いざ石山城へ
今になり気になっていたことが一つ解けた。
ここは天正4年(1576年)であり、確実に過去の時代だということだ。
別に昔に来たことを疑ってた訳ではないですよ。
もしかしたら大掛かりなドッキリとか決して考えてませんでしたからね!
まぁそのことは置いといて城までが非常に遠い!
言われた通りに呉服屋からでも見えていた丘陵にそびえる城を目指し歩いているがなかなか辿り着かない。
今、丘の手前に着いたところだ。
ここまでくる途中、城下町を見物していたらもう太陽は真上だよ!
遠いとは行ったが全部自分が悪い!
暗くなる前に帰れるかな……
「それにしてもこの袋……落としたらどうしようかな……」
呉服屋を出る前に渡されたのは商売用の和服とずっしりとした重みがあるこの袋。
この袋が何かというとお金だ。
宇喜多家お抱えである魚屋家は収入から軍用金を渡しているようだ。
軍用金とは言っているが先行投資と同意義といっても過言ではない。
商人とは儲かるために金を使うものだ。多分……
学生のまま死んだのにそんなことわかる訳ないよね!
まぁなんにせよ、とてつもない人物になってしまったな……
平々凡々な生活を送れるだけでもよかったのに……
「やっと着いた!」
そこまで標高が高いわけでもなかったので予想以上に早くたどり着いた。
これが石山城か……
やっぱり城はでかいな。
「そこの者止まれ!」
急に大声が聞こえたのでびっくりしてしまった。
声の主は眼前に見える門番の者であった。
あぁ、これは多分怪しまれてるんだろうな……
「私は呉服商の魚屋と申す者です」
予め九郎右衛門から聞いていた通りに言葉を発した。
本当に大丈夫かな?もしかしたらいきなり斬られるんじゃ……
「しばし待たれよ」
そう言って城の中へと消えていった。
っていうよりもいきなり声を出すなよ!
斬られるかもって焦っただろ!
数分してから先ほどとは違う人物が現れた。
「今から直家様の元へ案内しますので着いて来て下さい」
直接会うの?
まさかそんな事になるなんて聞いてないぞ!
心の準備なんて出来てないのに!
早く帰りたい!
そう心の中で考えながらも城の中へと連れていかれるのであった。