64話
黒い肌に一つ目のモンスターは過呼吸になりヒーヒーと苦しみ自分の爪で顔を力付くでひっかき続ける。大層平静の真逆の状態に陥っているようだ。そして手足が震え始め、次第に頭まで振りだした。アサシンの肩からは鮮血と共に緑色のどろっとした固形に近い液体も流れ出ていた。その粘液は肩を貫いた刃から溢れ出ていた。
「グゲゲ!」
アサシンは一個しかない目元から赤い液体をだくだくと流し口からも噴き出していた。そのモンスターは唸りながら倒れ地面でのたうちまわった。まるで巨大ななめくじに多量の塩をまきかけたような様子だった。苦しそうに悶えまわっている。
武司は満足のいく結果に内心お祭り気分だった。その表情は難しい悪戯が成功した悪童のようだった。初めての行為が成功に向かっているのをみたための喜びだ。
そしてアサシンは穴という穴から血液を大量に噴出しビクビクと体を揺らし動かなくなった。生命の燭が消えてなくなったのだ。哀れな末期の姿だった。しかし倒さないと先には進めないのだから仕方ない所業ともいえる。
武司はアサシンが確実に死出の旅に出たと確認して細長い刃を消失させた。アサシンの傷口から刃が消えると血がどっと溢れ出た。緑色の粘液と共に。