5話
「今帰ったのかい?」
「はい。リョーガは?」
「連れの子ならさっさと飯食って部屋戻って行ったよ」
「そうですか。俺にも晩飯貰えます?」
「あいよ!ちょっと待っていな!」
そう言いおばちゃんは奥へ引っ込んでいった
俺は席に座り5分ほど待ったら料理が来た
「本当はこんな時間に晩飯やってないんだけどね、あんた達は特別だよ」
「すみません。気おつけます」
「別に構わないよ、それより連れの子大丈夫かい?」
「??何かしましたか?」
「いやーね、そうじゃ無いんだけど、疲れた顔して降りてきて飯食べたらフラフラと部屋に戻ってったから大丈夫か気になっただけさね」
「あー、アレは何時もの事ですよ」
「そうかい。なら良かったよ」
「そういや、お風呂ってあります?」
「そんな物は無いよ、あるのは貴族様とかそんなんじゃ無いかね」
「そうですよね…」
「身体を洗うんなら布に水を着けて洗いなよ。皆そうしてるよ。良かったら後で水桶と布を持って行くけどどすうする?」
「んー、今日は眠いんで明日にします」
「そうかい、分かったよ」
会話をしながら飯を食べ、食べ終えて部屋に戻り寝る
少しハッチャケてしてまったみたいで凄く眠い
風呂が無く、月が2つ、周りに生えてる木は知らない木ばかりで、変なモンスターが沢山いて、魔力がある
そして、自分の能力が格段に下がっていてリョーガが上がっている
考えた結果は異世界
どうやら、俺達は異世界に来てしまった様だ
どうしよう……
チュンチュン
朝か…考え事してたら寝てたな
結論は異世界…
「はぁー」
考えただけで溜息が出てしまう
気分転換で今日は一日中本でも読んでおくか
確かギルドで貸し出しをしてた筈だし
リョーガは……寝かしとこう
○○○○○○○○○○
「ん……朝………トール……眠い」
それから30分間ベッドから出れずゴロゴロとして、やっと出た
既に昼だ
「飯食ってギルド行くか…」
目を擦りながら食堂に向かい、うどんを食べる
昼飯は有料の様だったが、トールが何かしたのかリョーガは無料で済んだ
ギルドへ向かい、依頼を選ぼうと思うが、良い依頼が無い
人体実験
1000ギル
魔法の試し打ち
1000ギル
街の周辺探索
500ギル
近くに居る盗賊の排除
800ギル
薬の試用
1500ギル
荷物持ち
300ギル
隣町までの護衛
700ギル
こんなんだ
リョーガは悩んだ末、盗賊討伐を選んぶ
「これで良いか…トールどこ行ったんだ…まぁー良いや。面倒だし、あー冒険者飽きたな〜。トールが帰ったら新しい職業でき無いか聞こっと」
フラフラと歩きながら受付へと向かい依頼を受け、街の外へ向かう
ちなみに、この時トールはギルドに居たが本に集中していて、リョーガが居たのに気付いて無かった
もちろん、リョーガも眠たくてトールに気付いてない
「ふぁーあ。だり〜クソだり〜、地図読めね〜、面倒くせぇ〜。働きたくねぇ〜」
眠たそうな目をしながら、なんと無くで盗賊のアジトへと向かうリョーガ
向かっている途中に罠に掛かっているが全く気にしないし気付いてすらも居ない
全てが運良く外れている
「アレが盗賊がいる場所か?」
適当に歩いていたら着いた場所
そこは洞窟で前には2人の見張りが立っている
リョーガは普通にそのまま出て行って見張りに見つかり、見張りがリョーガを攻撃するが、リョーガは何とも無いかの様に大剣を横振りにして相手の胴を切り落とす
そのまま、洞窟へと入り
適当に襲ってくる奴らを切り伏せ
時には殴り
盗賊の頭っぽいのを殴って腹に穴を開け、頭を掴みそのまま洞窟を後にする
その洞窟には、まだ捕らえられた人達や盗賊が搔き集めた財宝があるが、リョーガは気付かず。ただ眠気と格闘しながら戦い街に戻る
ギルドへ報告を済ましすぐに宿屋へと戻り爆睡する
○○○○○○○○○○
ギルドの三階、ギルド長室
そこには年代物を思わせる机に頬杖を付いている目に傷を負った男と
その前で立ち紙を両手で持って説明をする女
「付近の盗賊の殲滅を確認しましたが、捕らえられた人などの確認が出来ていません。リョーガ様に聞いたのですが、全て「うん、うん」と頷いているだけでした」
「そうか…困ったな………問題児か…兎に角、すぐに探索組を編成して盗賊のアジトを探索もしくは救出をする様に伝えろ」
「はい。わかりました」
女の人が出て行った扉を見ながら
「問題児と、その保護者か…上手く扱えるかどうか……」
○○○○○○○○○○
全部読み終えた
ギルドに置いてある全ての本を読んだ
帰るか……
「ただいま」
宿屋の部屋に戻った
「おう!おかえりだゼェー!」
リョーガはベットの上で逆立ちして出迎えてくれた?
「晩飯食ったか?」
「おう!」
「後で、おばちゃんが水桶と布届けてくれるらしいから、それで体洗えよ」
「おう!」
「ちゃんと聞いてるか?」
「おう!」
「聞いてないか?」
「おう!」
「聞いてないな……」
「なー!トール!」
「何だ?」
「冒険者飽きた!何か店やりたい!」
逆立ちを止めて普通に座った
「……お前に、店が出来ると?」
「出来るぜ!」
「そうかそうか…んじゃ、飲食店は出来るか?」
「無理だぜ!」
「だろうね……もう1人居たら良いんだけどなのぁ〜」
「居るだろ!俺の目の前に!」
「俺か?」
「そうだ!」
「んーー、俺は旅に出たいんだけどなぁ〜」
「何でだ?」
「この世界の事をもっと良く知りたいからだ。それと美味しい物が食べたい」
「なるほど!で?俺の店は!?」
「わーったよ。俺の話聞いてないもんな…少しの間やるよ。金の単位もある程度理解できたし」
「うっしゃー!!」
「んじゃ、とりあえず店舗がいるな……」
「全部トールに頼む!俺は寝る!」
「そうですか…やっぱり俺なのね……」
金の単位は理解できた
鉄貨...1ギル
銅貨...10ギル
四角いのが半銀貨…100ギル
銀貨...1000ギル
金貨...10000ギル
白金貨…100000ギル
閃貨…1000000ギル
店の運営には申請は必要無いが、店舗となるものが必要で、手に入れるには商業ギルドへ行かなければならない
食料などは行商を捕まえて売って貰えばいいし、金さえ払えば定期的に届けてくれる
実は2、3人候補がいる
ただ、魔国側と獣国側に向かう為の船が無いらしく、向かう事が出来ないらしく手に入る物が偏る
リョーガがそろそろ変な事を言いそうだと思い昨晩調べておいた
明日、全て何とかするか……
リョーガの稼いだ金なら何とかできそうだし
ちなみに、リョーガが稼いだ金は全て俺が預かっている
管理だけだけど
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あれから3日経った
この世界の建設には眼を見張るものがあった
少し手伝わしてもらったけど、すっごくハードだ。元の世界と比べ物にならないぐらいに
リョーガは本日も依頼に向かっている
少しでも人間関係を知ってもらう為に隣町まで護衛依頼を受けさした
無理矢理
根は優しいんだけどな……
それと、リョーガのスキル凄すぎた
まさかのガソリンを創る事が出来たのだ!
バイクの燃料のレギュラーガソリンとトラックの燃料の軽油を
あいつは創る時「何と無くでできた!」とか言ってるけど、よく内容物質を理解せずにできるよな……
トラックは宿屋にバイクと一緒に置かしてもらっている
ま、それで俺はかなり助かってるんだけどな
タバコもカートンでかなりの量のストックがあるし
店は今日で完成だ
今日は、行商の人と交渉やら何やらをして食材を色んな頼んだり買ったりして、それの搬入作業だ
明日からは開ける事が出来る
ちなみに、店でやるのは俺の大好きなスイーツと和食とその他諸々だ
寿司とかは米が無くて無理だったけど、魚を魔法で凍らして持ってくる行商が居たので、鮮度を保ったまま魚を持ってくる事ができる
この世界はどうやらスイーツなど甘い物が少なくて、砂糖などは高級品らしいので、ほとんどを果物の甘みを使って補った
今日帰ってきたらリョーガ喜ぶだろうな……
喜んでくれると嬉しい…
たぶん喜んでくれる
不安だ……
よく考えてみれば、この世界に来て1週間経ってる
馴染みすぎか?
リョーガは考え無しだし…
旅したいな〜、色々な所に行って観光したいなぁ〜
もっと楽しみたいな〜
リョーガを放って置いて
って言っても、リョーガは俺のストッパーになってるし……
ま、何とかなるか!
「おー!スゲェーな!」
「ん?あれ?リョーガ??もう帰ってきたのか?」
聞き覚えのある声がしたのでそちらを見るとリョーガが居た
予定では今日の夜だったはずだ
ちなみに、まだ夕方だ
「おう!護衛楽しかったぜ!」
「そうか、そうか、そりゃ良かったな」
「で?店はできんるのか?」
「あぁ、明日からできるぞ」
「うっしゃー!!コレで俺も楽できるぞ!」
「できないな、働くのに楽も何も無いよ…まー、せいぜい頑張れよ…」
「おうよ!」
そう言い、リョーガは何処かへと向かって歩いていく
どこに行くんだろう?
宿屋は逆方向だけどな??
できた店は、大通りから少しそれ、路地に入って行った場所で人通りが少なく、立地がかなり悪い場所である
既に、明日から開店するって知り合った人に口コミをして貰っているので客の方は大丈夫だろう
店自体は良い出来で、結構大きく、2階建てで隣には倉庫があり、外にはテーブルと椅子が5つずつ置いてあり、中には入って左右に固定椅子と固定机を3つずつ置いてある
出入り口の前には会計をするカウンターがあり、奥が厨房になっている
リョーガが会計と防犯とフェイターを行い、俺が料理とウェイターとリョーガの補佐を行う
出来れば、もう1人か2人欲しい
ウェイターかウェイトレスが…
出来れば、俺の代わりになる料理人も
まー、こんな事を考えても仕方が無い
俺かリョーガが何とかしなければいけないだけだ
と思っていました
何故かリョーガが女の子を抱えて来た
こちらに尻が向いている
何故か尻から犬の様な尻尾が生えている…これが獣人ってやつなのか?
「……………どうしたのその子」
「拾ったぜ!」
空いている手を突き出し親指を立てる
「拾ってきたって……何故?どうしてだ?何で何だ??色々と気になるところが多すぎる」
「ん??何言ってんだお前??トールが必要だって言ってたから拾ってきたんだよ」
「そうか……会話が成り立ってないけど、とりあえず、降ろしてやれよ」
「おうよ!」
リョーガは返事をして女の子をゆっくりと下ろす
その子は17歳?ぐらいで、頭から犬の様な耳が生えていて、服の上からでも分かるぐらいのデカイ胸をしている身長は160cmぐらいで少し小柄だ
ボンキュッボンの様でスタイル抜群で、リョーガが好きそうな美人な顔つきをしている
こちらをチラチラと見ては眼を逸らし、怯えている様な眼をしている
「……………えーっと、どうもトールです」
「ひっ!」
挨拶しただけなのに怯えられた…
トールは地に手と膝を付け落ち込む
「ふふ、ふはははは!ばっかじゃねーの!怖がれてやてやんのー!そんな顔してるからだよ!バーカ!」
「バカはお前だよ!つか、いつも通り笑ってる顔だよ!?そんな顔って何だよ!」
「その不気味な笑みを消したらマトモに見えるぞ」
「何だよソレ!ヒッデェーな!これでも練習したんだぞ!」
「あっそ。それよりさ!トールが人欲しいって言ってたから拾ってきたぞ!」
「あっそって…それよりって……その子何処から拾ってきたんだ?」
リョーガに心を抉られ続けるが何とか持ち直し立ち上がる
「道でウロチョロしてたから拾ってきた!」
「ウロチョロって…キミはそれで良いの?」
「は、はい!仕事が有るって言ってたので!」
「そうか、案外マトモに連れてきたんだな」
「おう!俺様を「おい!コッチに居たぞ!」崇めよ!」
「マトモじゃなかったか…おい!アレなんだ?」
「ん?邪魔だったから殴ったやつの仲間だと思う!」
リョーガは何事もなかったかの様に説明しやがる
「そうか、殴ったのか……あんなけ暴力はダメだって言ってたのに…やるなら正当防衛だけに「お前ら!そこの女を大人しく渡して俺らに殴られろ!」うっせ!ボケが!今説教中じゃ!邪魔すんな!」
肩を落としてリョーガに説教をしていたのに横から邪魔された
睨みつけながらそちらを見ると、いかにもチャラチャラしてそうなやつが2人とガタイの良く筋肉の付きが悪いやつが3人いた
どれも目付きが酷い
欲などが入り混じった汚い目付きをしている
「はぁー、リョーガ…排除」
「おう!」
ため息を吐き、一言リョーガに掛けるだけでリョーガはその5人に突撃し、瞬時に全員をただのパンチで沈めた
「……ここに置いてると邪魔だからどっかに捨ててくるのも頼むわ」
「分かった!」
5人組を抱えて飛び去って行き、すぐに戻ってくる
やっぱ、強くなってる…
「お疲れさん。って、そうじゃなかった…えーっと……………なんだっけ?まぁーいいや」
何をしてたのか忘れたから女の子の方へと向く
「キミって仕事を探してたんだよね?」
「はい!」
「そうか、じゃあ、ウェイトレス頼めるか?」
「ウェイトレス?」
「あー、給仕の事だ」
「わかりました!頑張ります!」
「うん、頑張ってね」
精一杯頑張る様なガッツを決めなる女の子
何か訳があるのだろうけど聞かない様にする
リョーガの家族の事もまだ聞いていないし
トールはリョーガの方へ向き
「リョーガ、これからココで住むことになるから宿に置いてる荷物とかココに持ってくるぞ」
「うーい」
「キミも宿がまだだったらココに住むか?」
「え?良いんですか?」
「別に、部屋は余ってるはずだから構わないよ」
「それじゃあ、お願いします!」
「二階に部屋があるから好きなの使って良いよ。それと荷物が運べない時はリョーガに頼むと良いよ。コイツ力持ちだし」
リョーガは力こぶを女の子に見せてる
俺はそれを無視して宿屋へと向かい、さっさと荷造りを済ませて荷物などを運ぶ
おばちゃんには「寂しくなるね〜」などを言われて、おっちゃんには「また来い」って言われた
トラックは宿屋の馬車小屋に移動させて置かして貰い、バイクは持っていく