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10 性能の壁

ガンポッドは戦闘機の外付けバルカン的な武装なので、メイン武器にするには不都合が多いです。

 スカベンジャーの母艦を沈めてから10分程が経っただろうか?


ゴオォッ!


 ブースターリミットを全開の手前まで開き、速度と機動力の両立を維持する。


(「ピコッ!」) 

(分かってるにゃ!)


 操縦レバーを右に傾ける。


グッ…!


 身体に左に押し付ける力が掛かる。


「うぐっ…。」


パパパッ


 急機動による強力なG(重力加速度)に呻き声が出るも、後方から通過していった光線に四の五の言ってはいられない。


『おいっ回り込め!

 挟み撃ちにしてやる…!』


 攻撃を回避するだけで一杯一杯のわたしにバックアップは不要と見たのか、スカベンジャーの頭目は僚機を追跡から外した。


(『やった、一対一だよ!』)


 タイマンなら負けないと思ったのか、シアが珍しく反撃を促してきた。


(今は…っ!)


ギュルッ


 無理と思う暇もなく機体を最小半径で切り返す。


「ギリィッ…!」


 今度は右から掛かるGに、食い縛った歯が擦れる音が鳴る。

 単純な機体性能(スペック)の差。

 魔改造されているとはいえ、この機体(ジャンク・クラっド)は作業機。

 装甲の換装やメインスラスターが多少大型化された程度のキメラ改ならばまだしも、戦闘用に再設計されたキマイラが相手では逃げるだけでも全力だ。


(ザッコと装備を交換したのミスったにゃ?)


 以前機体の適性を調べた際に各機の基本装備も決めたが、今回はザッコとモウブを攻撃役(アタッカー)とするために、ザッコとDマシンガンと7.5ミリガンポッドを交換していた。

 口径が10ミリはあるDマシンガンならワンチャン狙えたかもしれないが、後の祭りというやつだ。


(「でもそのおかげで、今逃げられているんじゃない

 かにゃ?」)


 マルの言うことも事実であるので、結局は無理ゲーではないだろうか?

 加速してしまえば機体重量は速度に関係無くなるが、今行っているような急機動には旋回の半径等に影響が出る。

 戦闘用に最適化されたキマイラは、機体各部のサブスラスターで無理やり機体を旋回させられるのがズルいところだ。


(ザッコとモウブは大丈夫にゃ?)


 現実逃避的に、敵のキメラ改とタイマンしているであろう部下達のことを考えた。





















─ 討伐隊視点 ─


 ピコがスカベンジャーのキマイラとキメラ改の2機を相手に現実逃避していた頃、討伐隊の母艦である輸送船ブリッジでは怒号が飛び交っていた。


「何をしている!

 野盗一個小隊に手こずるなどっ!」


『隊長はキマイラと後1機を相手してんだ!

 俺がザッコかモウブの援護に出たらすぐ終わらせて

 やるよ!』


 何度も444小隊の不手際を責めるバッズに、船の防衛に就くトリアンダが遂にキレる。


「上官に向かって何だ、その口のききかたは!?

 それに船の防衛を放棄するなど…っ!」


『何の為のライオネル隊だよ!?

 この状況で待機とかふざけてんのかっ!』


 訓練兵のライオネル隊を予備戦力とする444小隊と、あくまで実戦には出したくないバッズ。

 バッズの仕事をピコが肩代わりしてきた弊害が、最悪の形となって討伐隊を襲う。


『バッズ大尉、俺達もやれるぜ!』


『大尉、ライオネル隊に出撃の許可を。』


『中尉がやられたら皆もやられるだけよ!』


 ライオネル、グラシズ、クルセルが懇願する。


「ならん!

 君たちに万が一があれば…儂は」


『だ~か~ら~っ!

 隊長がやられたら万が一も糞も無ぇって話してんだ

 よっ!』


 ライオネル隊を気遣うようなことを言うバッズだがその魂胆は分かりやすく、話が堂々巡りし一向に進まない。


『こちらザッコ、マシンガンの弾が切れた!』


『『ボンッ!』ぐわっ!?

 こ…こちらモウブ、スラスターに被弾!

 出力低下、機体の速度が出ない。』


 そうこうしている間にも状況は悪くなる一方だった。


『大尉!』

『バッズ大尉!』

『大尉殿!』


 トリアンダ、ライオネル隊、ザック船長までもがライオネル隊の出撃許可を求め、バッズを呼んだ。

 対するバッズの対応は…


「ええい、煩い煩いっ!

 さっきから喚きおって、少し黙らんか!」


 思考を放棄しての癇癪だった。





















─ 野盗視点 ─


パパッ! パパッ!


旧型(ロートル)でよくやるっ…!)


 新型(キマイラ)並みの機動でパルスガンの射撃を避け続ける雌パイロットに、頭目は素直に舌を巻いた。


(…だが墜とせる。)


 機体性能の差を技量でカバーしているようでも、サブスラスターが用いられた機動ほど滑らかには動けていない。

 つまり急機動で回避されても、その後一瞬は動きが直線的に(分かりやすく)なる。

 しかもその機動はシステムの補助も無い手動(マニュアル)操作によるため、それを行うパイロットの負担は大きく、そう長く保つものでもない。


(とするとどうするか?)


 操縦の知識があれば相対するだけで分かることを、これ程の技量を持つパイロットが理解していない筈が無い。


パパッ!


ギュンッ


 またしても攻撃を回避した敵機が、デブリの陰に消える。


(一般兵なら逃走…)


 しかし傭兵が護衛対象を置いて逃げるか?

 その問いの答えは…


(今だっ!)


バッ


 デブリの陰から機体正面をこちらに向けた敵機が飛び出す。

 デブリを目眩ましにしての反撃。

 狩る側と狩られる側を一瞬で逆転させられる一手。

 …但しそれは予想外であればの話。


(貰った!)


 敵機が飛び出してくる方向を、複数の選択から見事導き出した頭目は勝利を確信した。


ヴォッ


 しかし先に火を噴いたのは敵機の5ミリバルカン。


バババッ!


 しかしその弾は敵機が隠れ蓑にしたデブリに阻まれ、砂埃を上げただけに留まる。


(何処見て撃ってやがるってんだ!)


パパッ!


 バルカンを放った後の硬直。

 敵機は逃げられない。


バジュッ…!


 直撃した筈のパルス弾が、敵機の装甲の表面を撫でた。


「耐レーザー塗装(コート)だとっ!?」

赤いマスクの少佐「何だとっ!?」



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