投稿した時点でその作品は成功したと断言する!
日々執筆活動に励んでいて常に付き纏う問題。それが奴ら、総合ポイントという悪魔だ。
奴らは次話投稿しようと自分の小説にアクセスする度に顔をみせやがる。
真っ赤な数字が目の横に映る。昨日と同じ数字だ。少し前に投稿したはずだが変化なし。何か駄目だったのかと思って何度も読み返す。分からない。チラチラとポイントばかりが顔を見せる。
初めて投稿し出した時はこんな感情はなかった。寧ろ自分の作品にアクセスがあって、ブックマークしてくれて、偶々評価してくれたのが何より嬉しかった。
人間というのは貪欲な生物だ。一度手に入ると益々欲しがってしまう。ブックマークが飛んだ日には僕の魂も飛びそうになった。おかげで僕はこのポイントの悪魔に屈しそうになった。
だが、最近になってようやく考えを変えることが出来た。それはなろう内に溢れる様々な小説やエッセイのおかげとも言える。
皆の作品を読んでいると不思議と元気が沸いてくる。ああ、この人も同じ土俵で戦ってるんだなって思える。
どうも、狸座衛門です。最近エッセイを読むのにハマっています。人間臭さがどのエッセイにも如実に出ているのが面白いです。
応援エッセイには元気を分けてくれましたし、文法や日本語の指摘のエッセイなども非常に助かっています。言い方に棘のある人も至極正論を伝えていたりしますし、本当にエッセイって面白い。
それで色んなエッセイを眺めているとどうもブックマークが100未満の作品は底辺と呼ばれているそうです。とはいえ、ブックマークが100を超えると上位5%の仲間入りにもなると呼ばれ、何とも変な感覚ではあります。
ではブックマークが100未満の作品はつまらないのか?
そんなはずはないっ!
はい、自分に言い聞かせてます。僕の作品は未だにその領域に到達できていません。
ですが、ある時思ったんですよ。そもそもブックマークがつく方が稀なのでは、と。
ここで1つ余談話を。
僕の知り合いに大学の教授を辞めて農家になったTさんという方がいます。
夫婦で野菜と果樹を育てていて、僕も何度かバイトで手伝いに行ったこともあります。
とても温厚で人柄の良い人です。帰りに毎回袋一杯に野菜くれて、時給もいいとか何事ですよ。
それはさておき、そんな大学の教授という優れた頭脳を持ったTさんですが、なんと農家になった初年度は大失敗して売り上げがほぼ0だったそうです。
その時は野菜しか作っておらず、果樹は最近になって手を出したのだとか。
何故失敗したのかと聞くと、誰も知らないような変わった野菜ばかり作って売っていたとのこと。本人曰く、
「周りと同じ物作ってもつまらない。どうせなら奇妙な野菜を作ろう」
と考えてたそうです。如何にも教授らしい発想ですが、これが裏目になったのは言うまでもありません。
僕の住んでいる所は所謂高齢化の町で住んでる人の大半は高齢者です。そんな高齢者ばかりの所に未知の野菜が放り込まれても、誰一人興味を示さないそうです。逆に若い人は「何だこれ」ってなってチラホラ買ってくれたそうですが。
まず前提として、野菜を買うというのはつまり調理をするということです。それがどんな野菜であれ、献立として出てくるはずです。ですが、未知の野菜となればそもそもどうやって調理するのか、どんな料理に使うかから調べなくてはなりません。最近ではクックパッドなりで調べたら簡単に出てきますが、年寄りの多い町ではそう簡単でもありません。
ジャガイモならカレーなりポテトサラダなり味噌汁なりすぐに用途が分かるものの、教授の作った野菜は用途不明な物ばかり!
結果売り上げ0! 悲しすぎる! (正確には国から農業次世代投資資金というのが貰えるので全くの0という訳ではありませんが)
さて、勘のいい読者さんなら僕が何が言いたいか分かるでしょう。
そうです、これってなろうに掲載されてる小説にも同じことが言えると思うんですよ。結局の所、市場に物を出すというのは買い手という読者の存在があってこそ成り立つんです。その読者の需要を満たしたものが人気小説になっています。
(とはいえ僕はまだ市場分析が見えていないので手探り状態です)
では需要を満たせないから面白くないのか? そんなはずはないっ!
ブックマークや評価がつかなくても、それって全然落ち込むことじゃないって最近思うんですよ。
仮になろうで、自分の作品という商品を買ってもらうのがブックマーク、チップという名の応援、立ち止まって手にとってくれるのがPVと考えた時、自作品の見え方がちょっと変わったんですよ。
「あれ、自分の作品結構売れてるな?」
考えてみてくださいよ、あなたの作品がこの日本中のどこかの誰かがブックマークして本棚に入れてあるって考えたら凄くないですか? 自分の作品を買ってくれてどこかで読んでくれてるんですよ! もしもあなたの作品が未公開のままだったら、その作品は一生誰の手にも止まらなかったし、読んでもくれなかったし、買ってもくれなかった。
あなたは誰よりも一歩前に進めているんですよ! 買ってくれた上に誰かがお礼としてチップまで置いていってくれたんですよ!
いやぁ、すごい。そして僕の作品にブックマークや評価をしてくださった方がいましたら、ここでお礼申しあげます。ありがとうございます!
とはいえ、執筆活動を続けるというのは中々に大変です。休みの日に「書くぞー」って意気込んでも全然書けず、逆に疲れきった平日にキーボード叩いていたら案外良い物書けたりと不思議なものです。
もし、今執筆に意欲がなかったり、モチベーションが低下していたり、エタりそう(作品を完結できない)と思っている方がいたなら言います。
あなたの作品はあなただけのもの。また書きたくなったら書けばいいし、無理ならエタるのも道なんじゃないかなって思います。
ここでまた余談話。僕が学生時代に書いていた古い小説がPC内のフォルダに残っていたんですよ。それを偶々読み返していたんですけど、今とは文体や表現も全然違くて何より当時の自分の趣味をこれでもかってくらい詰め込んであって笑いました。今も変わらないんですけどね。
あらすじを要約すると現代風の世界でゾンビが溢れて主人公が刀と銃を片手に戦うというダークな話です。
読んでいて一番酷かったのが、主人公と6人の船乗りが何とか難破した船から脱出するものの敵国の武装勢力に捕まるシーンです。敵の幹部みたいのが現れて船乗りを殺していき、最後に主人公に向かって「残るはお前だけだ」と言い捨てます。
だがどうもおかしい。何度読み返しても殺された船乗りは5人だけだ。1人どこいった? まさかのミステリーか? 1人は敵国のスパイだったのか? 主人公が幻覚で1人多く見ていたのか? 有り得る。序盤で仲良くなった兄妹が泣く泣く死んでしまい、あれから主人公も病んでいた。知らぬ間に兄妹の亡霊でも見ていたのか。
それならもう1人足せよ! アホか!
と夜遅くに1人でツッコミを入れてました。無論その後も船乗りの謎は明かされず、しかもエタっているという。幸いにもプロットには完結までの流れを書いてあったのでその後の展開が把握でき、満足できました。
そう、満足できたんですよ。馬鹿みたいな内容だなって思いながらも、やっぱり当時自分が好きだったのを詰め込んであったのでのめり込んで読んでました。
皆さんは今どんな小説を書いているでしょうか?
ファンタジー小説? 恋愛小説? VRゲーム? ミステリー? ホラー? 日常系?
作者みたいにエッセイを書いているかもしれませんね。
どんな内容にせよ、それはあなたが生み出したあなただけの小説です。今は色んな感情が混ざってああだこうだ感じるかもしれませんが、何年も経ってから「あぁ、こんなの書いてたな」って読み返して当時の心境を振り返るのも面白いですよ。
文脈がおかしくても、文章が稚拙でも、設定に矛盾があろうと、きっと笑い飛ばして読めます。
例えエタったとしても、あなたが書いて残したあなただけの小説を大切にしてください。悩むなら好きを全部詰め込んで派手にいきましょう!
ではでは、ここまで読んで頂きありがとうござました!