25話
「あはん、心牙って何かしら?」とサリナ。
『心牙は四属性あります。強牙……つまり剣の切れ味を上げたりするや、現牙……無から有を生み出したり、変牙……AをBに変える。最後に無牙……相手の動きを見切ったり、相手の予想外の攻撃ができる。この四属性の総称が心牙ですね』
西側の扉はネズミ色で頑丈な鉄製の扉だった。二つも鍵がかかっていたがタケノコにより開錠された。ゆっくりと押し開くサリナ。開いた部屋の中には茶色い肌に尖った爪と牙、長い尻尾に鋭い目をしたモンスターが何百匹も居た。モンスター達は暴れたり喧嘩をしたり叫んだりしていた。広大な部屋だった。松明が幾つも燃えている。
『ゾルですね。危険なモンスターです! 扉を急いで閉めてください!』
扉を敏速に閉めたサリナだったが一匹だけ四本足で走り部屋の外へ身をおどりだした。扉は「ガチャリ」と鍵が閉まった。
「チッ!」
武司は身の丈ニメートルはあるゾルに剣で切り付けた。ゾルは武司の放った一撃を白い大きな爪で受け止める。サリナがバルハートの斧の部位で斬撃を浴びせた。ゾルの背中に直撃しそこから赤い血が流れる。ゾルは「グー」と声を上げたが怯まず武司に四本足でダッシュし体当たりをぶちかました。