26話
「グワ!」
と武司は沈痛な声を上げながら白い壁に背中をぶつけた。
「てい!」
サリナが二本の小刀で四度ゾルの胸を切り裂いた。ゾルは僅かに後退した。そこへサリナのバルハートが一閃した。ゾルの頭部が飛んだ。ゾルの肉体が首から血しぶきをあげながらばたんとまえのめりに倒れた。首をはねたのだ。地面に落下しコロコロと転がったゾルの頭は口と目を大きく開いていた。
「あはん、怪我は無い武司?」
「大丈夫?」
心配するサリナとルーノ。武司は床に腰を下ろした状態でうずくまり「うーっ」と唸っている。
『背骨が折れたみたいですね』
「あはん、何とかならないかしら?」
『余裕です。任してください。たあ!』
武司は健全な体に戻った。
『武司さんどうですか?』
「あ、あれ痛くなくなった。流石作者だな。作者が味方って無敵じゃね」
「あはん、確かにそうね。負ける気がしないわ」
「じゃあ二階を探索しましょう」
ルーノの言葉に三人は螺旋階段を一段一段昇っていく。手摺りは綺麗に磨かれツルツルしていた。掃除が行き届いてるようだ。階段を昇ると左右に通路があり所々に扉が見えた。武司達は左手の通路を歩き始めた。武司達の鼻腔を美味しそうな臭いがくすぐった。