5話
「そうか、タケノコな。分かった。とりあえず西に向かうよ。どうしたら俺の居た世界に戻してくれるんだ?」
『色々やってくれたら帰してあげますよ』
「えー、アバウト」
草原の切れ目には鬱蒼とした森があった。木々や草が生い茂っている。
「タケノコ、この森を西に行くのか?」
『そうです。お願いします』
武司は地面から露出した木の根につまずかないように注意しながら森の奥へ進んでいく。木の枝を掻き分け、藪を通り抜ける。小鳥達が木の枝にとまって「ピーピー」と合唱している。風で梢が揺れる。ついに森の開けた場所に来た。円形に木が切り取られたような場所だ。
「うん? 何か居るぞ」
武司がそう呟くと武司の前方の一歩手前の地面にグサリと矢が刺さった。武司は戦慄した。よく見ると矢を放った相手は下半身は馬でお尻から尻尾が生え上半身は人間という不思議な生物だった。
『ウォーレスですね。ついにバトルイベントですね。頑張って倒してください』
「えー!? 俺、剣もろくに使えないんですけど」と武司。
ウォーレスはニヒルに笑うと
「悪いがそなたの肉を食わさせてもらうぞ。汚れた人間よ」
モンスターのウォーレスは腰にはいていた剣を鞘から抜くと白刃を武司に向け突進してきた。ウォーレスは横切りを放った。