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13 予定外、想定内

お知らせ

 本章が終了次第、暫くの休載となります。

 再開は来年度の予定です。

※本章は引き続き3日に1度投稿します。

 突如として降って湧いた討伐隊の総指揮権。


(いやいや、これどういう事にゃ!?)


 指揮権の委譲自体はそう珍しくもない。

 例えば駆逐艦付きの小隊の場合、出撃や撤退などの大まかな指揮は艦長が部隊総指揮官を兼ねるが、艦付き部隊の各機をどう動かすかは部隊長に一任される。

 そして部下を残し隊長が撃墜された場合、指揮権は艦長ではなく残った部隊員で階級が一番上の者に引き継がれる。

 このことから分かるように、総指揮と部隊指揮は異なる指揮系統となっている。

 しかし今回の場合、艦長にあたるザック船長から指揮権の委譲。


(いや、確かにこの戦闘は概ねわたしのプランが有効

 だったけど…。)


 ザック船長に討伐隊の総指揮権が渡ったところで、運び屋(輸送任務)一択でやってきたザック船長に戦闘の指揮が難しいというのは分かる。

 そして実質的な指揮を担ってきたわたしに指揮権を委譲するのも、まあ分かる。

 しかし立場に拘るバッズ大尉がいくら自ら指揮をとることが出来ないからといって、下に見ていたザック船長に指揮権を委譲などするのだろうか?


(『…流石に、もう拘っていられる状況じゃないって

 思ったんじゃないの?』)


 立場か自身の命か。

 この二択となった場合、バッズ大尉がとるのは後者になるだろう。


(「指揮権を誰かに譲って、全責任を押し付けるつも

 りかもにゃ?」)


 …うん、そう言われた方がしっくりくる。


(「何なら…いざとなれば野盗に下って、軍の別の部隊が来たら「潜入してた」とか言ってしれっと軍に戻っていたりして…。」)


 あり得る…仮に次の部隊が派遣されなかったとしても、出来るかどうかは別として絶対に下った先の野盗を裏切る真似(行動)をする。


(「そして吊るされるまでがセットにゃ。」)


 野盗共に暴行され、泣きながらに許しを乞う姿がありありと想像できた。


(『ちょっとそれ(妄想)は置いといて、今どうするかが先

 じゃないの?』)


 盛り上がるわたしとマルを、シアが少し棘のある口調で咎める。

 …そういえばシアはこれ(暴力)系の話が好きでは無かった。


(う~ん…とりあえず“準備”だけさせて、詳しい話を

 聞いて見るにゃ。)


[ライオネル隊:全機トリガーフリー(火器安全装置解除)、1機はレーダ

 ーを広域探索とし母船とリンク、その他3機は前衛(444小隊)

 が抜かれた場合迎撃、それまでコンテナ内で待機を

 続行。

 ザック船長:回避優先の自己判断で行動。

 但し都度の指示には可能な限り従うこと。

 指示外:事の次第の詳細を求む。]


「…っと、こんなもんかにゃ。」


 暗号化前の文面を読み返して独り言ちる。


(『待機って…、皆で一緒に戦った方が良いんじゃな

 い?』)


 わたしの目を通したか記憶を覗いたか。

 シアが尤もな提案をしてきた。


(「…いや、これは相手が逃げないようにするため

 にゃ。」)


 マルがわたしの意図を正しく読み取り、シアに説明した。

 この戦闘が拠点の攻防であれば、各個撃破の可能性のある手段は取らない。

 しかし今回の相手は正規軍に偽装する卑怯上等のスカベンジャー。

 このての相手は、自分たちが不利と覚ると一目散に逃走してしまう。

 そこで敢えて戦力が拮抗、または向こうが少し有利に見せ掛ける必要がある。

 今の状況は、わたしたちが全力かつ奇策を用いて何とか有利。

 しかし手札は無い、あっても僅か。

 対して野盗側には何らかの手段が残っていることが、追撃を受けていないことから確実。

 しかも元軍属のため、こちらの定石やとられたくない手段を熟知している。

 母艦を破壊され後の無い彼らは高い確率で最終手段のようなことを出してくるだろう。

 このことから多少のリスクを承知で、良くて殲滅、悪くても敵の手札を暴くことが出来る方が有益と判断されるのだ。


(「肉を斬らせて何とやらにゃ。」)


 一応言っておくと、斬らせるつもりも無いが。


(『そう…。』)


 危険に付き合わせる444の面々には悪いと思うが、彼らも兵士…危険は承知だろう。

 というわけで送信。


「…トリアンダ、一端船の防衛は後回しにゃ。

 こいつをどうするか相談するにゃ。」


 送信から少し間を空け、無線でトリアンダを呼び出す。


「…了解した、すぐそっちに行く。」


 暗文を読んでいたのか、少し間が空いての了承の返答。

 この間も無線を傍受しているであろう野盗に、良い感じに勘違いを生み出したことだろう。

 そして…


『おうお前ら、取引といこうじゃないか?』


(掛かった…!)


 野盗のボスからの通信。


『ピッ!』


 そしてレーダーへの反応が3つ。


「っ!?」


 レーダーが示した反応に、素で息を飲む。


(まさかっ…そう来るにゃ…!)


 わたしが息を飲んだのが、向こうにも伝わってしまったのだろうか?

 そう錯覚するようなタイミングで、野盗のボスは“取引”の内容を突き出してきた。


『こいつの命とお前らの持ちモン…どっちが大事だ。

 えぇ、兵隊さんよう?』


『助けて下さいっ、お願いします!!』


 野盗のボスの乗るキマイラが突き出す、見覚えのある白いラインの引かれた機体。

 必死に救助を訴えてくるパイロットは非常に若い声。


(これは…最悪、かにゃ?)


 襲撃を受け行方不明とされたライオネルたちと同期の訓練生。

 その機体が敵の手に落ち、討伐隊目の前に姿を現したのだった。



いつも読んでいただきありがとうございます。


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