65話
地下二階の支配者アサシンは一つ目をカッと見開き黄泉の客に成り果てた。今でも精製した特殊な致死性の毒のせいか、たまに肉体をビクンビクンと震わせる。死体なのに微動する有様は不気味さを漂わせる。アサシンの周りには小ぢんまりした血の池が出来上がっている。未だに傷口や鼻や耳から血液を垂れ流す。
「あはん、武司毒かしら?」
サリナは形の良い顎に手をやり首を傾けながら疑問を口にした。武司はハキハキと嬉しそうに回答した。
「正解! 現牙で作ってみたんだ。まあ、出来るかどうか分からなかったけど成功して良かった」
武司は敗北から一気に逆転劇を演じられて大変満足していた。敗北というか死んでたけどね。やっぱり持つべき者は優しい作者だよね。僕っていい人。
「いや、情け深いなら主役をあの世に追いやらないと思うんだけど……」
すいません、その通りですね。なんとか盛り上げようとして無茶しました。武司さん、すいません、そしてありがとう……。また会う日まで……。
「なんか、ラストシーンぽくね? まだ地下二階だぜ。まだこれからじゃん」
はいはい、冗談ですよ。これからもお互い頑張って行きましょう。この作品の出来栄えはひとえに武司さんの双肩にかかっております。
「うわ。なんか凄いプレッシャーかけられた!」