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共感性原理主義の概念なんて無かった(マジで無かった)

「でだな、こう表面上相談的な体で話してくるわけ」


「ふむふむ」


「ここで注意なのが、解決策アドバイスの類はNGだ」


「え、なんで」


「言ったろ、あくまで相談って体なんだって。要は愚痴聞いて欲しいだけだったり共感して欲しいだけなんだよ」


「さじ加減がわかんないな」


 紆余曲折あったが、俺は佐久間による【女子は共感を求めている】の授業を受けていた。


 てか共感って何。俺男相手ですらしたこともされたこともないんだけど。


「まぁなー。俺も前、千花に相談があるって言われて、どうせいつものだろって話半分に聞いてたら」





回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想





『って感じなんだけど。……洋くん話聞いてる?』


『うん、聞いてるよ』


『どうしたらいいと思う?』


『え、うーん』


 やばい、全然聞いてなかった。何の話してたんだっけ。


『このままだと私マジ闇病みになっちゃうかもしんなーい!』


『……千花』 


『うん?』


『俺にはこうしろって言える案は出せない』


『え……?』


『でももし千花が取った方法が間違ってても、俺は千花の味方だよ!』


『洋くん……』


 ふぅ、なんとかごまかせたか。

 危ない危ない、いつものことだと思って油断してたな。


『いや、てか映画どっち見るかの話でそんなガチトーンの返しとかウケる』


『え?』


『ぶっちゃけ洋くん、話聞いてなかったよね?』


『え、え?』


『もういい、別れる!』


『ちょ、千花待って! 違うんだ、千花? 千花ー!』





回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想―回想






「ってな事があってな、あれはマジで焦ったわ」


「いやそれは純粋にお前が悪くね?」


「すぐ別れる云々言い出すからな、気をつけろ?」


 てかお前の彼女そんなんだったの?

 なんかもっと大人しめの、小動物みたいな子想像してたわ!

 

 ガチよりのギャルじゃん、怖っ。

 

 喋り方からして俺とは相容れない、って言うか。


「お前の彼女と佐々木さんじゃタイプが違いすぎて参考になんないわ」


「あ、やっぱり? 俺も途中から薄々わかってはいた」


 んだよ無駄じゃん! この時間全部無駄じゃん!

 何が【女子は共感を求めている】だよ!

 共感して欲しいならそれらしく話せよ!

 行間を読め、みたいなまどろっこしい無駄に凝った言い回しの小説みたいな話し方すんな!


「もうさ、本人に言ったほうが早い気がするわ」


「え、何て言う訳? 俺、今まで付き合ったことは愚か女子と話す事すらまともにした事の無いクソ童貞ですって叫ぶわけ?」


「それ言える勇気と根性あるならもうちょっとマシな会話を頑張るわ……」


 そもそもそんな事叫んだら、次の日からあだ名が【キングオブ童貞】になってクラスでハブられてイジメられるわ!


「でもまぁ、本人にってのは案外悪くないかもな」


「だろ?」


「あぁ、佐々木さん男友達とか多いし、下手にうじうじするよりはリードしてくれるかも」


「いや、それはそれで男のプライドが」


「んなもん池の鯉にでもくれてやれ」


 酷くない? 俺のプライド鯉の餌と同程度なの? 童貞だけに?

 てかさっきからなんか当たり強くない? なんで?



「後は前カレと比べられたりするかもだけど、そこは我慢かな」


「……は? 前、カレ?」


「彼氏だよ、前付き合ってた彼氏」


「いたのか!?」


「知らねーよ、ってか近ぇ! あの佐々木ちゃんだぞ? 居なかったって方が不自然だろ」


 思わず前のめりになってしまった。おちつけ、おちけつ――


 ――うん、そりゃあんだけモテるんだし、確かに不自然だけど。


「俺としては初カレが良かったな……」


「初カノが佐々木ちゃんな時点で十分すぎんだろ、贅沢言ってんな」


 でも、そうか。

 

「佐々木さんも男を知ってるのか……」


「おい、その言い方だと別の意味に聞こえるからやめろ」


 そこはかとなくショックだ。


「佐久間、俺は女が信じられなくなりそうだよ」


「お前はまず関わることから初めないとな」


 オウフ、これは一本取られましたな、フォヌカポォ。


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