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2  用と頼

すぐにわかるのでネタバレ!


『寝落ちというオチ』


「………。」


…ォォォォ


…グリッグリッ


 微かに、何かが唸っているような音が聞こえる。

 そして背中には簡易ベッドのパイプ(フレーム)が当たって地味に痛い。


「…はっ!」

 

ガバッ!


 「これは「…知らない天井だ。」と言うチャンスでは?」とぼんやりする頭で考えたが、急にはっきりした思考が遊んでいる場合ではないことを思い出させ飛び起きる。


(『おはようございます♪』)


 からかうように畏まった挨拶をしてくるシアだが、その声音には安堵が含まれているように思えた。


「今何時にゃ!?」


 しかしそのことを問うのは後回しに、何故か脱いでいたパイロットスーツ(旧式)を着直しながら時計を探す。


(「05:00にゃ。」)


「にゃっ!?」


 わたしのシフト(警戒担当時間帯)は06:00から14:00、後1時間しかないではないか!


ダダッ


 急ぎ、ブリッジへと管理通路を走る。


パシュッ

「状況は!?」


 エアロックドアが開ききる前に、ドアの隙間に身体を捻り込んでブリッジに到着。


「異常無し、予定通りに航行出来ていますよ。

 それとおはようございます、中尉。」


 苦笑したザック船長が自ら報告してきた。


「あ、おはようにゃ。

 …フローレンス中尉、出撃待機に入るにゃ。」


「了解です。

 定刻になりましたら無線でお知らせします。」


 

 …………………。

 …………。

 …。



(うぁ~、寝過ごしたにゃ。)


 ブリッジから退出後、先ほどまでの痴態を思い出し悶える。


(「ピコの焦り様に、あの船長も面食らってたにゃ?」)


 寝落ちした自分のせいだが、マルに格好のからかう材料を与えてしまったことに臍を噛む。


(『でも何であんなに焦ったの?』)


 悶えるわたしへの追撃になっていることを無自覚に、シアが純粋に尋ねてくる。

 

(確かに、準備ならいつも30分もせずに完了してい

 るにゃ。)


 実を言うとわたしは今回の任務にあたり、自身のシフトの2時間前には起床して準備を終えていた。


(『ただでさえ眠りが浅いのに、自分で睡眠時間まで

 削っているんだもん。』)


 悪戯をした子を軽く叱るように言うシア。

 確かに普段より少し早めに起床し、シフト後は隊の雑務にザック船長と打ち合わせ、機体整備、ライオネル隊の指導等何だかんだで22:00辺りまで起きている。

 

(「何が「起きている。」にゃ。

 ああいうのは働き積めって言うにゃ。」)


(『うん。

 寝るって部屋(機体のあるコンテナ)に戻っても1時間くらい何かやっ

 てるし。』)


(「とすると、単純計算で約五時間…。」) 


(『そして睡眠は浅い…。

 ねぇ、何でこんなことをするの?』)


ヒヤリ


 普段穏やかな性格だと怒ったときが恐ろしいと聞くが、それを今まさに体験している。


(あ~っと…、そのぅ…。)


 ということで説明。

 当任務はわたしたち(444小隊)訓練生部隊(ライオネル隊)基地間物資輸送隊(ザック船長ら)の3部隊合同となっている。

 しかしその内1部隊は非正規部隊。

 ザック船長らも一応正規部隊であるが、その任務の性質と船の装備から戦闘に堪えない。

 そしてある意味一番問題なのが444小隊で、二番機(トリアンダ機)がレーダー役で員数から除外。

 ザッコ&モウブはポッドでの実戦は初。

 隊長であるわたしは暗殺対象。

 こうしてみると明らかにわたしの不安要素が、全体的な不安要素に占める割合が大き過ぎる。

 

(「ふむ、…それで?」)


 任務内容は“表向き”は二小隊(+α)の討伐または捕縛。

 これだけでも装備的にぎりぎりなラインだ。

 しかも今回の作戦地域は、外縁部とはいえ潜在的敵地。

 戦闘の発生がほぼ確実な以上、ノーサイドの軍隊が出張って来る可能性も非常に高い。

 もしこの任務がわたしの排除も考慮した上で与えられたものだとしたら、本来は(比較的)安全な道中でも“はぐれ”の襲撃を受けるかも知れない。

 そんなわけでわたしは、ザック船長らとライオネル隊の|生命(身の安全)に責任がある。


(「………。

 はぁ~~、阿保らし。」)


(なっ!?

 他者の命がどうでも良いっていうにゃ!?)


 わたしの考えを一言で切り捨てたマル(悪魔)に憤る。


(『待ってピコ。

 マルだってそんなつもりで言ったんじゃない

 わ。』)


(!?!?)


 シアがマルに理解を示し、わたしを宥めようとしたことに混乱する。


(「ピコはヒヨッコと船員に責任があるって言ったけ

 ど、部下(三馬鹿)はどうするにゃ?」)


(それは…、勿論責任があるにゃ。)


 但し彼らは最低限自らを守ることが出来る。

 わたしだけでは全てを守ることはできないので、優先度では彼らを一段下げざるを得ない。


(「それが分かってて、この体たらくにゃ?」)


(だからわたしは出来ることを…)


(「出来てないから倒れる(寝落ちする)にゃ。」)


 マルの指摘に反論出来ない。


(『…あのね、ピコ。

 自分に出来ることに限りがあることを理解している

 なら、もう少し彼らに任せても良いんじゃないかし

 ら?』)


(トリアンダ達のことは信用しているにゃ。)


 以前周りに頼れと言われたことがあるので、警戒のシフトも一名ずつの三交代にしている。


(「なら信用じゃなく信頼するにゃ。

 ピコが叩き起こされて出撃するまでにヤら(墜とさ)れる程、

 奴らも雄は棄ててないにゃ。」)


 …あぁ、そういうことだったのか。

 何だかんだでシフト後長時間働いて(起きて)いたのも、熟睡しないようにわざと寝にくくしていたのも、いつでも緊急発進(スクランブル)出来るようにだったのか。


(「口では自分の力に限りがあるって言っておきなが

 ら、行動は傲慢そのものにゃ。」)


(『だけど他者を救いたいっていう気持ちは美徳

 よ。』)


 嫌がっておきながら多くの市民に英雄と呼ばれ、いつの間にか自分の力が大きいと錯覚していたようだ。

 …そうだ。

 わたしは目の前の誰かでさえ救えないことを知って(体験して)いる。


(「戦に勝利せんとするならば、長づるも短するも能

 わず。」)


(何にゃ、それ?)


(「勝ちたいなら実力を把握しろってことにゃ。」)


 大分端折(はしょ)った説明だったが、不思議と理解出来たような気がした。


(『うふふ~♪…ここでquestion。

 Q.今何時でしょうか?』)


 あ、やべ。


 

オチ、シリアスからの~、オチ!



いつも読んでいただきありがとうございます。


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