24話
武司は宝箱の蓋を押し上げようとした。しかし開かない。鍵がかけられているのだろう。
「あはん、タケノコさん何とかならないかしら?」
サリナがバルハートを右手に持ち左手を腰にあてながら質問した。
『任せてください、サリナさん。てい!』
宝石がちりばめられた宝箱が「カチャ」と音を発て錠が開いた。
「さすが作者ね」
『エヘヘ』
ルーノが腕を組んで褒めたてる。辺りは静寂に包まれている。窓の無い部屋で武司はそっと宝箱を開いた。中には何が――
「ブー! ブリュ! ブフ! ブフー!」
「くっせー! 屁の臭いだ、ウエー!」
宝箱は恐ろしいトラップだったようだ。しかもオナラの。宝箱が空なのを確認すると武司は宝箱の蓋を閉じた。
「あはん、武司大丈夫?」
「え、あー、臭かっただけだぜ」
また玄関ホールに戻って来た三人は西側の扉に向かって歩いた。城内はとても静かだ。
『そう言えばハンター商会から幹部である五鬼のルナハがこの城に先に潜入しているようですよ』
「五鬼って何だ?」
『二つ名ですね。ハンター商会で上から三つ目の実力者に与えられます。五人いるんです。強力な心牙の使い手ですよ』