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クロスロード  作者: 八尺瓊
~第一章 シロヤギさんとクロヤギさんの手紙~
4/31

4:匠と義理姉2 純と”妖魔”

結局、純姉さんの話をしようとしたけど水無月姉さんとお義母さんのキャラが濃いおかげで話が反れてしまう。

純姉さんは、赤毛でツインテールの髪型をしており、さっき言ったようにスポーツ選手のようなスレンダーな体型をしており、大きい猫目をしているのが特徴で社交的というよりはクールなイメージがある。

一見は体型のせいでおてんばのように見えるが、きれい好き、家事全般が得意ではあるけど、意外とわがままで、子供っぽいところもあり、性格が冷たいとまではいかないけど言葉数が少ないので、ちょっとつかみどころが難しい。

後、おっぱいコンプレックスとか、これに関するキーワードを言おうものなら、機嫌が悪くなり、昼食でも漬物と、ご飯、味噌汁のみとか1週間続いたりする。

水無月姉さんに非常に甘く、基本姉妹喧嘩はしない。

何か2人で分け合うときは必ず、姉に先にゆずる。

その仲のいい姉妹だがどうしてもおっぱいネタで必ずバトルが始まる。

止められるのは現在の所、お義母さんだけだと思う。

純姉さんも妖魔を倒すための剣術を身に着けており、水無月姉さんと二人で妖魔を退治を行っているようだ。

妖魔退治に僕も連れて行ってほしいと思う。

役に立たなくても危険な場所に二人だけで行って怪我をして帰ってくることがあれば、僕は絶対に後悔する。

僕は僕で二人に内緒にしている事がある。

今なら二人と一緒に戦える。

けどこれを話するにはもう少し時間がかかりそうだった。


「たく、そろそろ家を出ないと午後からの授業に間に合わない。」


純姉さんに言われて時計を見るともうかなりの時間になっていた。


「もうこんな時間になっていたの?!やばいよ。」


とある人と約束をしていて、お昼には会う予定だったのだ。

僕がカバンに手をかけると水無月姉さんと純姉さんも学校へ行く準備が終わっていたようで、玄関で待っていてくれた。


「じゃあ、そろそろ出ようか?戸締りできてる?」


水無月姉さんに言われて、さっき見たときは問題なかったし、今日はお義母さんがいてるはずだし大丈夫と思う。


3人で玄関を出ると外は雨が降っていた。


「6月で昨日から梅雨入りしたってテレビで言ってたし純ちゃん傘持ってきた?」

「みーちゃん持ってきてるけど。2本しかない。」


きらーーーんと、水無月姉さんの目が光った気がした。

やばい。嫌な予感しかしない。


「たくちゃ~~ん。お姉ちゃんと一緒に・・・。」

「たく。こっち。」


珍しく純姉さんが水無月姉さんから僕を取り上げる。

どうして?という眼差しを純姉さんに向けながら水無月姉さんが声のボリュームを上げてなぜかと問う。


「え~~~。どうして??純ちゃんなんで私からたくちゃん取るの?」

「取ってはいない。み~ちゃんとたくが並んで歩くと、さらに学校に行くのが遅れる。」

「そうだとしても~~~。」


抗議する水無月姉さんに対してほぼ無視をし、そのまま僕と一緒に純姉さんはバス停まで移動を開始する。

それにくっつくように水無月姉さんも後から着いてくる。


「せっかくたくちゃんとアイアイ傘できると思ったのに。」


小声でぶつぶつ言っている水無月姉さんに気を取られるが、傘を差している腕を純姉さんに絡め取られてそっちに意識がいかない。


「純姉さん。ちょっと離れてくれないかな?」

「ん?たまにはいいだろ?」

「いや、ちょっと当たってて。」

「ん?はっきりしないやつだな?」

「純姉さんがいいならいいんだけど・・。」


公共の場で、雨が降っているとはいえ”おっぱいが当たってます。”とは言いづらくしかもタブーネタの”おっぱい”だけに対応に困っていると、急に純姉さんが止まって、厳しい顔をする。


「この傘を持ってろ。」


純姉さんの声のトーンが一ランク落ちて聞こえる。

僕は今まで下を向いて歩いていたので、純姉さんから傘を受け取ると顔を前に向ける。

目の前に一匹の獣らしきモノがいてるのが見える。

大きさから猫か、犬なのだが、どちらともフォルムが違う。


「ほ・われに・がついた・。」


獣が口を開くが雨音のせいで所どころ聞こえずらかったが、しゃがれた声で耳に届く。

険しい顔の純姉さんが懐から護符を取り出し息を吹き込む。

僕の周りの”空気がゆがんだ”気がした。

ふと胸の辺りの気分が悪くなる。

一瞬の間目をつぶって開くと、周りが違ったように見えた。


「たく、今、結界を張った。巻き込んですまないがお前はそのまま何もせずに、私の後ろにいろ。」


純姉さんの言葉に反論しそうになるが、黙って従う。

目の前にいるのが姉さん達が戦っている”妖魔”だということは見ただけでわかる。話をする獣なんてこの世に存在するはずがない。

今なら僕も純姉さんと戦う術がある。

けどここで見せるわけにはいかなかった。

最悪の事態を想定して準備はしておく。

左胸に右手を忍ばせ、カチっと金属音をさせたが、純姉さんは目の前の敵に集中している為、その音が聞こえていないようだった。

周りは雨が降っておらず、先ほどの獣の声がクリアーに聞こえる。


「良い結界だ。しかし私にとってはカゴの中に、馳走が2匹入ってきたようなものだ。」


結界の中の風景は、さっき通ってきた場所と同じなのだが、感覚でわかる。

ここは、今までいた世界ではないと。

純姉さんは懐から先ほどとは違う護符を取り出し術を唱える。

護符が燃え上がり、炎が純姉さんの体を覆い、一瞬目があけていられなくなるような閃光がおき、目を開けると赤を基調とした和服に身を包み、脇差と太刀を腰にぶら下げた純姉さんが立っていた。

これが純姉さんの戦闘服か。

初めてみる純姉さんの和服姿は、大名の姫を思わせ、その背中には一本の筋がしっかり張られている。


「ふふふ、これはただの馳走かと思ったが、ご馳走ではないか。われの糧になれることを光栄に思え。」


獣がうれしそうに口を走らせる。

言い終わると獣の口から大量のよだれが流れ落ち、その体を大きく、しかもグロテスクなフォルムへと変化させていく。


「見たままの化け物だな。」


純姉さんがさっきまで小さな獣だった化け物を見て感想を言う。


「お前達人間の邪気から生まれ、ここまでの体にするのに時間がかかった。どうだすごくいいだろう?」


化け物が口を開くと、腐ったにおいとともに、さっき以上のしゃがれた声が耳に届きノイズのように耳をふさぎたくなる。

純姉さんは平然とその声を聞き返事を返す。


「そのかかった時間が今日で終わる。よかったじゃないか、もう何も考えなくてよくなるから。」

「減らず口を。ではまずはそのあ・た・ま・・・。」


化け物が最後まで話を続けることができなかった。

純姉さんがいつの間にか腰にあった脇差を抜いており、斜めに振り下ろした状態でとまっていた。

ずる・・・。と音がしたように思えた。

首を切り落とされた化け物の頭が地面に落ちる。

化け物と純姉さんとの距離は10mはあったと思う。

しかし、移動したとかではなく、かまえたちなのか、剣技による攻撃で首を落としたようだった。


「ま、だ、話をし、ている、と、ちゅ、う。」


頭になってもまだ話をしようとする化け物に純姉さんがとどめをさす。


「地に帰れ。」


脇差に火がまとい、いまだ10mも離れいている化け物の頭に目掛け、その場で脇差を振り回すと、化け物の頭が滅多切りにされていく。

そして最後に、ばらばらになった頭の破片が燃えて消える。

燃えて消えた化け物の頭を確認すると純姉さんが息を吐き、呼吸を整える。


「さあ、たく、いこうか?」

「純姉さん、まだだ!」

「?!」


残された化け物の体がぴくぴくと痙攣するように気味悪く動き始めたと思うと急に半分に割れ、そこから新しい化け物が現れる。

さっきまでとは違い、獣型ではなく人型ではあるが人間の顔をしておらず、いくつもの目を顔にもち、鼻と口があるべき所についておらず、口は後頭部に、鼻は、おでこについており、グロテスクな化け物が立っていた。


「いやいや。見事。びっくりしましたよ。」

「たく、もう少し離れろ。さっきまでの奴とは違う。」

「当然でしょ。さっきまでは省エネモードという奴です。この体で外に出ると邪気の消耗が激しくて。」


首をこきこきと鳴らし、手を叩きながら、うれしそうにの軽口で化け物が話し始める。

正直気持ち悪いし、うっとうしい。イライラする気分になる。

何より、さっきの化け物にはなかった、瘴気を体にまとっており、どす黒いオーラを放っていた。


「この私を目の前にして、正気でいられるとはさぞ、お力がお強いと見受ける。」

「たく。絶対私の後ろにいろ。久しぶりに本気でやらないといけないようだ。」


明らかに、純姉さんの声トーンが変わった。

さっきまでの余裕がなくなった。

純姉さんが脇差を鞘に戻し、腰の太刀に手をかけようとした瞬間に、結界の空間がゆがみ乱入者が”入ってくる”。


「もう~。遅いよ~。ずっと待ってたのに。待つのに飽きちゃったし、たくちゃん心配でお姉ちゃん入ってきちゃった。」


水無月姉さんが結界に入ってきてゆったりとした口調で、この緊迫した状況にはふさわしくないなんとも言いづらい空気が流れていた。

化け物が水無月姉さんを見ると同時に距離をとる。


「くくく。わはははは。これはまた大物が現れたものだ。」


急に笑いだし、化け物が水無月姉さんを知っている口調で語る。


「最近、この付近で2人の姉妹が”われわれ”をほふっていると聞いていたが、その本人達に出くわすことになるとは、思ってもみなかったよ。」

「そういう、化け物さんもどこかで聞いたことのある容姿をしておりますね。確か~あれは~。」


首をかしげ何かを思い出そうとする水無月姉さんを横目に、化け物が、自らの右腕を切り落とす。


「そこの赤いのだけならまだしも、私の眼から見ても化け物以上のあなたを今の段階で相手にするわけにはいかないのでここは引かせて頂きますよ。」

「化け物に化け物以上って言われた~~お姉ちゃんすごい怒ったぞ!」

「ここは私の結界の中だ。そんなに簡単にいくわけないだろ。」

「そのための右腕を置いて行くんですよ。ではご機嫌よう。」


化け物が左腕を今度は後頭部にある口の中につっこむとそのまま体全体が口の中に吸い込まれていき、最後は頭が割れて血を噴出しながらその場から消える。

純姉さんが残った腕が膨張し始めたのを確認すると、大きな声で、”伏せて!!”という。

そのまま腕が大爆発を起こし、結界全体に爆風が巻き起こる。

僕が伏せていた顔を上げると、ぼろぼろになった和服を着ているが無傷の純姉さんと、少し離れた場所で、ぷんぷんと怒って服すら無傷の水無月姉さんがいた。


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