41話
『ドロールキングですね。弱点は大きな目です』
武司は一呼吸し空中にイメージを重ね剣を三本作り出した。どの剣も実践向けの外装をしている為派手な装飾は施されていない。ドロールキング達は低音の声を荒げながらのそのそと武司達目掛け向かって来た。
「飛べ!」
武司の発した声と共に浮いていた剣がドロールキング達に向け飛来した。三本の剣とも三匹のドロールキング達の目に突き刺さった。「ギエー!」と叫びながらドロールキング達は残っていた建物を崩壊させながら崩れ落ちた。地面にドロールキング達の緑色の血だまりができる。
「さあ進もうぜ!」
「あはん、武司現牙を出現させるの早くなったわね」
「えへへ、まあな」
武司達は壊れたり風化した建物の脇や通れる道を進んだ。通過した直後に倒壊する民家もあり武司達は胆を冷やした。黙々と歩を進めて行くと広場にでた。そこの真ん中には石の魚の口から水を噴き出す噴水があり近くにはいくつかの錆びたベンチが置かれていた。傍の花壇には萎れた花が点々と生えていた。放置され枯れてしまったのだろう。そのベンチには大粒の瞳、すっきりした鼻、ふっくらしたピンク色の唇、金色の背中までの髪の妙齢の美女が腰掛け歌っていた。