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Underclass Pointers  作者: 床ノ民
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1・フロンティア

 ―――渋谷駅前のスクランブル交差点。


 多くの人々が行き来していたこの交差点も、雑草が生い茂り、静寂が続いている。

 かつて若者達の流行の発信地であったとは考えられない程の荒れ様である。


 ファースト・バンケットから5年が経つが、未だに人間の活動範囲は極端に狭い。

 人間の活動可能区域とモンスター達の生息区域の境界は『フロンティア』と呼ばれているが、このフロンティアの拡大は5年前と比べてもせいぜい半径10km程度に収まるだろう。

 それほど、ゆっくりとした反撃なのである。人間の世界に戻るまで何世紀かかるのか検討もつかない。

 いや、モンスターが滅びる前に人類が滅びる方が可能性としては高いかもしれないだろう。


 この渋谷駅周辺はフロンティアに属する。

 雑魚はほとんどいないが、手付かずの高レベルモンスターが何匹か存在する。


 そして、過去にファッション店が多く出店していたビルの窓からライフルの銃口を覗かせているのも、フロンティアの前線で活躍するポインターである。


 過去の累計ポイントは48275点。最も弱い敵のゴブリンが1点という事を考えると、とてつもない数のモンスターを倒してきた事が判断できる。


 もちろん、下から二番目という一般人が住める最も低い層に住んでいる。

 アリノスは「甲」「乙」「丙」「丁」「戊」「己」「庚」「辛」「任」「癸」の10層に分けられているが、「癸」の層は王族や官僚の住む層である。


 つまり、このポインターが住むのは「任」の層。数千人しか住むことを許されていない層だ。


 

 暫く渋谷駅は静寂が続く。


 その時、空から大きな影が交差点の中央へと降り立った。



 アンデットドラゴン。不快な腐臭と、剥き出しの臓器や骨が特徴の高レベルモンスターである。


 ポインターはライフルのスコープを覗き込んだ。

 彼にとって、このレベルのモンスターは朝飯前である。


 彼は少し笑みをこぼし、アンデットドラゴンの頭を撃ち抜いた。

 アンデットドラゴンは雄叫びを上げると、大きな音をたてて地面へと倒れ込んだ。


 彼はポケットからタブレットを取り出した。画面に女性のキャラクターが映し出される。


『宮藤さん、お見事です。』


 画面内の女性がポインターへと喋りかける。宮藤というのはポインターの名前だろう。


「ポイント換算を頼む。」


宮藤はタブレットに向かって言った。

女性は「了解です。」と答えた後、宮藤の言う「ポイント換算」を行った。


『アンデットドラゴン、139点獲得です。宮藤さんの合計ポイントは48414点です。』


宮藤はタブレットをポケットに戻すと、溜息をついて、アリノスへと帰っていった。

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