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7話


とある屋敷の一室


「どういう事だ!あの店がやっていないだと!?」


一昨日、行った見た事もない食事が出る店で追い出され、恥をかかされた

その仕返しをしてやろうと、その辺にいるガラの悪い連中に金を握らせたのに、やっていないだと!?


「どういう事だ!?」

「それが、食材が無くなったようで休業をしているらしいのです」

「だったら店ごと潰せば良いだけの話だろ!!」

「そ、それが」

「まだ、何かあるのか?」

「調査してみれば、そこにリョーガと言う者が居るらしいのです。そいつはあのオーガを単独で撃破するという偉業を成し遂げた者で、もしその者が本当に居るのであれば…」

「そんな事は聞いていない!あの店は私に恥を掻かせたんだ!あの鍛冶屋みたいになって当然だろ!」

「はい」

「だったら潰せ!そうだ!もう1人居たやつを捕らえて人質にしてから売り飛ばして仕舞えいい!そうしろ!そして、そのリョーガとやらも殺せ!」

「はい!わかりました」


あの店を調査していた私兵はそう言い残してすぐに出て行く


「ふ、ふははははは!この私に逆らうからこうなるのだ!自分の行った行為を後悔しろ!ははははははははは!」


静かな部屋に笑い声が響き渡る



○○○○○○○○○○



私は走っている

何故走っているかと言うと


「こっちに行ったぞ!」


追っ手がいるから


ドンッ


「す、すみません!」


誰かに当たっちゃったけど、頭下げて謝ってからすぐに横の路地へと向かって走る


「待てよ」

「キャッ!」


背後から肩を掴まれた

もしかして、追っ手!?


「逃げるんなら上の方がいいぜ!」

「へ?ウキャッ!」

「ははは!変な声だな!」

「あなたが急に持ち上げて飛ぶからでしょう!」


なんなんでしょうこの人は…

珍しい髪と目をして大きな剣を担いでいる人です


「おい!どこ見てんだ?」

「え?あ!すみません!でも、どうして?」

「ん?知らん。何となくだ!」


手を突き出して親指を立てています

変な人です


「何処行った!?」

「探せ!近くに居るはずだ!」


下で追っ手が探しています


「やっぱりお前追われてたんだな」

「確信が無くてあんな事するんですか?」

「俺の勘が俺の確信だ!」


やっぱり変な人です


「お前、こんな所で何してるんだ?」

「そ、それは…」

「まー、どうでも良いや。俺は行く所あるから気を付けろよ!」


変な黒い人が立ち去って行きました

でも、どうしましょう…屋根から降りれません


と、兎に角、追っ手が来るかもしれないので此処から離れましょう!



此処までこれば大丈夫でしょうか?

もう夕方です

私は周りを確認しながら屋根を移動しています

降りれそうな所が見当たらないのです

どうしましょう……


「何してんだ?」

「へ?……もしかして先程の黒い人ですか?」


声の掛けられた方へと向くと先程助けてくれたけど屋根に置き去りにした黒い人が居ました

けれど、先程の人とは少し違うような気がします


「黒い人?何の事だ??」


何でしょう?もしかして自分の髪や目が黒い事に気付いていないのでしょうか?


「えっと、髪と目の事なんですけど…」

「あぁ、これの事か。これは仕方ないよ生まれつきだからな」


黒い人は髪を弄りながら私に言ってきます

そう言えば、先程会った人とは髪型と顔付が違いますね


「所でさ、何で屋根の上なんかに居るんだ?」

「えっと、降りれなくなりました…」

「ははは、降りれなくなったか。まるで猫だな」


黒い人は笑いながら言っています

猫?猫って獣人の猫の事でしょうか?

話で聞く限りでは俊敏が高くて素早いって聞きましたけど…

それと何処が似ているんでしょうか?


「降りれないんだったらこっちに来いよ。そこから降りれるから」

「え?あ、はい。ありがとうございます」


黒い人は不気味な笑みをずっと絶やさずにしていますが優しい人みたいです

手招きしながら私を屋根の床に着いている出入り口へと案内してくれます


「此処までで良いだろ?後は分かるか?」

「はい。ありがとうございます」


この家の出入り口まで黒い人に案内してもらいました

この家は何かの飲食店何でしょうか?椅子と机が沢山置いてあります


「ん?此処が何だか気になるのか?」


少しキョロキョロとしすぎましたでしょうか…

と、兎に角、こういう時は謝らないといけませんね


「すみ「ここは一応飲食店だ」へ?」

「ま、今は食材が足りなくなって休業中だけどな」

「そ、そうなんですか…」

「ん?何か納得出来なかったか?」

「い、いえ、そんな事は無いです!」

「そうか、ま、気を付けろよ」

「はい、すみませんご迷惑をおかけしました」

「気にするな」


私は黒い人に礼を言ってから家を出ます

けれど、私には行く宛てがありません

何処に逃げても追っ手がやってきます


「こっちに居たぞ!」


見つかってしまいました

さすがにもう逃げ切れないかもしれません

けれど、私は逃げます

何故なら捕まれば連れ戻され生贄として殺されるのですから

私はまだ生きたいです


「居たぞ!捕まえろ!」

「こっちだ!」


近くにあった路地へと入って走っていたのですが、前から追っ手が来ました

既に後ろにも居ます

何処にも逃げ場がありません

せめて、せめて


「恋がしたかったです」


私はその場に座り込み

涙を流す


「おっ!また会ったな!」

「うぇ?」


変な声が出てしまいました

聞き覚えのある声がした上を見てみると先程の黒い人……では無く、初めに会った黒い人が屋根から此方を見降ろしていました

黒い人は此方に飛び降り、私の前に立ちます


「まだ追われてたのか?」

「うぇっく、はぃ…」

「そうか…お前も大変だな」


黒い人は笑いながら慰めてくれます


「おい貴様!そこの女から離れて大人しくしていろ!」

「その女から離れないと痛い目見る羽目になるぜ」


黒い人は追っ手に色々と言われていますが全く聞く耳を持っていないようで耳をほじって指を確認しています


「ちっ!あの男を殺れ!」

「さっさと女を捕らえろ!」


追っ手が此方に向かってやってきます

だけれども、黒い人は欠伸をしながらそれを眺めています

自分が危機に陥っているのに何故こんな行動を取れるのでしょうか?


ズドン!バギッ!ドスン!


「………………………」


言葉が出てきません

泣くのも忘れて目の前の光景を口を開けて見ています

たぶん、今私は変な顔をしているでしょう


「はははははは!変な顔だな!」


黒い人は何事無かったかのように笑います

何故笑っていられるのか私には分かりません

彼は一瞬と言えど命を狙われたのです

周りには追っ手が黒い人に殴られて転がっています

変な人で強い人です


「なー、お前、行く所無いのか?」

「はぃ」

「そか」


そう言って黒い人は私を抱えます

けれど、この抱え方は酷いと思います

私だって年頃の女の子なんです

なのに何で担ぐんですか!

ここは両手で持つ所だと私は思います!


黒い人は私の思いなど考えずにジャンプしてその場から移動します


そして、先程、私が出てきた家の前まで来ました


「ただいまー!」

「おう、おかえ……また拾ってきたのか?」


黒い人が中へと入っていきます

声からして先程の屋根から降ろしてくれた黒い人でしょうか?


「おう!」

「そうか、そうか……あれ?さっきの子じゃん?」


先程の黒い人で合ってたようです

何故、私の顔を見てないのに分かるのでしょうか?


「知ってるのか?」

「あぁ、屋根の上で降りれなくて困ってたみたいだったから下に降ろしてやったんだよ」

「そうだったのか!」

「あぁ、で、今度はどうしたんだ?」

「住む所を提供求む!!」


それは、私が言う事だと思うのですが…

それより降ろしてくれませんか……


「お前が言ってどうする……まぁー、お前の新しい家だからお前が決めたら良いと思うけどよ、そろそろ降ろしてやったらどうだ?」

「あ、忘れてたわ」


優しい人、気が利きます!

そして、貴方が担いだのに忘れるなんて酷いです!


「えっと…」

「とりあえず、自己紹介だな。俺はトールだ。んで、コイツが「リョーガだ!」って事でキミは?」

「私はマリアです」


うっかり名前を言ってしまいました

大丈夫でしょうか…


「そか、マリアか。んで、リョーガどうするんだ?」


どうやら、気付いて無いようです

良かったです


「どうするって何がよ?」

「いや、ここお前の家だからな、お前が決めるんだよ」

「んじゃ、OKだぜ!」


リョーガさんは手で丸を作り私とトールさんに見えるように見せます


「だそうだ。良かったな。2階に部屋があるから空いてるのを使うと良いよ」


そう言ってトールさんは奥へと歩いて行きました


「ま、そういう事で宜しく〜!」


とても軽い感じで片手を振りながらリョーガさんも奥へと歩いて行きます


私はどうすれば良いのか分からず少しその場で呆然としますが

私は先程言われた部屋を見に2階へと向かいました



○○○○○○○○○○



リョーガがまた拾ってきた……

ま、人手が増えたらココもやってくのが楽だから別に良いんだけどよ

一体何を基準にして拾ってくるんだ?

ま、どうでも良いか

っか、あの子女の子であってるんだよな?

ずっとフード被ってたから分からなかった


っとそんな事より

さっさと晩飯を作らねーとな


「リョーガ、飯出来るまで少し時間かかるから、タバコ吸い終えたら彼奴らに飯の時間って伝えてやってくれ」

「おーう」


物凄い適当な返事だけど、一応聞いてると思うから余り言わない

口うるさいのって嫌いだろ?


今日の晩飯はオーク骨ラーメンだ

麺から作るのは結構手間がかかる

が、食べたい物は作るしか無いだろう


コツコツと作っていく


ちなみに、無いものや足りない物はリョーガに造ってもらった

造ったのって食えるんだな…

本当にスゲェーな物質想像……


ま、それよりも手作りってのが俺は好きだから余りやらないけどな!



作るのに張り切りすぎて1時間経ってた


リョーガが「腹減ったー!まだかー!」って叫ぶまで頑張ってた

特に麺を頑張った


モチモチのツルツルを極めてみた


我ながら頑張ったと思う

最後にトッピングを済ませてっと

完成!

今日また1人増えたから全部で4人分!


「できたぞー!取りに来てくれー!」

「待ってました!」「分かったわ!」「はい」


面白いぐらいに言う言葉がバラバラだ


皆、すぐに厨房へと来て、盆に置いてあるのを、リョーガに習い盆ごと持っていく

まぁー、熱いからな

あ、マリアがフード脱いでる

髪は金で、フードの下からでもチラチラと見えた青い目は優しそうな感じで綺麗な顔つきをしている

こう言うのって、穏やかって言うのかな?清楚って言うのかな?

んでから、胸は大きいなレインとどっちが……

いかん、いかん、煩悩退散!煩悩退散!

身長はレインより高めの160ぐらいだ

それでも十分俺からしたら低いけどな

年齢はレインと同じぐらいか?


パッと一瞬見ただけだけど思い出しながら考える


兎に角、飯食おう

箸は使えそうに無いので手作りのフォークを2人には渡してある

俺らはいつも通り箸だ

この世界にはスプーンしか無いみたいなので自作するしかなかったのだ


「「「頂きます!」」」


俺たちは手を合わせて言うが、やはりと言うべきか、何というか…


「…えっと………」


マリアは困っているみたいだ

既にリョーガは食べ始めていて、レインは苦笑いを浮かべている


「この家ではコレがルールなのよ」

「お!それ良いな!コレから俺がルールな!」


箸を俺に向けながら言うリョーガ

だけどさ


「うん、全く話が噛み合ってないな…ま、気にしないでくれ。一応、食べ物に感謝してるって意味だから」


リョーガが此方に向けた箸を見ていたが、マリアに顔を向け言ってやる


「ルールよ!ルール!」


だけど、レインも引けないみたいでルールと言い続ける


「ルールで感謝ですか…」

「俺がルールだぁああぁー!」


リョーガがいきなり立ち上がり口に食べている途中のラーメンを入れながら叫び続けやがる


「汚いから口に物入れて叫ぶな!飛んでるから!口から色々と飛んでるから!」

「俺が「やめろって言ってんだろ!」ぐはっ!」


余りにも止めないので頭をモンキーでど突いてやると静かにラーメンを食べ始めた

片手で頭をさすりながら

痛かったんだろう


「ま、ルールで良いや。そゆことで」

「は、はい。では、頂きます。」


俺らに習って両手を合わせて言い、やっとこさマリアも食べ始める


味に驚いたり食感に驚いたりと忙しそうにしているのは見てて飽きないものだ

レインも同じような事をしていた

ちなみに、レインはマリアを温かく懐かしむような目で見ている


懐かしむぐらい時間は経っていないけどな


そんなこんなで新しい住人が増え、1日が終った









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