69話
岩で作り上げられたモンスターは相変わらず鈍速だった。倒すのは容易かと思われた。しかし肉体が岩なので防御の面では突出しているだろう。ダメージを与えるのに苦心惨憺するかもしれない。
ルーノが打って出た。易々とゴムレスの背後に回り込み、ジャンプしながら頭部に切り付けた。するとゴムレスの頭が削れた。致命傷かと思われたが「ガー!」と叫んだだけだった。やはり一撃では仕留められない。
意外と金属製の武器でも対抗できるようだ。硬度はそれほど高くない。ルーノはゴムレスの右側面から十字に切り裂いた。ゴムレスの肩に傷痕が残り岩の破片がばらばらと地面に落下した。ゴムレスは怒り腕を振り回した。しかし素早くスピードには腕に覚えがあるルーノにとってはスローモーションに見えたことだろう。楽々とゴムレスの腕をバックステップでかわす。
やはりゴムレスでは武司達の相手にはならないようだ。楽勝なムードが否応なしに高まる。馬鹿力のナメクジでは脅威にはなりえない。
こんな相手がアサシンより難易度が高いのだろうかと武司は訝しった。思慮している間もルーノが善戦していた。ヒットアンドウェイでゴムレスを撹乱している。生傷が徐々に増えていくモンスター。武司達の優位は変わらなそうだ。