3話
依頼受ける時は安全を確保して行おう
東の森
俺とリョーガは別々の依頼を受けた
俺は薬草採取
リョーガはゴブリン退治
この2つは常にあるらしい
薬草は需要に対して供給が足りていないので
ゴブリンは放って置くと大量に繁殖して村や街を襲うから
らしい
ゴブリンはあの時に襲ってきたやつだったみたいだ
言葉の通じないわけだ…
そんな事は置いといて、リョーガを1人にしたのが凄く心配だ
初めは一緒に薬草採取しようって言ってたのに討伐の文字を見たら「滾ってきたぜ!」とか言って走って行った
今の時刻はすでに夕方さっさと帰らなきゃ夜になると魔物が凶暴化するらしい
一応、ゴブリンの特徴を教えたけど覚えてるのかな?
まぁー、見たらわかるだろ…緑色をした子供って言ったから
俺もさっさと薬草集めて帰ろう
ちなみに、今は30本近く集めた
依頼内容は10本採取で50ギル
リョーガのは3体で100ギルだ
薬草の特徴は根が青い色をしている
よく見ると茎の部分が青いから直ぐに見分けれた
根部分が「紫色のは毒があるので採らないように」って言われたけど幾つか採った
何かの用途に使えそうだったから
リョーガ大丈夫かな?…………
○○○○○○○○○○
北の森
何で、この森にコイツが居るんだ…ヤバイ
早く街に伝えなければ……
目の前には身長3mはあるだろう赤い体をして大剣を右手に持ち角を頭部から生やした筋肉質な巨体がいる
「おい!早く街に行ってこの事を伝えろ!」
後ろに居るはずの2人に伝える
「お、お前はどうすんだよ!」
「俺はコイツを足止めする!早く行け!」
「くっ!」
「分かった!死ぬんじゃねーぞ!」
最後の言葉に怒気を孕めて言うと行ってくれた
何時まで保つか分からないけど、俺がやらなきゃ街は終わる!!
「GUGAAAAAAA!!」
「さぁー、こい!」
右手に持つ剣を使わずに殴りかかってくる
完全に遊ばれている。だが
速すぎる、避けきれない!
ガイィィィン!
「くっ!!」
凄い力だ!
何とか剣で受けたが剣が折れて数メートル吹き飛ばされた
このままじゃ本当に不味い
もう少し後少しだけでも足止めをしなければ助けを求めに行ってくれたアイツらに顔向けできない!
「うらぁぁあぁ!!!」
折れた剣を投げつけ腰にある解体用の短剣で切り掛かる
が
パキンッ
硬すぎる!
剣は弾かれ、短剣じゃ歯が立たず折れちまった
何とか…後少しでも………
ガサガサ
「ん?何してんだ??」
右の草むらからヒョッコリと子供が出てきた
街の子供!?何でこんなところに!
「早く逃げろ!!コイツはオーガだ!」
「オーガ?」
何故さっさと逃げない!
オーガと男は子供までの距離が同じぐらいだ
すると、オーガは男に興味を無くしたかのように子供の方を見る
それを見た男は子供の元まで走る
「何故、早く逃げない!!」
「何でだ?」
「何でっだって!?危険な魔物だからだ!さっさと逃げろ!」
「もう遅いと思うぞ」
子供は男の背後を指差し言い
男は直ぐに背後を向き目の前にオーガの拳があり、絶望する
もうダメだ……できれば生きて帰りたかった……
死ぬのを覚悟し目を瞑ったが、いくら待っても来るはずの衝撃が来ない
不思議に思い前を見ると
「おい!あぶねーだろ!テメェー!調子乗ってっとぶっ殺すぞ!」
男が殴られそうになっていたのを子供が素手で止めていた
「……は?」
男は余りの状況に対応できない
オーガも当然で
何故、こんなちっぽけな存在に自分の拳が止められたか理解できない
殴るために出した手を戻すのも忘れて両者共呆然とする
だが、子供、リョーガにはそんな事は関係ない
敵対したものは全てを潰す
それがリョーガの考えだ
ズドォォン!
リョーガは力を入れて殴る
それだけでオーガは数メートル吹き飛ぶ
そんな非現実的な状況に男は付いていけない
目の前で起こったことが信じられず呆然と男の前に出たリョーガを見る
「お前って魔物ってやつなんだよな?俺が倒すやつ何だっけ??まぁー、良いやコイツで」
普通の冒険者だと悲鳴を上げながら逃げると言われているオーガ相手に場違いでありえない発言をする
「GUGURAAAAAAA」
オーガは殴られ吹き飛ばされた事実に怒り、殺気をリョーガに向けるが反応が無く怒り吠える
これまでずっと負けた事が無かった、これまでずっと敵対する者も居なかった、最強の君臨者だと思っていたオーガがちっぽけな人間のそれも子供にただ殴られただけなのに吹き飛んだのだ
オーガは剣で突っ立ってるリョーガを切ろうと迫り振りかぶる
だが、リョーガはそれを素手で受け止めた
高速で振られたリョーガと同じぐらいの大きさがあろうかと言う大剣を…だ
「こんな攻撃、アホほど食らってんだよ!ボケがぁ!」
そして、リョーガは大剣を手前に引っ張り、それに伴いバランスを崩しリョーガの方へと引っ張られるオーガ、リョーガに近づいたオーガはリョーガに腹を殴られ宙に浮く
そして、オーガの足を掴み強引に地面へと叩きつける
「見た目より軽いな」
リョーガはオーガを叩きつけた時の感想を言いオーガに馬乗りになる
そして、オーガの顔面を殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、殴る、何度も何度も殴る
オーガの目玉が取り出し、歯と血肉が飛び散り、顔と言えるものが無くなるまで何度も殴り続ける
「雑魚が!!」
立ち上がり、オーガの頭の横まで行き唾を顔にかけ
最後に頭に1蹴りを入れて頭を吹き飛ばし終わった
1体いれば街などは簡単に潰す事ができ
Aランクがパーティで挑んでも勝つ事が困難な相手にだ
「なー、おっさん、コレ貰って行っていいか?」
オーガの死体とオーガの使っていた大剣を指差しながら言う
「(コクコク」
男は目の前で起こった事が未だに信じられず、言葉を発するのも忘れ頷くことしかできずリョーガの後ろ姿を見送る
○○○○○○○○○○
もう夜だ
今は街に入りギルドへと向かっている途中だ
現在は120本ぐらい集まった
薬草は途中で持ちきれなくなって、その辺の草で籠を作った
ギルドに入ると、ギルド内が騒がしい
面倒事じゃなけりゃー良いんだけどな…
そう思いながら受付嬢の元へと向かう
「完了報告です」
背負っている籠とギルドカードを渡しながら言う
「……はい、承りました。少々お待ち下さい」
少し籠を見た時に呆然としていたけれど直ぐに元に戻り籠とギルドカードを持ち奥へと向かっていき、袋を持って戻ってきた
「お待たせしました。全部で117本ありましたので、報酬は585ギルです。それにしてもよく集めましたね」
袋を渡されながら言う
袋の中身はチャラチャラと音がするので全て硬貨みたいだ
「いえ、ああ言うのが得意なだけですよ」
「そうですか。それと今のでEランクに上がりましたので、この調子で頑張って下さいね」
ギルドカードを返しながら作り笑顔をしながら応援してくれた
「はい」
何事も無く、ホッとしながらギルドの酒場に移動しリョーガを待つ
バーーーン!!
「俺様が来てやったぜ!」
1時間、タバコを吸って待っているとようやく帰ってきた
「リョーガ、さっさと報告………引きずってるの何?」
「ゴブリンだぜ!」
「いやいや、ゴブリンもいるけど、それ以外も居るじゃん!!つか、よくその分持ってこれたな!ちゃんと討伐証明教えたろ!」
「そんなん、覚えてないし、知らないわ!」
「………そうか、とりあえず報告してこい」
「うー、らじゃー!」
リョーガは鬼っぽいの1体を担ぎ、あの時襲ってきた猿10体以上とゴブリン3体をロープ?で引きずって行った
リョーガを見てるとカウンターの上に引きずって行った魔物をドスッドスッて感じで乗せて行って受付嬢を困らした後、奥の部屋へ連れて行かれた
30分ぐらい待ったら戻ってきた
物凄い強い笑顔で
「なー、トール俺の手、ケツ穴の臭いする!!」
「いきなり笑顔で変なこと言うなよ!」
「ちょい!とりあえず臭ってや!ええ匂いやで!」
「何がとりあえずやねん」
「ええから、ええから!」
「ちょっとだけやで……くっさ!ホンマやし!」
「サーキット行ってた間風呂入ってなかったからな!」
「汚ったねぇー!風呂ぐらい入れや!」
「えー、面倒いやん!それよりさ!俺さ!俺さ!何やっけ?」
「俺に聞くなや!奥に連れて行かれた時に何か言われたんやろ?」
「あーえっと、そう、あれ!カードがさ!銀になってん!よーわからんけどBって言われた!」
「あー、リョーガに負けた…」
「へへーん、勝利!俺最強!最速!最高ハッピー!ユーはアンハッピー!」
片足立ちで右手を上に掲げ左手を前に出して拳を作り親指を立てる
「うん、喜ぶんなら普通に喜べよ。まぁー、コレで金はあるだろ、宿屋行くぞ……リョーガって報酬幾らだった?」
「知らん!」
「袋渡されなかったか?」
「貰ったぞ!コレだ!!」
ドンッ
リョーガが置いた袋を開けて中を確認すると
四角い銀が1枚
銀が8枚
金が3枚
だった
金の価値が良く分からない
「………うん、よく分からんけど多いんだろう……宿屋行くか…」
「おーう」
リョーガとトールはギルドを出て教えてもらった宿屋へと向かう
宿代は1人300ギルで2人部屋にして500ギルにまけて貰った
「ひとまず、晩飯の前にギルドカード出して」
「何で?」
「受付嬢の人がコレでステータス確認できるって言ってたから見てみたい」
「分かった」
今のリョーガはテンションが極端に低い
コイツはテンションの上下が物凄く激しい
ギルドカードの表面には名前とランクが書いていて裏面の左端には逆三角形がある
まるでスマホだ……押してみるとステータスがズラーーっと出てきた
マジ、俺、ビックリ
俺のステータス
名前:トール
年齢:18
性別:男
レベル:2
職業:
筋力:12
体力:12
耐性:12
防御:12
魔力:12
魔防:12
スキル
流動
リョーガは
名前:リョーガ
年齢:18
性別:男
レベル:13
職業:狂戦士
筋力:800
体力:1000
防御:300
敏捷:150
魔力:100
魔防:100
スキル
物質想像
だった
平均が良く分からないけどリョーガが魔物を引きずってる姿をみて周りの冒険者が言ってた事を考えて、平均を100としたら、俺が極端に低い事とリョーガが極端に高い事が分かった
俺、弱すぎだろ……
そして、リョーガ強すぎ……
天職は、その人に合っている事を言うんだろう…俺って無し?ひどくね?
スキルは使った事があるのが表示されてるな…って事は日本に居た時に師匠から習った事や独学で学んだ格闘法は使わなきゃスキルにならないって事か
リョーガが物質想像…なんか、チートな様な気がする
リョーガのは何となく名前で理解はできた
「なー、リョーガ、何か想像して物質想像!って言ってみてや」
「えー、面倒い、腹減った。動きたくない」
「まー、やってみてって。そうや!セッタ想像してや、そろそろ無くなりそうやねん」
「えー……分かった、やってみる…………ふん!」
ポンッ
出てきた
何もない所からセッタが
周りのシールを剥がし中を見てみたらカラだった………は?
「次は、中身も想像してやってや」
「うぃーー」
ポンッ
次は、中身が有った
良かった………のか?
まぁー、いいや
「やっぱ、物質想像すげぇーな」
スキルの掛け声は何でも良さそうだ
最後なんてしてなかったし
「ん?なー!そろそろ飯の時間じゃね!?」
「え?あー、そうだな…ってか、ホンマにお前テンションの上下が激しいな」
「俺だからな!」
「褒めてないぞ。それより飯行くぞ飯」
リョーガは飯の匂いで気付いたみたいだ
ってか、よく気付けたな。部屋出るまで分からなかったぞ
トールはギルドカードをリョーガに返しながら階段を下りていく
リョーガはようやくの飯でテンションが凄く上がってる
まぁー、それも仕方ないだろう、昨日から食べてないんだから
俺?俺は良いんだよ。断食で1週間は持つから
「まずい!!!!クソマズ!!何だよコレ!」
「コラ!大声でそういう事を言うもんじゃねーぞ!」
確かに不味いのはわかる
出てきた飯の内容は豆と肉のスープと硬く黒いパンだ
それだけだ
足りないし不味い
「何だいあんたら!文句あるんなら出て行っておくれ!」
「いえ、すみま「おばちゃん!コレ、メッチャ不味いぞ!」はぁー」
宿屋のおばちゃんが来たので謝ろうとしたのにリョーガはそれを遮って文句を言いやがった
「コレって、ソレは、どこの店も同じだよ?そんなんで文句言ってたらどこへ行っても食べれないよ。あんたは何処かの貴族かい?」
おばちゃんは疑いの目をリョーガに向けている
「違いますよ。俺らは唯の冒険者です。少し前に食べた料理が美味しかったのでリョーガはそう思っているのでしょう」
「少し前?何処で食べたんだい?そんなに美味しいんなら私も食べてみたいよ」
「良かったら作りましょうか?」
「出来るのかい?」
俺の言葉で少し驚いた様な顔をする
「はい、一通り料理は出来ますよ」
「なら、頼んでみようかね。その、美味しい料理とやらを」
試す様な確認する様なそんな目付きで頼まれた
んで、作ってみた
材料はあるのを使っていいって言われたから
ピザ擬きと、うどん擬きを
材料の名称を聞いたけど分からなかったから少し舐めて確認した
色々と材料は違ったり無かったり少し足したりしてるけど、味はいける
「何だいコレは!初めて見るし、初めての味だよ!それに、このうどんってのの変わった歯応えがたまらないね!あんた達の事少し疑って済まなかったね」
食べてもらったら好評でした
物凄い喜んで貰えた
おばちゃんの夫は無口だけど、喜んでるのが分かった
「いえ、別に気にしてませんから」
「そうかい!そうかい!もし良かったら、この料理、ここで出しても良いかい?」
背中を叩きながら聞いてきた。
「別に構いませんよ。もし、レシピが必要なら書きますし…材料の名前教えて貰えたらですけど……」
「大丈夫だ。料理見てたから覚えた」
無口なおっちゃんが喋った!
それも覚えてたってすげぇーな!
俺もそんなけ物覚えが良かったら良いのに…
「そうですか、なら大丈夫そうですね」
「あぁ!礼と言っては何だけど、あんたらが泊まる時は宿泊と飯代は免除してやるよ!ま、そんなんじゃ、全然足りないだろうけど、今はそれで勘弁してくれや!」
「いえいえ、それだけでも十分ですよ」
「謙虚だね〜!夫がこんなに喜んでるのも久し振りに見るし嬉しいよ!」
「それは、良かったです。では、そろそろ寝ますね」
「あいさね!何かあったら良いな!力になるよ!」
「ありがとうございます」
おばちゃん凄く嬉しそう
リョーガも眠そうにしてたから先に部屋に戻した。俺も眠いし…
あ、バイク忘れてた
ギルドの前に置きっぱんなしだ
回収しに行かなきゃ……
「すみません、馬車小屋ってありましたよね?」
「あぁ!あるさね!それがどうしたんだい?」
「いえ、少し大きい荷物があるんで、そこに置かして貰おうかと……それと少し運ぶのを手伝って貰っても……?」
「別に構わんよ!それはどんないなんだい?」
「えーっと、馬より速く走って、たぶん、馬よりも重いです」
「馬よりも重くて速いのかい!?そりゃー、凄いね!少し待ってな!用意するからね!」
「はい、ありがとうございます」
「感謝を言うのはこっちさね!」
おばちゃんは俺の言う事に容易くOKしてくれた
優しい……
その後、おばちゃんとギルドの前に置かれたバイクを回収し、馬小屋の奥を少し片付けて置かさして貰った
ちなみに、モトクロスの方をおばちゃんに押してもらって、俺がリョーガのやつだ
リョーガのバイクは親の形見だからな、傷とか余り付けたくない
今日と昨日は色々とあり過ぎて疲れた
おやすみなさい…
「俺様に最強だ!!」
「うん、そうだね…」
「元気無いな。どうしたんだトール?」
「ステータス(ボソッ」
「くっ、ぷははははは!!雑魚すぎた奴か!」
「クソーー!!!!」
「「次回!!店やるには経理が大変なんだぞ」おぉおぉ!!!リョーガのボケェ!!」