表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

訓練



リオは深呼吸をし、目の前に立つ巨大な装置を見つめた。それは、「磁力訓練装置」と呼ばれる、スターガイアの住民が使っている訓練用の道具だ。円形の巨大な金属のプレートが、空中に浮いている。その周囲には強力な磁力が放出されており、地面に接触することなく漂っている。


「さあ、リオ。お前が習うべきは、ただの力の使い方じゃない。」サラが訓練用のヘッドセットを調整しながら言った。「磁力をどう制御するか、それが鍵だ。」


リオはその言葉に頷き、装置の前に立った。周囲から強烈な磁場を感じ取る。無意識に足が少し震えるが、彼はそれを必死に抑えた。


「磁力の力を使うには、まずは心の状態を安定させないといけない。」サラは言いながら、手のひらを上に向けて、彼の目の前に浮かぶ磁力のコントロールポイントを示す。「この装置に触れることで、外部の磁場と内部のエネルギーを調整できる。お前が動かすべきは、ただの力じゃない。『流れ』だ。」


リオは指示に従い、ゆっくりと手を伸ばす。手のひらが空中に浮かぶ金属のプレートに触れた瞬間、彼の体に電流のような感覚が走った。手のひらから何かが伝わってくるような、強くて無理に引き寄せられる感覚だ。


「感じるだろう?磁力の流れを。」サラは彼の反応を見逃さなかった。「それを掴み、操るんだ。無理に引き寄せるのではなく、磁場の中で自分のエネルギーと同期させろ。」


リオは集中し、手のひらに伝わる感覚を深めようとした。最初は違和感があり、まるで体が引き裂かれそうな感じがしたが、少しずつ慣れてきた。まるで、金属と一体化するような感覚が広がっていく。


「その調子だ。」サラが励ますように言った。「その『引き寄せ』の感覚を、今度は逆に、反発させることを考えろ。引き寄せる力を利用して、空中のプレートを押し返してみろ。」


リオは深く息を吸い込むと、ゆっくりと意識を集中させ、手をプレートから少し離してみた。その瞬間、強烈な磁力が反発し、プレートはわずかに浮き上がり、彼の手からほんの少し離れる。リオはその反発力を感じ取り、しっかりとそのエネルギーを制御する感覚を覚えようとした。


「成功だ。だが、これが全てではない。」サラはリオの手を見守りながら、次のステップへと導く。「今度は、引き寄せと反発を同時に使う。プレートを上に引き上げ、次にそれを反発させて地面に落とす。まるで、磁場を操るかのように。」


リオはその指示を受け、もう一度プレートに手を伸ばした。今度は、引き寄せと反発を同時に意識しながら、心の中でその力を調整し始める。


最初はうまくいかない。プレートが上に引き寄せられると、すぐに手から反発して飛び離れてしまう。そのたびに、リオは焦ったが、サラの冷静な声が耳に届く。


「焦るな、リオ。引き寄せと反発のタイミングを合わせるんだ。力を分けるのではなく、流れとして捉えろ。」


リオはそのアドバイスを受け、もう一度集中し、力を調和させようとした。そして、少しずつだが、プレートがゆっくりと空中に浮かび、制御が効くようになってきた。


「よし、それでいい。」サラが微笑んだ。「磁力の力を完全に制御するには、心の状態を整え、自然の流れを感じ取ることが大切だ。最初は難しいかもしれないが、少しずつその力を覚えていくんだ。」


リオは汗を拭い、満足げにうなずいた。この訓練を通して、ただ力を使うのではなく、力を操るためには心とエネルギーのバランスが重要だということを実感した。そして、磁力の力を自在に使いこなすためには、まだまだ多くの学びが必要だと感じていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ