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表の生徒会長に就任しました――俺、立候補してないのに  作者:


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初めての大仕事

 そのころ俺が頭を悩ませていたのは、グラウンドを使ったイベント企画の立案だった。

 チアグループのパフォーマンスと、ブラスバンド部の演奏会以外に、もう一つ、遊び要素の強い企画を考えて欲しいと、緒方先輩から任されていた。

 俺は数日間考え込み、何も浮かんでこないので、一旦はギブアップしていた。


 生徒会長に決まった日、風呂でぼんやりしている時に、急にアイデアが浮かんだ。

 ℮スポーツクラブが、高校や大学の強豪チームと対戦を行うのを思い出し、そこからサバイバルゲームをやってみようかと思いついたのだ。


 本格的なのは無理。

 安全対策面も難しいし、経験者も少ないだろう。そうやってできない事を省いていった。


「これもう、ほとんど鬼ごっこじゃないか?」


 高校の学園祭で鬼ごっこは幼稚すぎるか、と考え込み、それからまた数日悩んだ。

 そんな折に、議員秘書の荻さんから展示に関してのメールが届いた。

 国政関連であまり固い内容だと興味を持ってもらえないので、何かいい案は無いかと尋ねてきている。


 これも難しい。元々が固い内容なのだ。

 荻さんの苦労を思い、俺はねぎらいつつ、半分自分の愚痴を連ねたメールを返信した。


 すると折り返し秘書氏から電話が入った。


「田中君、君の鬼ごっこ案に、こっちも乗っからせてもらえない? 鬼役で自衛隊を派遣するからさ」


 自衛隊、ですか?

 それはまた本格的な鬼ごっこ。鬼ごっこというより、脱出ゲームに出来るかも!


 そんな感じにコラボ案を練っていき、そして出来上がったのがこれだ。


『脱出ゲーム』

 グラウンドに三カ所のトラップエリアを設け、それぞれに鬼(自衛隊員)がいて侵入者を捕えに来る。

 それをかわして三カ所全てを逃げ切れば、侵入者の勝ち。各出口で脱出証明発行。

 参加者側のみ、脱出に必要な攻撃は有り。武器持ち込み禁止だが、その場にある物の使用は可。

 参加は自由。年齢制限有り(十三歳以上)  


 生徒会にこの企画を出した途端に、四人全員が参加すると表明した。

 この分なら盛況間違い無しだ。

 初めて俺が一人で企画立案したイベント。

 ドンッと責任が肩に伸しかかる。


 それから荻さんと連絡を取り合いながら準備に当たった。


 エリア1は、学校の隅にある廃校舎を使う。まっすぐの廊下と教室が四つ有って、鬼はどれかの教室内に隠れている。

 ここの攻略は教室の前後のドアや窓を使い、鬼を撒くのが鍵だ。


 ドアや窓は全部撤去し、追いかけっこの邪魔になる机を並べて置く。廊下の端の入り口から入り、反対端から出ればクリアだ。

 ここでは鬼は一人切りで、一対一の勝負になる。

 エリア1のテーマは、『俊敏さと判断力』。


 エリア2は、グラウンドに自衛隊が設営してくれることになった。コンテナやドラム缶が置かれたコンテナヤード風で、ここが一番広い。


 人数制限は無し。鬼も数人が待ち構えていて、混戦になる。

 コンテナ内や通路で挟まれたら終わりなので、鬼の配置と脱出ルートのセレクトが要だ。

 エリア2のテーマは、『ルートの選択』。


 エリア3は、十数メーター角程度のエア遊具内での戦いになる。

 これは協賛してくれる企業がエア遊具を貸し出してくれる。古い品なので汚しても良いと、太っ腹な事を言ってくれている。


 このエリアでは鬼の内二人は、ペイント弾も装備している。

 参加者はゴーグルと雨合羽を着用。動きにくくなるけど仕方が無い。その代わりペイント弾を防ぐ盾を与える事にした。

 ここも人数制限無し。

 そうは言っても、ここまで進む人数はかなり少ないはずだ。鬼の人数はエリア二より少なめ。

 エア遊具上での動きは特殊なので、それに早く慣れないと、すぐに仕留められる。

 エリア3のテーマは、『エア遊具の攻略』。


 ここだけ、自衛隊側に注意を促すことになった。


『無駄撃ち禁止、近接での射撃禁止』


 俺も参加してみるつもり。

 荻さんもやる気でいる。それまでに筋トレとランニングで鍛えると笑っていた。


 そんなバタバタした中で、CM冬期バージョンの依頼が入ってきた。

 今回も里見先輩の事務所経由だ。


「秋バージョンが流行ったから、冬バージョンもって言ってきているけど、どうする?」

 すぐ乗るかと思っていたのに、緒方先輩は少し考えている。それから俺に問いかけた。

「ヒロシ次第だな。やるか?」

 今井先輩も井上先輩も里見先輩も俺を見ている。

「できればこれ以上恥を晒したくないです」


 それを聞いて、井上先輩が俺の腕を引っ張った。

「別に恥じゃないよ。すごく魅力的に映っていたもの。冬バージョンの中心は多分ヒロシよ。だからヒロシに任せようと思ったのに、そんな後ろ向きなことを言うなら強制参加だね」


 井上先輩の何かに火がついてしまったようだ。


「でも、先輩方は受験を控えているし、そんなことに時間を割く余裕はないでしょう」

「全員Aランク取っているから大丈夫」

「Aランク、ですか。すごい」

「私は工学部よ。宇宙ビジネスか、開発関連の勉強をしたいから」


「工学部? 経済とか法学部かと思っていました。だって永田町のアルバイトは?」

「そっち関連の未来に、永田町の協力は必須よ。伝手を作らなくちゃね」


 思っていたより、井上先輩は凄かった。

 凄いのは知っていたけど、俺のスケールが小さいせいで、大きさを見誤っていたようだ。議員の方々はそれを見抜いていたのかな。


「受けよう」

 緒方先輩が決定した。


「前回は、今後のために、世間に顔を売っておくのもいいかと思ったんだ。だけど今回は俺の為にもヒロシの為にも、受けるべきかもしれない。やろう」


 そして結局、冬バージョンの仕事を受けることになった。


 今回も野口さんとの6人のメンバーだ。

 この回は、十一月半ばから年末年始に向けて放映される予定で、 仲の良い友人が集まったパーティーの様子を撮る。


 ラフ案によると、恋愛編は俺と里見先輩、俺と野口さんのそれぞれ1本ずつ。

 その二回は、俺が花を渡して終わる筋書きになっている。


 今回は俺にだけ演技が求められるのかと緊張したが、それはないらしい。

 単に二人の元に向かい、花を渡せばいいだけとなっている。


 それでは、物語にもならないと思うが、CMプランナーは、

「これは受けるよ」

 とコメントを添えている。


 どこが受けるのか俺には全くわからない。


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