70話
ゴムレスはその巨体を活かした攻めをつづける。スローなパンチにのろのろとした回し蹴り、終いには全身を使った暴れる。
地下三階にはモンスターの攻撃によって壁や床にクレーターや穴や亀裂が出来ていた。ゴムレスの好きにさせておけばこの階の倒壊が危ぶまれた。
どんな生き物にも長所と短所がある。当然の理だ。しかしゴムレスは欠点が大きすぎた。神様の悪意を感じなくもない。ちょっと哀れっぽい。同情心が武司の胸中に芽生えた。
しかしゴムレスの一撃をわざと喰らうわけにはいかない。なんせ怪力の持ち主なのだから。一発でノックアウトもありえる。
距離をとっていた武司達に全速力で接近しようとするゴムレス。しかし動きの速さが違いすぎるため距離は縮まらない。
武司達三人はゴムレスを撹乱させるため二手に別れた。ゴムレスはキョロキョロと顔を動かし武司達を睥睨する。まるで逃げずに戦えと訴えているかのようだ。
素早く動けないのに腹をたてたのかじだんだを踏む。とそこへ注意が逸れたことを感じたサリナが攻めに打って出た。バルハートで五度突きを放った。ザクザクとゴムレスに刺さり穴が開く。突きは有効だったようでゴムレスの動きがさらに鈍くなる。ダメージがあるようだ。