表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/67

23 縁と術


(あの馬鹿(無能上官)ついでのように爆弾(重大情報)ブッ込みやがった!)


 明日の出撃準備のために格納庫へ向かう道すがら、内心でバッズ大尉に対し怒りをぶつける。

 

(今回の目標って“あれ”に書かれていたスカベンジャ

 ーでしょ!?)


 あれと言うのは、以前基地司令付き情報官に手渡された任務報告書の切り抜きである。(※16話参照)

 単なる野盗化脱走兵のキメラ一個小隊であれば、作戦によっては「まぁやれなくもない」といったところ。

 しかし例のスカベンジャーだとしたら、判明しているだけでも6機。

 鹵獲された機体を運用しているとしたら総数は8機で、後方支援部隊(ライオネル隊)を含めてやっと同数。

 そしてその8機にはキマイラ(純戦闘型)を1機含み、詳細不明の長距離火砲も所有ときた。


(「まぁ、討伐とか無理にゃろ。」)


(『作戦の変更を要請する~!』)


 あの大尉のことだ。

 後方支援と言った以上、ライオネル隊を戦闘に参加などさせないだろう。

 そうなると単純に、長距離射撃を警戒しながら倍数の敵を相手取ることになる。


(お偉方の一部は余程わたしが邪魔らしいにゃ。)


 戦時中の敵陣単艦突破命令から、軍刑務所での実弾発砲、そして今回の任務。

 軍刑務所の件は一部の幹部の暴走と処理されたらしいが、他ははっきりと軍上層部が関わっている。

 しかもピコ個人を標的とするならばまだしも(但し良いとは言っていない)、部隊のメンバー(マルコシアス隊)訓練生ら(ライオネル隊)までも巻き込むのはいただけない。


(「訓練生共はともかく、あの時(単艦突破作戦)は部隊事態が排除対

 象だったと思うけどにゃ。」)


 何にせよ、いい加減この状況をどうにかしたいところなのだが…。


(『一先ずは、ね?』)


 ということだ。


「おぉ~い、隊長さんよう。」


 「さて、どうするか?」と思案しながら格納庫にたどり着くと、早速階下に居たサーキット整備長に呼ばれる。

 格納庫では明日の出撃に備えた準備が着々と進められているようで、六つのコンテナを背負った中型貨物輸送船が待機していた。


「隊長さん、こっち来てくれ!」


 一瞬視線を向けたつもりが実際は眺めていたらしく、もう一度呼ばれた。

 いけない、「ぼ~…」っとしている暇は無い。


バッ…、ストン


 通路の手刷りを飛び越え、階段をショートカット。


(『10点!』)


 …我ながら完璧な着地だったと思っていた。


「すまんにゃ、どうしたにゃ?」


 そんなことは尾首にも出さず、整備長に一言謝ってから用件を問う。


「おぉ、すまないな。

 あの船の船長さんが隊長さんに挨拶したいらし

 い。」


 整備長にそう言われて、わたしは漸く整備長と一緒に居た、もう一名の雄に気が付いた。

 年の頃は青年でもなく老年でもない、つまりは中年と括られる年代に当たるだろうか?

 いかにも歴戦の勇士然とした精悍な雰囲気のウィング中将やジャクソンとは異なり、一見軍属とは思えない紳士然とした雰囲気を纏っている。

 それとは別に、なんだか知っているような雰囲気も感じた。


「あなたが444小隊の隊長ですか?

 貴隊を運ぶ船の船長をしているザックです。

 階級は一応大尉です。

 宜しくお願いします。」


「こちらこそ宜しくお願いするにゃ。

 ピコ・フローレンス、階級は中尉ですにゃ。」


 見た目(雰囲気)に違わない丁寧な挨拶に、こちらも慣れないながらも返礼する。

 同じ大尉ながら、どうしてこうも違うのか…。


「ん…、ああ!?

 あなたが叔父の艦に乗っていた部隊の?」 


 突然声をあげたと思えば、これまた唐突な質問だ。


「あ、失礼。

 自分の叔父はジョージ・フリッターです。

 父が叔父の武勇を語る時に、あなたのこともよく話

 していました。」


「っ…!」


 不意に聞かされたその名前に、当時の記憶が呼び起こされ(フラッシュバックして)息を飲む。

 …雰囲気を知っているように感じるわけだ、ザック船長はジョージ艦長の血縁者(遺族)なのだから。


「挨拶は済んだか?

 挨拶が済んだなら指示をくれ、色々と限られている

 んでな。」


「!

 それじゃあザック船長、また後で。」


「そうですね。

 …何かあったら遠慮なく声をかけてくださいね。」


 サーキット整備長のおかげで元の景色が戻る。

 訓練生のイカーワもそうだが、何かと因縁のある者が揃っている。

 バッズ大尉の懸念も案外間違いでもないのかも知れないが、そう(脱走)したところで被害が拡がるだけであることは承知している。


(「四の五の言わず正攻法(正面突破)が手っ取り早いにゃ。」)


(『逃げたらそこで試合終了ですよ!』)


 結局のところ、マルの言う通りに火の粉を振り払うしかないのだろう。

 しかし幸いにも、他の者よりは切れる札は多い。

 策略を仕掛けるのもノーリスクではない筈だ。

 何か混ざっている気がするが、逃げたら負けなのは確かだと思う。

 

(足掻くにゃ。

 足掻けばその内どうにかなるにゃ。)


 敵の力は強大であるが、度重なる策略の失敗で底は見えてきた。


(「狩りの成否は初撃が肝心にゃ。」)


 それならば此方に分がある。

 期を窺い、致命の一撃を叩き込むのだ。


「整備長、頼みがあるにゃ。」


 とりあえず今は、目の前のことの仕込みをするとしよう。


(「仕込みは流流、後は仕上げを御覧じろってかにゃ?」)


(『策士、策に溺れる!』)


 それダメなやつじゃん!

いつも読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆評価、いいね等、

よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ