23話
『皆さん起きてください。冒険の時間ですよ』
まず武司が体を揺らし起き上がった。
「ここどこだ?」
『北の悪魔カイザーの城内の玄関ホールです』
武司の正面には二階へ上がるらせん階段があり一階の左右に二つの扉がある。豪奢な造りの城だ。床には赤い絨毯が敷かれ天窓からは太陽の光りが差し込み城内を照らしている。
「あはん、また強引な事したの?」とサリナが立ち上がった。
『あ、はいすみません。強敵と戦うのっていいかなーと思ってですね』
「仕方ないわね。でも北の悪魔って確か魔物上位種のハスナよね」
ルーノが辺りを警戒しながら尋ねた。何の気配もしない。金色のらせん階段を凝視するルーノ。
『そうですね。強いと思いますけどいざとなれば僕がいますんで大丈夫ですよ』
「よし探索しようか。まずは右の扉からだ!」
武司達一行は静かに足を忍ばせながら一つの扉の前に来た。茶色い両開きの扉で二つのドアノブがついている。武司はドアノブを回し恐る恐る扉を押し開いた。中には槍や剣、盾に鎧そして大きな金色の宝箱が一つだけあった。松明が中心にありよく燃えている。
「お! 宝箱じゃん。ラッキー。開けてみよっと」