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13話


もう、リョーガに迷惑は掛けたくない!

次は私が助ける番なのよ!


目の前にはゴブリンの集団

その背後にはオーク

そして、オーガ


スタンピード……


ギルドに集合した時に言われた事だ

スタンピードとは魔物の大群が攻めてくる事を言う

それが今、この街に迫ってきている


私は両頬を叩き気合を入れる

周りの冒険者やこの街の騎士も雄叫びを上げ皆それぞれ気合いを入れている


もう少しで始まる

魔物と人間の戦いが、戦争が


「お前ら!!準備は良いかぁ!!」


ギルド長だ

ギルド長が冒険者や騎士の指揮を取る為に急遽作られた木造の台に登り、冒険者や騎士に大声で聞く


「「「おぉーー!!」」」


冒険者達が自らの武器を掲げて雄叫びを上げ気合を入れながら返事をする


私が今いるのは前衛部隊、先頭に立ち

魔物と最初に激突し戦う部隊

一人一人に配置が決められており魔法が極力仲間に当たらないよう考えられている

普通は防御が固い者が先頭に立つのだが急な事もあり有力な者は依頼で街を出てしまっていた


マリアは後方部隊

主に負傷した冒険者や騎士の回復をしたり魔法や弓などで支援する

門の前で、すぐに治療出来るように待機している

私達が負ければマリア達も危ない

そして、街に居るリョーガも


私はもう一度、頬を強く叩く


そして、今か今かと待ち続け


「射撃部隊!やれ!!」


ギルド長が後衛の魔法使い、弓、大砲などの発射の命令を下す


魔物の大群に向けて空を埋め尽くすほどの炎の球、矢、鉄球などが飛んでいき大量の魔物を倒したが数が減らないそれどころか魔物の進軍が速くなっている


「前衛部隊!突撃!!」


私達だ

私は必ずリョーガの元に生きて帰る!

必ず戻るって言ったから


「「「おぉーー!!」」」


武器を構えて魔物の大群に目がけて走る


既に辿り着いた者達は戦い、傷付いて後方へと運ばれている者も居る


少し怯むが、それでも私はやらなきゃならない!

リョーガをマリアを守る為に!


「うあぁああああ!!」


目の前のゴブリンにずっと使っている短剣で切り込む


短剣は綺麗にゴブリンの肩に入り胴から抜ける

私は確認をする前に後ろへと飛び、そして確認をする

そのゴブリンは倒れていて、その背後にいるゴブリン達はそれを踏みながら進軍している


私は動きを止めないよう前へと走る


ゴブリンが左右から棍棒で殴りかかってくるが

それを避け、もう1本の短剣を鞘から出しながら左右のゴブリンの首を切る

続いて前方に居るゴブリンの首を狙い短剣をクロスする様に動かし切り取る

そして、また後ろへと飛ぶ


また走って行って、ゴブリンを切る


その繰り返し


何時間経っただろうか?

いくら切ってもキリが無く、終わりが見えない

流石に体力が限界に近づいてきている


周りに居る筈の冒険者達も負傷し、殺され、呻き声を上げている者も居る


後方からは魔法や矢、大砲が打ち込まれ、巻き添えを食らっている者達まで居る


それでも、私は体を動かすのを止めない


「あぶねぇー!嬢ちゃん!」


急に別の冒険者が私の前に飛び込んできた

驚き目を見開きその人を見ると、何時も酒場に居る怖い顔をしている人だ

でも、その人は優しくて困った事があると何時も助けてくれていた

そんな人が私を押し退けて倒れた


「え?」


「起きて!オジサン!」

「何度も、言ってるじゃねー、かよ。俺は、オジサンじゃ、ないって…」

「オジサン!オジサン!トーリコさん!」


私はオジサン、トーリコさんの元に寄り揺らすが反応が無い

トーリコさんを揺らしていると、手で何かを触ったので確認してみると、それは赤黒い血だ


「トーリコさん!起きてください!こんな所で死なないでください!起きて!起きてよ!!」


トーリコさんは私に笑顔を一瞬見せるが身体から力が抜けた

私はそんなトーリコさんの下で必死に起こそうとする


けれど、死んだ者は起きない

幾ら頑張っても起きる事は無い


「トーリコさん…」


私を庇ってくれた人

困ってると助けてくれた人

顔は怖いけれど優しい人


私は目の前から歩いてくる剣を持ったオークを睨みながら立ち上がり武器を構える

周りの魔物は私達を避けて進んでいる

トーリコさんを攻撃したのはあのオークだろう


オークは通常剣を持たない

何時も素手で居るからDランク

けれども、このオークは剣を持っている

刃が分厚くとても重い両手剣を軽々と持っている

オークソルジャーだ

オークソルジャーはCランク


私ではギリギリ勝てるぐらいの相手だ

だけど、ここで退くわけにはいかない!

私は守るんだ!

私がやらなければいけない!

そして、私は強くなってみせる!

リョーガに認めて貰えるように!

リョーガの隣にいれるように!


「GUMMMMMOOO!!」


オークソルジャーが剣を振り上げながら突進してくる

何時ものオークより速い!?


剣が当たる寸前でしゃがみこみ避け、胴を狙って短剣を振るが、オークソルジャーは後ろへと3mほど飛び避ける

オークソルジャーが着地した場所に居たゴブリンは踏み潰され周りにいた者は飛ばされた


今度は私が走ってオークソルジャーに切り掛かる

けれども、オークソルジャーは片手で持っている剣で私の剣を受け、もう片方の手で殴りかかってくる

私は体を捻り拳を避けオークソルジャーの胸を切る

が、浅く少し皮が切れたぐらいだ


何度も攻撃を繰り返すが、オークソルジャーに攻撃が当たっても皮膚が硬く刃が奥まで入らない

私の体力もギリギリに近いので早く決着を着けたい

が、それを相手が許してくれない


「はぁ、はぁ、はぁ、っ!?」


これまで、避けて通っていたゴブリン達が居なくなりゴブリンの後方から来ていたオーク達が来た

そして、一体のオークが私に殴りかかってくる

私は何とか転がり避けるが、オークソルジャーがその隙を見逃さなかった

避けてから立ち上がろうと地面に片膝をついた時には遅かった

既に目の前にはオークソルジャーの剣がある


「ごめんなさいリョーガ…」


私は最後にリョーガに向けて聞こえるか聞こえないかぐらいの声で謝る



○○○○○○○○○○



「何処だ!レイン!!!」


俺は北の門を抜け走っている

周りの冒険者や騎士などを押し退けて


俺はレインを探すのに必死なんだ!


目の前にゴブリンの集団が見えた

その中の一体のゴブリンを踏み台にして飛び上がり空高く見下ろした


「見つけた!」


レインを見つけた!

どうやら、オークと戦っている様だ

ゴブリンの体を踏み潰しながら着地して、背負ってる大剣を抜き周囲に大きく横に1回転しながら振り回し周囲にいる邪魔なゴブリン共を蹴散らしレインが居る所へと大剣の刃を前へ向けながら走る


走るだけで周囲には暴風が荒れ狂いゴブリンは吹き飛ばされ、地面には足跡が着く

既に親の形見のレーシングブーツの底は穴が空いてしまっている


「いた!!」


ゴブリン共を薙ぎ倒しながら進み、レインが見えた

オークが持っている剣がレインに降り下げられる瞬間だった


俺は、これ以上大切な物を失いたく無いし奪われたく無い!

それだけの一心で大剣を振り被る


「とどけぇーー!!!」


振りかぶった剣の軌跡から暴風が舞い、透明の”何か”が飛んでいき、そのオークを切り飛ばす


「おらぁぁあぁ!!!」


俺はそれだけで収まらず、周囲のオークに”何か”を飛ばしながら倒しレインの元まで進む


「誰…?」


レインが驚いた顔をしており目には涙のあとが



そんな顔をさせた奴を俺は許せない


絶対に許せない!!


「ひゃっ!」


レインを左手で担ぎ上げて大剣を持ち直し、向かってくるオーク共を切り飛ばす

大剣を振るだけで”何か”が飛び、暴風が荒れ狂い、周囲に風が舞う

地を蹴り前へ飛ぶ様に進みながら目に見えるオーク共を殲滅する


オークが殴ってくる前に切り飛ばし、切り掛かってくる前に切り飛ばし、動く前に切り飛ばす


許せない!

俺の大切な物を傷付けた奴を絶対に許さない!


「絶対に許さない!ぶっ殺す!!」



○○○○○○○○○○



俺は今、何を見てるのか自分の目を疑っている


目の前には風が荒れ狂い、周囲の魔物は吹き飛び、地面はめくり上がっている


まさに地獄絵図の様だ


俺以外の冒険者も、あの暴風から逃げて来ていて暴風を眺めている


ゴブリンやオークなどは全て、あの暴風が殺して行っている


巻き添いを食い飛ばされている者まで居る


「悪夢の嵐…」


誰かが小さく呟いた

もしかしたら無意識に俺が呟いたのかも知れない

けれども、Aランクの俺でも目の前で起こっている事が信じられない


口を開け見ている事しか出来ない

もし、アレに近づく様ならば周りに落ちているゴブリンだった物やオークだった物と同じ様な目に合うだろう…


数分後、暴風が収まり後に残ったのはバラバラになった冒険者、ゴブリン、オーク

そして、オーガだ


俺の足元にオーガの頭らしき物が転がってくる

赤く頭から角が生え牙が飛び出ていている

けれども、片目は無くなり、もう片方の目は恐怖でも見た様な目をして、口からは何かの液体が垂れている


もしこれが俺ならば、と考えると背筋から冷や汗がドッと溢れ出る


そして、死体の山の上に立つ者はオーガとは比べ物にならないぐらいの覇気を纏い、鬼の様な角と牙が生えた黒く赤の亀裂が入った模様の仮面を被り、黒だったろう外套には赤い血の跡が着いていて、右手には両手でやっと持てるだろう両手剣が握られ、獣人を担いだ悪魔が居た


「ひっ!」「あ、悪魔だ!」「化け物が出たぞ!」「クソッ!オーガの次は悪魔かよ!」


周囲の冒険者は逃げる者とあの者と戦う気でいる者がいるみたいだ

俺は無理だ

アレは触れてはいい者じゃない

Aランクの俺が足が竦んで動けない何て言ったら笑われるだろうか…


「化け物…」


はは、ははははは


アレは正真正銘の化け物だ

勝ち目なんて無い

アレが街まで来たら俺達はここで終わるんだ

どれだけ腕の立つ冒険者が束になっても勝つ事なんて出来やしない



○○○○○○○○○○



「ふしゅー、ふしゅー」

「だ、誰なのよ!降ろしなさいよ!」


レインがさっきから五月蝿いから降ろしてやる


少し疲れた

けど、何かがスッキリした様な感じがする


「あ、あんた一体誰なのよ!」

「俺だよ、俺」


俺は自分に指差しながら答える


「そんな仮面着けてると分からないわよ!」


レインは地団駄を踏みながら怒ってる

あ、そうか仮面着けてるから分からないのか


俺は仮面を外しながら


「リョーガだ!」


レインに手を突き出し親指を立ててから親指で自分を指差す


「リ、リョーガ!?な、何で!?」

「んーー、何でだろ?」


何でだろ?

胸騒ぎがしたし


「レインの事が心配だったからかな?」

「だ、誰も心配してなんて言ってないわよ!」


あれ?怒られた?

何で?

ま、いっか


「帰ろっか」

「………」


レインは何も言わないけど、歩き出した俺に着いてきてくれる


「良い嫁さんになれそうだな」

「バ、バカ!なにいってんのよ!!」


レインに殴られた

けど、余り痛くない

俺は殴られた場所を摩り笑いながら街へ戻る





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