6 裏裏裏ぁ~!
ザッコとモウブがあんなにカッコいいわけ無かろう!(↑失礼)
─ ピコ視点 ─
『うわっ、うわわっ!』
『ひぃえぇぇっ!』
バシュッ……ガキンッ!
(あのバカ共、調子に乗るからっ!)
無線から頻繁に聞こえるザッコとモウブの悲鳴に、アンカーの巻き上げ機を最大回転数で作動させる。
ギュルルルルッ!
ガクンッ…
大型モーターが高速回転する音の何拍か後、機体がつんのめるようにして動き出した。
(ザッコ達に任せたのは失敗したにゃ…。)
寝不足で倒れたことの反省に、わたしがすぐに指揮を取れない場合、ザッコとモウブには与えた方針に沿っていることに限り、自由裁量権を与えていた。
現状は「攻撃を受け、隊に損害が出た場合」に対して、「脅威の排除または損害の防止」に該当していると言えた。
(『なら彼らの対応は間違っていないんじゃない
の?』)
確かにシアの言う通りであるが、やり方が不味過ぎた。
まず、攻撃を受けた際は敵機はまだ発進していなかった。
(『でもピコは出撃って言ってわ。』)
それもその通りだが、出撃と攻撃はイコールではない。
敵のテリトリーで攻撃を受けた時点で、敵は仕掛けを終えていると考えられる。
ザッコとモウブを出撃させたのは言い方が悪くなるが、船が退避した先に敵が伏せていたなどの事態に対する盾役を期待してのつもりだった。
一応部隊単位での戦術を知るザッコらが、まさか「詳細不明の長距離火砲が放たれたポイントに突貫する」などとは思わなかったのだ。
(「まあ、あれらが派手な囮になったおかげで大物を
見つけたにゃ。」)
ザッコとモウブを捨て駒扱いするマルだが、実際に真下にスカベンジャーの母艦を捕捉しているため、咎めたとしても説得力がなくなっている。
(「んで…、“や”らないのにゃ?」)
(分かってる、ちょっと待つにゃ!)
マルが急かすが、そうも行かない理由がある。
スカベンジャーの母艦が静止していたのは、狙撃の射線の通し易い、デブリ帯の拓けた場所のド真ん中であった。
今わたしがいるとこ《敵船直上の浮遊岩石》までは、上手いこと探知されずに来ることが出来た。
しかし攻撃を仕掛けるとなれば射程まで接近せねばならず、こちらの射程に収める前には必ず敵船の近接警戒センサーに引っ掛かる。
そうなれば多少なりの抵抗は予想されるし、下手すれば大火力レーザーも飛んでくる。
(『ということは、見ているだけなの?』)
(「出来なくはないけど、ピコでもリスクが高いって
ことにゃ。」)
悲しそうに問うシアに、わたしの代わりに答えたのはマル。
「わたしでも」という部分を除けば、わたしとマルの見解は一致している。
(『じゃあ“あっち”にいきましょ?』)
敵船をどうにも出来ないなら、ザッコらと合流して敵部隊と戦う。
現状はそれが唯一取れる選択だろう。
(いや、ここで待つにゃ。)
マルに待つように言ってから打っていた電子文書を、暗号化して船に送信。
後はタイミングを逃さないよう集中するだけ。
(現状で取りたい選択肢がないなら、条件を足せば選択肢も変わると思わないかにゃ?)
仕掛けは既に済んでいる。
─ 野盗視点 ─
「ふんっ…、他愛もない。」
一番隊が戦闘に参加してから一転、逃げ惑うばかりの2機の護衛機。
未だに被弾もしていないことから、それなりに腕は良いのだろう。
しかしいくら腕が良くとも、逃げてばかりでは状況は変わらない。
『くそっ、逃げるな!』
『さっきまでの勢いはどうした?』
『仲間の仇だ、死ね!』
パニックに陥っていた二番隊も立ち直り、仲間を撃墜された怒りから苛烈に攻め立てる。
数倍の数の敵を相手にしての戦闘だ。
体力も精神もそれほど長くは保つまい。
『はぁっ、はぁっ。
しつこい奴らだぜ、全く!』
『貴様ら!
無駄口を叩く暇があったらさっさと奴らを撃墜し
ろ!』
『ぜぇ…、ぜぇ…。
反撃しようにも数が…。』
予想した通り、ほどなくして敵の無線に疲労が現れる。
(運の悪い奴らだ。)
自分たちに狙われた船の護衛をしていたことは当然、護衛対象の雇い主がああも愚かでは。
元兵士としての経験から、劣勢時に後方から怒鳴られることほど、やってられない気分になることは無い。
『ザッコ、モウブ下がれ。』
推定クライアントとは別の声からの指示。
『アニキ!?』
『下がれって、それじゃ船が…!』
『今のままでは各個撃破で詰みだ。
合流して敵を叩く。』
「なるほど、護衛は3機だったか。」
敵の排除に2機、船の防衛と指揮に1機。
並みの野盗相手なら実に堅実なフォーメーションだ。
何も知らずに追撃したなら、1機か2機は撃破されたことだろう。
「一番隊、聴こえたな?
二番隊、敵が下がるぞ。
追撃だ!」
あからさまな動きで大型のデブリに向かう護衛機と、我先にと護衛機を追う二番隊を眺めてほくそ笑む。
(ホント、良いモンが開発されたもんだ。)
罠と分かっていれば無傷での回避は容易い。
しかし敢えて犠牲を出すことで、作戦が成功したと勘違いした標的は立ち向かうようになる。
それが間違いだと気付くのは護衛が居なくなってからで、あとはもう好きにするだけ。
(あぁ…、今回も楽な仕事だったぜ。)
Q.ポッドで立〇機動だと!?
A,トリ〇ロスが元ネタなので違います。
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