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始まり

 病気で死ぬことになるとは夢にも思わなかった。

 まだ成人にもなってないのにこの仕打ちとは世の中は本当に不公平だよな……

 悔いばかりが頭の中をぐるぐるとかき回す。

 もっと生を実感できるような満足できる人生を送ってみたかったな……






 「弥九郎やくろうとっとと起きろ!仕事の時間だぞ!」


 陽光が部屋に差し込み自分の顔に当たる。

 そんな中、男の野太い声が部屋中に響き渡る。

 弥九郎って誰のことだ?

 それに何で生きてるんだ?

 いろいろ考えを巡らしているうちに布団を剥ぎ取られ叩き起こされた。


 「早く起きろ!飯は用意ができているから食べに来いよ」


 そう言い残して男は部屋を出て行った。

 騒がしい人だな……

 ってあの人誰!

 あんな人見たことないけど。

 

 それにこの部屋も見覚えが全くないんだが……

 ついさっきまで消毒液の匂いが漂う真っ白なシーツの上で寝てたはずなんだけど!


 木造建築の家であり畳の香りがする部屋に一人寝ていたようだ。

 それにしても一人の部屋にしては広い。


 「取り敢えず移動するか」


 起き上がろうとしたが凄く動きにくい。

 自分の服装を確認してみると和装に身を包んでいた。

 勿論この状況には身に覚えがない。


 今思い返して見たが部屋に入ってきた人もどこか昔の人のように見えたが……

 そうだ!外の様子を見てみよう。


 思い切り窓を開けて外を見たがそこに広がっていたのは城下町とでも言うべき古い町並みである。

 あれ?この街は一体いつの時代なんだ?

 コンクリート?そんなものは存在しない。

 アスファルト?いや、全て土だ!


 「何なんだよ、ここは……」


 夢だと思い頰をつねってみたがとても痛い。

 うん、どうやら現実のようだ。

 ぐぅ〜とお腹が鳴った。

 ま、まぁ取り敢えずご飯にしようじゃないか。


 居間のような部屋には豪華な食事が並んでいた。

 白米に味噌汁や漬物は普通だが、でかでかとした鯛が皿に盛りつけられていた。

 どうやらこの量で一人分らしい。


 正直に言おう、多分自分の家よりもお金持ちだ!

 何?この贅沢なご飯!

 朝食とは思えないほど豪華だ……


 「早く座れ、お前が来ないと食事を始められん」


 どうやら皆は自分を待っていたようだ。

 まさかこのような事態になるとは思わなかったがこんなに贅沢が出来るならこのままでも良いかもしれない……


 聞きたいことは沢山あるが、先ずはこの美味しい食事を摂ることに専念するのだった。

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