7話
武司が目を凝らすと二十匹近いウォーレスの集団が姿を見せた。どうやら仲間が攻撃されて怒っているようで表情は険しい。しかも皆弓に矢を構えている。狙いは勿論武司だろう。近くの樹冠に留まっていた色とりどりの小鳥達が騒ぎを聞き付け空へと羽ばたいていった。
『武司さん逃げてください。危険です』
「見りゃ分かるよ!」
武司はウォーレス達の居る逆方向つまり西に駆け出した。武司の背後には矢がヒュンヒュン飛んできて地面や木の幹に突き刺さった。
『武司さん右に急いで移動してください!』
「お、おう!」
武司は素早く移動した。そこへ、今さっきまで武司の頭があった場所に矢が飛来して通過し大きな石に当たって鈍い音を奏でた。武司はそれを見て冷や汗が背中を伝い青ざめた。それから数十分走って足を止めた武司は背後に追跡者が居ないのを確認し
「怖かったー。それにあー、腹が減ったぜ……」
『武司さん、すぐ右にある木の根っこの傍に白いキノコが生えていますよ』
「おっ! 本当だ、食えんの?」
『勿論食べれますね』
「ワーイ! 食べようっと」
武司は小ぶりな白いキノコを採取し、口に運び咀嚼後嚥下した。
『あ、ちょっと焼かないと駄目ですって!』