34話
どうやら腕利きの盗賊団のようだ。ノース国の城門を突破し侵入したのだろう。招かねざる乱入者達は逃げ惑う客を殺し金品を奪いながら殺戮を続けていく。護衛の人々との対決も繰り広げられている。
「俺はサンリーマ盗賊団のルッパだ。お前名は?」
「武司だ。ルッパ、その空気の弾丸は反則級な威力だな」
武司は剣と現牙によって作り出した盾を持っている。ルッパは肩までの長髪を揺らしながら空気弾を乱射していく。武司は盾を変牙により伸縮させながら弾を弾く。オークションの来客者は三分の一が殺され血を流し倒れていた。会場内では剣のぶつかり合う音や騒がしい喧騒がなりやまない。
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「野郎供! 魔剣を奪った! 脱出するぞ! サンリーマの兄貴が城門で待ち侘びてるはずだ」
仰向けに倒れた司会者の胸にグッサリと突き刺した剣を引き抜きながら坊主のカナタが言った。
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「カカカカカン! カカン」と武司は襲い来る殺傷能力抜群のルッパの攻撃を盾で防ぐ。武司は意識を集中しホールの上部に十本の剣を現牙で出現させルッパに向け飛ばした。ルッパはそれを見て足場の悪い階段で前宙し転がりかわした。ルッパがあわやというところで移動した石の床には剣が深々と突き刺さっていた。しかし武司の作り出した最後の一本の剣がルッパの首を切り裂いた。