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ライフ・アテンダント 人生の付添人  作者: アルシオーネM45
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第二十六章 第一部 配信二日目

〇藤咲 或人 パートタイムのフリー・ライター

愛凜(あいりん) ライフ・アテンダント/或人の遠い先祖

〇まりりん・ゆき 寿満寺学校二年生/愛凜の末娘

第二十六章 第一部 配信二日目


 ≪窓開けてください≫

 ゆきちゃんからRAINだ。帰ってきたらしい。窓を開けると

 「ただいまあ。アルトさん寂しくなかったですか?」

 「すっごい寂しかった」

 「そうですか。きらさんが居たし、吞んで騒いで口説きあったんですね」

 「吞んで騒いだけど口説きあいはなかった。きらちゃんとはそんな雰囲気にならない」

 「そうなんですね。なんとなく想像できます」

 ゆきちゃんがどんな妄想しているかは判らないが、まあいい。

 「お母さんは?」

 「お母さんはコンビニによって、夜の配信で食べるおやつを買い込んでいます。おみやげもあるから外で待っててって言ってました」

 「ああそう。じゃあちょっと下りておこう」


 玄関を出て通りに出ると、あっちの方から愛凜が両手にショッパーを下げて歩いて来ていた。

 近くの神社の参道に入り待っていると、えっちらおっちら歩いてきた愛凜が

 「はいこれ」

 と言って荷物を私に手渡した。と同時に姿を消し

 「さあ帰ろうかえろう。疲れちゃった」

 「そりゃあんな遠くまでバスと電車とDENCHAを乗り継いで往復したら疲れるわ」

 「ひとりごと言いながら歩いてると変人と思われるよ。変態の上に変人になったら友だち減るからやめて」

 「うるさい。元々友だち少ない。あと変態じゃない」

 「ばらすぞ性癖」

 参道から通りに出たので会話は中断した。


 「ほんとに今夜も配信するの?」

 「するわよ。旬を逃すと売れ線に乗れないからね」

 「誰に売るんだよ。公式じゃないから梅干ししか飛んでこないし、イベントにも出られない」

 「別にプロを目指してる訳じゃないし、面白いからやってるだけ。意識体界から軟弱なる現生人に新風を送るのだ」

 「なんで使命感に燃えてるんか? そりゃそうと、きらちゃんもえらいその気になってるよ。

 くれぐれも正体バレないようにしてくれよ」

 「わかってるけど、正体を明かしたところで誰も本気にしないし、むしろ幻のアイドル化してフォロワーが増えるよ。

 スポンサーがついて副収入になるかも」

 「副収入って、本収入がないのに副って言わないんじゃない? それにゆきちゃんは校則に引っかからないの? こんなのに出て。顔バレしたらやばいっしょ」

 「顔バレ? 学校に? そもそも学校では実体化しないし、同級生も教職員の顔も知らないんじゃない? だから偶然配信を見られたとしても誰も気づかない」

 「でも『三者面談』だったんだろ。面談ってのは顔を突き合わせて進路や成績のことを話すんでしょ?」

 「それは漢字面はそうだけど、意識体は顔見世なし」

 「じゃあまあそれは良しとして、二日続けて配信するならちゃんとネタとか企画考えとかないと」

 「考えてるよ。今日はコスプレでやる」

 「二回目でもうコスプレかよ! なんのコスプレするの」

 「わたしはナース、ゆきはゴスロリ、きらちゃんは男装の麗人」

 「衣装はあるのか? ハイグレ・モードでも衣装の細かい線を再現するのはむずかしいんだろ?」

 「だから今から呑気皇帝につれて行って」

 「きらちゃんは?」

 「きらちゃんは自前の男装セット、持ってる」

 「さすが両刀……二刀流だ」

 「じゃあゆきを呼んでくるから、すぐ出られるようにしといて」

 「オレは本格的にスタッフ扱いだな」


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