67話
武司達三人は足を滑らさないように湿っぽい段を降っていく。しかし、眼前に広がるのはエンドレスに続くかのような階段につぐ階段で――
「階段の描写禁止! 俺達がくたびれるし、ストーリー進まないから!」
武司の憤然とした呼び掛けに渋々話しを進展させようかなと思ったのだ。流石に引っ張り過ぎたかな。武司はついに降り立った。このダンジョンの最下層に。迎えうつは長身のハスナ。彼は背中から二つの羽を生やし、口からは吸血鬼を上回る大きな牙を持ち背筋が凍り付くような殺気を醸し出している。羽ばたき地面から浮いていて肌の色は金色である。この階は未開の階だった。睨み合う両者は同時に――
「こら! タケノコ! 俺達まだ階段を歩いてるぞ! 無理な展開禁止!」
『はいはい』
武司の恫喝に真面目にやろうと思った。ついに階段は終焉をむかえた。地下三階に降り立った三人。相変わらずの灰色の石で出来た壁や床は健在だ。
天井の一部が崩れ床に小さな石の山を作っていた。この階の相手は石で出来た体を持つゴムレスだった。そいつは赤い岩と青色の岩が幾つもくっついてモンスターの形をなしていた。目と口の部分には穴が開いていて赤く光っている。鉱物だろうか。