11話
決行日当日
「準備はできているか?」
「おうよ!」
レインは別の部屋にて待機してもらっている
リョーガは既に大剣を背負い、赤くて黒い模様の入った般若の仮面を被って少し弄った真っ黒で赤い模様の入っていて足の方に垢の血飛沫の様な模様を入れ、中にポケットが大量にある外套を着ている
気が早いぞリョーガ…
早く行きたいのは分かるけど、まだ朝だ…
ちなみに、俺のはリョーガとは逆の赤黒く、足の方には黒の血飛沫の様な模様を着けている
「リョーガ、用意はできたか?って聞いただけだ。まだ装備までしなくて良いぞ…」
「そうか、まだなのか…」
リョーガは肩を落として落ち込む
そこまで落ち込む事か?
まぁー、良いや
「とりあえず、作戦を話すぞ?良いか?」
「おう!」
「先ず初めに、俺について来い。そうすれば中まで入れる。その後、マリアが連れて来られると思われる部屋まで行き、そこにマリアが来たら、その場にいる奴らを殲滅。証拠は残さないように綺麗に目撃者を殺る事が重要だ。その後、マリアを連れて逃げる。OK?」
リョーガが殲滅してる間に俺はマリアの目を塞いでれば良いか…
たぶん、リョーガ荒れるだろうからな…
「分かったぜ!」
ホントに分かってんのかね〜
「まだ気を抜くなよ。俺の作戦だって完璧じゃないんだ。何処かに穴があるんだからな」
「おうよ!」
自信満々に言ってるけど、心配だ
何しでかすか分からないからとても心配だ
レインが連れて来られると思われる部屋は、部屋の中央に舞台があり、そこに魔法陣が描かれている。
周囲は柱が8本と、柱と柱を繋ぐ橋があり教室が2つ入りそうな程広く、天井は高く、ステンドガラスが部屋の奥にあり、その下に崇拝しているだろう神様の像がある
ちなみに、神の名前はアポネ
出入り口は2つあり
1つはマリアが居る教会から少し離れていて
長くて大きな建物へと繋がっている
そこは、下の階は倉庫になっていて上へ入れなくなっている
入るには、教会の中を通らなければ行く事が出来ない
その近くには見廻りやら見張りやらと沢山の兵士が居た
もう1つは教会の礼拝堂に繋がっている
普通なら此処から侵入するだろうけど、俺は抜け道をコッソリと作っておいた
「リョーガ、準備するだけしといてな。って、装備しろって言ってないから!用意するだけで良いからな!」
リョーガは準備って言ってるのに、瞬時に装備を整えやがる
「渡した皮袋の中に仮面と外套は入れとけよ。歩いてる時に見つかると面倒だ」
「おう!」
はぁー、分かってんのかよ…
これ以上言っても無駄なような気がするな…
このまま、何事も起こさなければ良いけど…
飯屋で昼飯を食べ、レインに屋台で買ったのを持って行ってやってから、リョーガがいる部屋に入り
「よしっ!やるぞリョーガ、って、だから装備はしなくて良いって!」
どんなけやる気なんだよ…
やる気があるのは良いけど、早いよ…
「いつもの服装で良いんだよ。とりあえずついて来い」
「おう!」
うん、元気があってよろしい
レインが戻って来てマシになったって感じだな…
俺達は宿屋を出て教会へと向かう
教会の前には、やはりと言うべきか兵士が立っている
それを横目に、教会の周りにある壁の側を歩いていく
歩いて行って数分後、壁の石が少し割れているところに着ついた
壁を破壊したりすると目立つし、地面を掘る時間もなかったので目印を付けている
周囲を確認して、駆け上がるように壁を登る
リョーガはジャンプして登る
下見をした時、この場所の裏には大きな木があり、この場所が死角になっているのを確認している
コッソリと降りて、周囲に見張りや見回りが居ないのを確認して、目の前にある窓に近づく
この窓の先は普通の部屋だけど、本棚の裏に隠し扉があったので少し弄った
「よし、中には誰も居ないな…」
俺は窓の隙間から中を覗き確認し
リョーガがちゃんと付いてきているか確認する
予め鍵を閉めても開くように細工した窓を開け中に入る
リョーガも足音を立てずにゆっくりとくる
うん、偉くなったな
本棚の隠し扉を作動させて、開ける
その先には何か色んな実験用具が有ったので、少し拝借してある
隠し扉の中の壁の部分に穴を開けて壁の中に入れるようにしてあるので、そこへと入っていく
予め決めて置いたルートと、予め着けておいた石の出っ張った目印を頼りに進んでいく
この道は暗くて何も見えないから、こうしないと進めないのだ
俺がロープの端を持って、リョーガにもう片方を持たせて居るので迷う事は無いだろうけど、心配だ……
目的の部屋の前まで着いた
ここは石を少し壊して中の光が漏れるようにしてある
そこから5歩右に行った所の壁に縄梯子を設置しているので、それを掴み上がっていく
上まで上がると、そこには柱で影になった場所で、石のブロックが外れるようになっているので、そこを外し部屋の中へと入る
壁際に張り付きながら下を確認する
そこには兵士が5人と司祭?神父?分からんけど豪華な服を着たデブが1人いる
まだ、マリアは連れて来られていないみたいだ
リョーガがまだ登ってきてない
ロープの長さ、そんなに長く無いぞ?
5メートルしか無いのに…
もしかして…
いや、それは無いだろう…
けど、リョーガだからな……
心配だ……
ロープをゆっくり引っ張ってみよう
………………まさかって思ったけど、ホントにまさかだったね
笑えねーよ!
ロープをゆっくり引っ張ってみたら先しかなかった
リョーガが居なかった!?
あんなに真面目だったのに!
絶対に離すなって言ったのに!
あいつ、ロープ離してどっかに行きやがった!?
ありえねーよ!
あいつがいねーと、この作戦は成功しないってあんだけ言ったのに!!
くそっ!
俺1人でどうにかするしか無いか…
ん?デブが何か言ってるけど此処からじゃ聞き取れんな…
あ、レインの部屋に通じる扉が開いた
出てきたのは
白銀色の騎士、兵士、兵士、マリア、兵士、兵士、兵士
良かった
マリアは此処に連れて来られたみたいだ
マリアの服装は白一色って感じの服だ
何故か手に鎖付きの手錠が嵌められている
もっと丁寧に扱ってやれよ……
あの、白銀色の騎士はなんか面倒くさそうだな…
全て鎧だから素肌が見えてない…
あれじゃあ、俺の攻撃が通じない……
くそっ!
リョーガが居ねーから俺1人でなんとかするしか……
バリィィーーン!!!
誰かがステンドガラスを割って飛び込んできた
……ん?あれ、リョーガじゃね?
「ありえっ!」
少し声が出てしまった
でも、言わせて欲しい
それは考えもしなかったよ!
まさかステンドガラス割って入ってくるなんてよ!!
つか、どうやって来たよ!
ステンドガラスの後ろには5mぐらいの壁しかないよ!?
ステンドガラスまでの壁の高さ、何メートルあると思ってんだよ!
俺が今いる場所よりも高いぞ!
マンションで言うと5階ぐらいの高さだぞ!
一体何処から飛び込んだんだよ!?
シュタッ!
リョーガは片足で着地して、もう片方を上げ膝を曲げて、両腕を広げて手を少し下に向けるポーズ、荒ぶる鷹のポーズを取りながら口でシュタッって言ってやがる
マジでアホだ……
アホ一択しか無いのかアイツは…
あれだけ言ったのに……
もう、「どうにでもなれ!」だ!!
兎に角、マリアの周りで警戒して居る兵士をクナイもどきを投げて殺す
このクナイもどき は、鍛冶屋で槍の先端として造ってたやつを買って、そこに木の棒を付けてロープで巻いただけっていう安易な作りをした物だ
安易だが、これでも充分使える
刃には俺が新たに作った特製の毒を塗ってるから、少し体内に入るだけでも、苦しみもがき徐々に動けなくなって死んでいくって言う超面白い毒だ!
ちなみに、作った理由は、ただの俺の趣味
あまり数が無いのが残念だ
5本分しか無かった
今使ったので全部だったんだよ!
ってか、趣味で作った毒のせいで、手持ちの毒がもう無い…
後はリョーガ任せだ
俺はマリアの近くに降りてコッソリと壁際へと移動する
リョーガは大声を上げながら大暴れ中だ
周りの兵士もアレには流石に手を出せないだろう…
って、強そうな白銀色の騎士さん……
腹回りの鎧が拳の形に凹んで倒れてますよ
これって気絶してるのか?
それとも死んでるのか?
とりあえず、起きたら怖いから殺しとくか…
マリアに、「その場所で耳と目を塞いで座ってて」って言っといてから白銀色の騎士の元へと向かう
少し突いてみる
反応無し
よし、殺そう
短刀を首元の隙間へと押し込み、撫でるように押し込みながら引く
プシュッ
うん、殺せた
けど、やっぱり、すぐに殺すのは惜しいな…
おっと、こんな事考えてる暇じゃなかった
リョーガの、巻き添いを食らう前に移動しなきゃな
鉤爪の着いたロープを柱の上へと投げて引っ掛ける
少しグイグイっと引っ張り落ちないか確認してから
「マリア、上に登って穴の所に縄梯子がかかってるからそこから降りろ」
「わ、わかりました」
手錠が邪魔そうだな…
「あ、ちょっと待て。手錠外すから」
マリアの手錠を針金で外してやる
鍵の種類が古くてやり易かった
さっさと手錠を外してやり、はやく避難するように脱出用で作った別の道も地図を渡しながら教える
この地図はリョーガにも渡している
いざという時の為に待ち合わせの場所やマリアが来る場所までマークして
あれ?
俺が悪かったのか??
いや、俺は悪く無い!
リョーガが突っ込んでくるからだ!
「さっきの音は何だ!?」
あ、ヤベェー
新たな兵士が登場しちゃったよ……
「おい!あれ見ろ!指名手配しているやつだぞ!」
「本当だ!あいつ、俺らから逃げたやつだ!」
「あいつが仲間を殺したのか!?」
「殺せぇーー!!」
「殺すな!生け捕りで死刑だ!!」
「「「うぉーー!!!」
なんか、俺、危機ですね…
武器は沢山あるけど、どうやって逃げ切ろう…
そうだ!リョーガは…
「グオォォオオォオォオ!!!!!!!!」
吠えてる
両手に兵士の頭だけを持って吠えてる
って!そんな事してる場合じゃ無いだろ!
助けてくれよ!!
○○○○○○○○○○
数分前
迷った
トールに絶対離すなって言われたロープ離してしまった…
どうしよ……
暗くて何も見えないし、目的地に着くまで暴れたり大声は禁止って言われてたし…
そうだ!適当に行ったら着くんじゃね?
そうと決まったら即GOだぜ!!
彷徨ってたら、屋上っぽい所に着いた
経緯は知らん!
何故か付いてた!
って事で、トールから渡された地図を見るけど……読めん!
読めんけど、ステンドガラスがある場所って書いてる!
これなら分かる!
真下にあるやつだ!!
よし!
バリィィーーン!!!
飛び込んでやったぜ!
へへへ!皆、俺様の登場に恐れて動けてないみたいだ!
マリアは居たけど、トールどこだ?
俺は直感的に感じたカッコいいポーズをしながら周囲を見てみたが、やっぱりトールがいない…
一番早く動き出してきたのは白銀色の鎧を着た変な奴だ
とりあえず、邪魔だから殴る
その時、何か聞こえた様な気がしたけど……
どうでも良いや
マリアを助けようと思ったら、周りの兵士が倒れてた
トールがやったのか?
と思ったらトールが降りてきてマリアを壁の端まで運んで行った
俺も周りに群がったハエ共を退治しないとな!
とりあえず、大剣を横に振る
それで、群がったハエ共は2人真っ二つになった
勢いに任せて降って隙が出来たところを兵士が斬り込んできた
けど、無駄だ!
俺の手は一本じゃない!!
「ゴハッ!」
兵士は俺に蹴られて吹き飛ぶ
殴るんじゃないのかって?
え?誰が殴るって言った?
剣を放り投げて後ろの兵士を3人串刺しにした、目の前の兵士の頭を掴み地面へと叩きつけ、振り回し周りに居る兵士へと攻撃する
敵の兵士が周囲に立ってないのを確認して、手元を見てみると、首があった
首から下がなかった
俺はこういう時に、どんな反応をすれば良いか分からないから
とりあえず
「グオォォオオォオォオ!!!!!!!!」
これで良いだろ!!
さぁー!愚民共!俺の心の叫びを聞け!
まぁー、知らん人が死んでも何とも思わんけどな
俺が叫んでる間にトールが兵士に囲まれてる
アレは何処から来たんだ?
ま、そんな事はどうでもいい!
全て潰せば大丈夫だ!!
「ごらぁ!!俺様を無視すんじゃねぇえぇ!!」
持っている首を囲んでいる兵士に投げつけ恐怖を刻み込み、叫びながら兵士に突っ込む
目の前に居る兵士を千切っては投げ、千切っては投げ
1人ずつ首と胴をオサラバさしてやる
1分も経たずに片付いた
「お、お疲れ様」
「おうよ!」
俺はトールの言葉にガッツで答える!
「ん?なー、あそこに隠れてるデブ忘れてるぞリョー…鬼」
「ん?そうだな!」
トールが舞台の方を指差す
見てみると白い豪華な服を着た奴が舞台の裏に隠れている
俺は歩いてデブの元に向かう
ちなみに、鬼とは俺の事だ
トールは狐
コードネームってカッコ良いだろ?
俺の案で
「コードネーム付けようぜ!」
「お、そうだな。そうしよう」
って事で採用してくれた!
やったぜ!!
○○○○○○○○○○
あぶねぇー、あぶねぇー
間違えるところだった
折角、リョーガが出してくれた案なのにな
いつもの癖で…な?
お、リョーガが歩いて行った
俺も歩いて追いかける
「く、来るな!私に近づくんじゃない!!」
まだ10mも離れてない所で気付かれたのに今更気付いたみたいで叫んでる
このデブ、頭沸いてるんじゃないか?
来るなって言って来ないわけないじゃん
ってかさ、来るなって言われたら余計に行きたくなるよね!
「それ以上、私に近づくんじゃない!私を誰だか知っての行為か!?こんな事をして只で済むとは思うなよ!!誰か!誰か居ないか!!」
それでもリョーガと俺は止まるわけない
つか、このデブ誰だ?
「そもそも、この儀式は神聖な行為だ!今なら許してやる!頼む!それ以上近づかないでくれ!!」
もうデブまで5mをきってる
このデブ早口で良く喋るな…
歯を抜くか?
舌を抜くか?
それとも、口ごと潰すか?
「おいごらぁ!このクソデブがぁ!「ちょっと待て」ちっ!」
リョーガがデブの胸倉を掴んで殴り掛かろうとしたので止めた
何故なら
「お前、誰だ?これは儀式って言ってたけど、何なんだ?」
聞きたい事を聞くためだ
「ひっ!」
リョーガが手を離して床に尻餅を着いてから後ろへと退がるデブ
「さっさと答えないと口が必要ないって事で歯を抜くか舌を抜くかの選択技をやるけど?」
少し脅してみる
ま、実際にやりたくてウズウズしてるけど…
「ひっ!こ、答える!答える!!」
ペンチを取り出したら手を前に出して焦り始めた
ちっ何だよ…
「わ、わ、わ、私は!私は、この教会に3人しか居ない枢機卿だ!こんな事をして、ひっ!」
枢機卿とやらが、また、頭を抱え少しずつ退がりながら怯えてる
リョーガ、手の骨を鳴らすのを止めなさい。確かに今のはイヤだったけど、怯えて話さないから…
俺はリョーガの肩に手を置き
「御託はいい。さっさと、次の質問も答えろよ」
「いひっ!この儀式は、勇者召喚の儀式だ!!これで良いだろ!早く私を見逃せ!!」
「…お前バカか?」
なんで分からないかな?
見逃せ!って命令口調で言われても見逃す気ないし
元から見逃す気もないし
あ、マリアの逃げた動機も聞かなきゃな
「あと、マリアの逃げた理由も教えろ」
「あの忌々しい聖女が逃げた理由だと!?この私が知る訳がない!生贄になって死にたくないとかそんなんだろ!さっさと私を逃せ!」
なんか、逆ギレされたし
嫌いだなぁ〜
すっごく嫌い
ってか、生贄って…普通誰でも嫌だろ?
喜んでやるやつなんて頭おかしいよ
狂ってるよ?
コイツさっさと殺してしまうか?
俺はリョーガの肩に置いてる手をどける
そしたらリョーガはこっちを向いてもう良いのか?って目で問いかけてくる
少しキレてるな
暴走寸前だぞコレ…
俺はリョーガの問いに応えるために頷く
それを合図にリョーガはデブの枢機卿の元へと歩き出す
俺はリョーガとデブの枢機卿の姿を後ろで見ているつもりだ
と、思ったら枢機卿が懐から何か石みたいなのを取り出しリョーガに投げつけた
石ぐらいならリョーガは傷1つ付かないだろうけど
アレは、なんかヤバイ
直感みたいなのが頭に浮かぶ
アレはヤバイものだ
何がヤバイのかって聞かれても分からん!
けど、何か危険だ
絶対に危険だ!
と思ってたら
勝手に体が動いてリョーガを押し飛ばしていた
そして、俺は石に当たってしまい、目の前が真っ白になった……




