60話
斬殺され血祭りに上げられたはずの武司は両手を床につき重心を支えながら立ち上がった。それを見たアサシンとサリナ達は驚愕の視線を送る。彼は服や皮膚に鮮血を付けながらも言葉を投げかけた。
「うひゃー! 死ぬほど痛かったー! ていうか死んでたな!」
自分の頬を抓り痛みを感じ生きているのを確認しジャンプや指を曲げて異常がないかを確認する武司。確かにそんな行動を取りたくなるのも理解できる。なんせ首を一刀両断されてしまったのだから。普通ならそこでジエンドだが作者が味方のため首が繋がった。繋がったは二つの意味があるよ。アサシンはグゲゲと唸り警戒心を増している。きっとなんで生き返れたのか疑問に思っていることだろう。サリナ達は武司が復活して一安心したような表情をしている。一介のモンスターごときに不覚を取り物語が終幕を迎えるなんてありえないことだが、それが発生しそうになっていた。どんな残念な小説やねん。ツッコミたくなる。再起したことだし今後は無茶苦茶な展開は勘弁願いたい。作者であるタケノコは上擦った声音で告げた。
『武司さん気を抜かないでくださいね。さっきの即死でしたよ』
それを耳にして「スマン、スマン」と詫びる。首をコキコキ鳴らし接合具合を恐る恐る確認する。あまりがいにやるとまたのいてしまうかもしれないのでゆっくり行った。