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磁力の星



宇宙船が滑るように進み、煌めく星々を背にして、目の前に巨大な星が現れた。星の表面は、まるで無数の金属の粒子が漂うかのように光り輝いている。通称「スターガイア」、磁力の星だ。


「到着しました。」船のコンソールから、冷徹な声が響く。


「ついに着いたか…」リオは息を呑みながら窓の外を見つめる。周囲には、ほとんど何もない真空の空間が広がっている。ただ、星そのものが異様なほどに目立っていた。まるで引き寄せられるかのように、星が彼の視界を支配している。


「艦長、磁場の影響で機械の動作に異常が出ています。進行方向を調整する必要があります。」通信担当のサラが焦った声で言った。


「わかっている。」リオは腕を組み、もう一度コンソールを確認する。周囲の磁場が強力すぎて、すべてのナビゲーションシステムが狂ってしまっている。宇宙船の一部は、金属の引力に引き寄せられて微妙に揺れていた。


「磁場の強さ、半端じゃないな…」船内にいる他のクルーたちも、どこか緊張した面持ちだ。だが、それよりも目の前にあるこの異常な星の景色が、誰の目にも強烈に映っている。


星の表面には、浮遊する都市が見え隠れしていた。金属でできた巨大な構造物が、空中でひしめき合うように浮いている。その様子は、まるで星の重力に逆らっているかのようだ。しかし、その浮遊は、恐ろしいほどの磁力によって成り立っている。


「降下準備を整えて。」リオは冷静に命じた。


「重力の異常が確認されます。もし降下するなら、慎重に進むべきです。」サラが警告する。


「了解、慎重に。」リオはもう一度船の周囲を見渡し、次第に緊張感が高まるのを感じていた。


宇宙船は、星の大気圏に接近する。金属のひび割れた地面が視界に現れ、引力の影響を強く受ける船体が少しずつ揺れる。リオは目を細め、周囲の磁場が引き起こす不安定な動きに注意を払っていた。


「シールドがダメージを受けています!通信が途絶えました!」サラが叫んだ。


「くそ、もう少しだ…!」リオは舵を握りしめ、船を引き寄せられないよう必死に操縦する。磁力の力で船は引き寄せられ、異常な引力がどんどん強くなっていく。


次第に、視界に映る景色が歪み、金属の建物や巨大な構造物が反転していく。地面がひどく揺れ、船のバランスが崩れかける。


「着陸地点、直前です!」サラが叫んだ。


船はついに星の表面に接地し、金属の地面にガシャンと音を立てて着陸した。船内の振動が収まり、緊張が少し解ける。


「ここが…スターガイアか。」リオは、船の外に広がる景色を見つめた。浮遊する都市、引き寄せられた金属、そして、これからどんな冒険が待ち受けているのかという期待と不安が入り混じる。


「俺たちは、ここで何を探しているんだろうな…」リオはその問いを心の中でつぶやきながら、慎重に船を降りる準備を始めた。


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