12話
様々な鎧を着込んだ人々も居れば商人だろうと思える荷車を引く人や旅装に身を包んだ人や一般人も居た。門の出入口で数人の鎧兜を着込んだ番兵によって入国審査が行われていた。武司とルーノが番兵に近付くと門番と思われる兵士は言った。
「名前は?」
「俺は武司でこっちがルーノだ」と武司。
ニヤリとほくそ笑んだ番兵は
「入りたければ合言葉を言え」
『空は青く海も青い』
武司達を困らせようとした兵士であったが武司にはこの世界では神とも呼べる作者が味方についていた。番兵は悔しそうな顔で辺りを伺うと
「さっきのはお前が言ったのか?」
「え、ああそうだ」と武司。
「入っていいぞ」
武司とルーノはノース国に入国した。ノース国の大通りには店舗や露店が軒を連ねていた。威勢よく商品を宣伝したりたたき売る商人の喧騒がどこもかしこから聞こえてくる。どの店にも客がついていて繁盛しているようだ。可憐な美少女ルーノは武司の手を握ると
「こっちにハンター商会があるわ」
ルーノは武司の手をぐいぐい引っ張りハンター商会へと導く。大通りの最奥にあった建物に「ハンター商会」という簡素な看板がぶら下がっていた。武司には異世界の文字が読めた。