3 最後の安らぎ
飯テロ回?
不定期更新、申し訳ございません
4日目も特に異常は無く、はぐれの襲撃への警戒は杞憂に終わった。
(「機体の奪還を副目標にしてるのに、態々戦力を減
らすような真似は、普通はしないにゃ。」)
言われて見ればそうかも知れないが、仮にわたし達が任務に失敗したとしても、また次の部隊に任務を回されるだけの可能性の方が高い。
それに…
(たかが一兵卒を殺してまで排除しようとするような
奴らが普通なわけないにゃ。)
一説によると300年戦争での会戦でも、権力闘争のゴタゴタを要因として敗北したこともあったとか。
まぁ、陰謀好きの妄想の類いで最も有名な説だ。
しかしこうして実際に被害にあっていると、途端に真実味を帯びてくる。
(「まっ、過ぎたことを考えてもしょうがない
にゃ。」)
歴史家全否定なことを言うマルだが、わたしが過去の戦いについて考慮したところで、今現在の任務に影響があるわけでも無し。
(「そうにゃ。
余計なこと考える暇あったら、さっさと身体を休め
るにゃ。」)
(分かってるにゃ。)
次に起きたときが正念場なのは確実だ。
寝不足でパフォーマンスが発揮出来ませんでしたは許されない。
(『だからそんなに固くならないで?
リラ~ックス、リラ~ックス♪』)
気を引き締めようとしたら、シアには逆だと指摘された。
確かに「これから休む」というときに「気を引き締める」というのは間違っていたか。
「す-…、はぁ~…すぅ」
グウゥゥ
リラックス(?)の手軽な方法である深呼吸をした途端、身体が空腹を訴えた。
(「ぷふっ、気を抜いた途端に“これ”かにゃ?」)
マルがわざとらしく吹き出してからかってきたが、警戒中の食糧事情を鑑みれば当然の生理現象だろうに。
(「すまんにゃ(笑)私らはそういうのとは無縁だか
らにゃ。」)
(…欲求はあるくせににゃ。)
謝意の欠片も無く、言葉ばかりで謝るマルにチクリと言う。
(「元々私らは願望から生み出されたにゃ。
なら欲求が無いわけがないにゃ。」)
尤もらしいことを言うマルだが、結局開き直っているだけだろう。
(『ほら、喧嘩しないの。
私達はいいけど、ピコはご飯食べないと。』)
それもそうだった。
…………………。
…………。
…。
「あ、姐御お疲れ様です。」
居住ブロックにある食堂(と言っても完全栄養食と食器類の入った棚、テーブルが一つと椅子4つがあるだけだが)に行くと、丁度トリアンダが使用した食器を片付けていたところであった。
「おっ、トリアンダは今から警戒にゃ?」
機体が船のレーダーにされているトリアンダは、わたし達とは別のグループ(トリアンダと船員の警戒担当二名)で警戒に当たっていた。
「シートに座ってレーダーを眺めるだけですがね。
隊長達のおかげで楽させて貰っています。」
苦笑しながら自虐的なことを言うトリアンダ。
「そうかにゃ?
わたしは動いている方が楽にゃ。」
フォローの意味合いも含めて、自分の意見を返す。
プライベートはのんびりしていたいわたしだが、狭い密室で何時間もモニターと睨めっこは勘弁である。
「それは俺もなんですがねぇ…。」
「にゃはは…。」
「でしょうね。」という言葉を呑み込んで、何とか愛想笑いに留める。
「それじゃそろそろ時間何で失礼します。」
「あぁ、引き留めて悪かったにゃ。」
警戒にあたりにいったトリアンダを見送り、ここへ来た目的を果たすべく棚の物色を始める。
「ラット、バード、フィッシュ…、ケットグラスもあ
るにゃ。」
意外と揃っていた味の種類に、どれを食するか暫し悩む。
(「場合に依っちゃ最後の晩餐になるにゃ。」)
(物騒なことを言うんじゃないにゃ!)
大体、わたしが死んだらマルとシアだってどうなるか分かっているのだろうか?
(『そ、それはっ!?』)
(どうしたにゃ!?)
わたしとマルのいつものやり取りに、突然大きな反応を示したシア。
(『これは敢えて死亡を示唆して、逆に生存フラグに
変える高等技術!
マルったらいつの間に習得を…?
私ももっと頑張らないと!』)
(お、おう…。)
普段緩い話し方をするシアが、やたら早口で呟いたことには、つまりそういうことらしい。(良く分かっていない。)
(う~ん…、これにするかにゃ。)
悩みに悩んで選んだのはバード。
最後の晩餐にはあっさりとしたものだが、睡眠中いつ戦闘が発生してもおかしくない状況では、ものが腹に残っていない方が良い。
それに栄養食ではない旨いものは、基地に帰還してからいくらでも頂ける。
「むぐっ…、もぐもぐ。」
ペーストを堅焼パンに塗って頬張る。
そうすることでパンがペーストから水分を吸い、程好い噛み応えとなるのだ。
(ちょっと加熱し過ぎたサラダチキンにゃ。)
語彙力に欠ける感想だが、味は勿論のこと微妙にパサつく食感といい、そう表現することがベターだと思う。
話は少し変わるが、士官学校時代に一昔前の糧食を食べる機会があった。
その時試食した糧食は、味付けが濃すぎだったという記憶しかない。
(先達の努力に感謝にゃ。)
最後の一口を口に放り込み、食器類を片付けるべく席を立った。
半日以内にはいよいよ敵の勢力圏内である。
作戦時間は半日にも満たないが、どうなるかは不明である。
(願わくは、誰も欠けることなく基地に帰還したいも
のにゃ…。)
栄養食の味一覧
ラット→(カピバラ 豚肉枠)
バード→(チキン)
Lリザード→(ワニ 牛肉枠 ※本編未登場)
フィッシュ→(魚肉ソーセージ)
ケットグラス→(野菜枠 猫草)
基本はこの五種類ですが、他にも“色々”あります。
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