10話
しばらく歩くと体毛が茶色で豚鼻のイノシシのようなモンスター二匹に出会った。つがいだろうか。
『ブーイというモンスターです。突進に注意ですね』
平凡な容姿の武司は腰の剣を抜き放ち特殊スキル剣の達人を発動させる。美少女のルーノも短剣を二本腰の鞘から抜き構えた。
「来るぞ!」
武司はそう言うと駆けてくる一匹のブーイの突進を避けながら縦切りを行った。ブーイの走った道から砂煙りが舞い上がる。武司の一撃は命中しブーイの首が深く裂かれ絶命するブーイ。体が右に傾き倒れるモンスター。
「たあ!」
ルーノは小刀二本でもう一匹の逃げ腰のブーイに走って近づきバツの字に切り掛かった。そのブーイは「クーン!」と切られて鳴いた。そして出血多量の為地面にゴロンと転がった。
「さあ、森を抜けようぜ」
「ええ、そうね」
森を抜けると平地が続いていた。丘の上に登り景色を見ると遠くに都市を囲う城壁とその周りに開墾された畑が見えた。赤や緑の野菜や果実と思しき作物が実っていた。平地を歩いていると黒い肌、鋭い牙、六本の手足を持つ全長一メートル程のモンスターと鉢合わせした。
『ジャイアントアーンですね。毒を持っているので噛まれたら危険ですよ』