミーティングはこれで終了します。次に懇親会!」