大きな壁
あの出来事から一週間がたった。あれは本当に現実だったのだろうか。今でもよくわからない。
あれから上野は何もなかったかのように振舞っている。この一週間俺は何もしていないのだ。あれからの変化といえば上野がいつの間にか俺のことを拓くんって呼んできはじめたことだけだ。よし!今日ちょっと上野に聞いてみるか
ふぅー、やっと放課後だ。
「おい上野、ちょっと来てくんないか?」
「うん、いいよ。」
俺と彼女は教室を出て二階の階段の隅に行った。
「どうしたの?…っていっても多分勇者様関連のことだろうけど」
やはり夢ではなかった。そう思いながら俺は言った
「ああ、そうだ。この一週間何もしてないけど勇者を探しに行かなくていいのか?」
彼女は少し俯きながら言った。
「実はね…敵があらわれたの。」
「て、敵?もしかして魔王の手下とか?」
彼女はとても意外そうな目で見つめてきた
「よ、よくわかったね。」
「いや、これくらいはいくら俺でも予想できるさ」
少しバカにされたような気がした。心外である。
俺はそんなにバカではないぞ。ほ、ほんとだからね
「それでね、私たちがこの時代に来たのと同じようにして、魔力の高いやつらが魔王の生まれ変わりを探してこの時代に来たのよ。それと実はまだ敵がいてね、それは私たちの時代の神さまなの」
・・・う、嘘だろ……神様だって!?そんなの俺の中で敵にしちゃいけないランキング、トップ3には入る存在だぞ
「神さまだって!?そんなの勝てるのか?」
そうすると彼女は自信満々の顔で答えた
「今のこの状態で戦ったら50パーセントくらいだからいけるんじゃないかな!」
(・・・その自信はどこから出てくるのだろうか)
「というか、どうして神様が敵なんだ?」
「それは私たちが超えてはいけない壁を超えてしまったから。要するに強くなりすぎたんだよ。この時代に来ちゃって制御できなくなってきたから完全に制御できなくなる前にもう始末してしまおうって魂胆だろうね」
「やっぱり早く勇者の生まれ変わりを探さないとな」
俺がそう言うと彼女は手のひらをポンと叩き、と何かを思い出した感じで言った
「そういえば私場所特定の魔眼を持っていて未来を見れるんだった」
俺は驚いたがすぐに嬉しくなった。勇者を手当たり次第探していくとゆうことはしなくても良いということだからだ
「調べてみてくれ」
「わかった。はぁぁっ!」
彼女は目をつぶった
「この魔眼で勇者様の生まれ変わりはどこにいるかがわかるはず!」
「それはどこだ?」
「…ん?嘘でしょ?…この…学校って……もしかして…うちの高校!?」
「・・・え?ほ、本当にうちの高校なのか?」
彼女はその質問に対して即答した
「間違いない、これはうちの高校だよ。」
驚きはしたが、少し嬉しかった。なぜなら勇者を探しに遠くまで行かなくてもいいからだ。
「そういえばもしうちの高校の中で見つけることができたとしてもどうやって記憶を戻すんだ?」
すると彼女は3秒くらい考えてから言った
「これまで勇者様は何回か転生してるらしいんだけどね、誰かを守りたいって本気で思った時に記憶と能力が戻っているらしいのよ。」
「へぇー、じゃあそれってこの時代じゃ難しいんじゃね?」
よく考えればこの平和な時代でそれを成し遂げるのはとても困難である
「そーだよね。そこが問題なんだよね……まっどうにかなるでしょ!」
(あれ、上野ってこんなに楽観的だったっけ?…まっいいか)
こうして俺の勇者探しが本格的に始まった。