18 感想戦
2話更新2話目
ライオネル隊の急襲によって分断された444小隊であるが、実戦経験者らしく即座に隊形の復帰を図る。
『ザザッ…!』
『させるかっ!』
しかしライオネル隊が突撃の勢いそのままに444小隊に喰らいつき乱戦に縺れ混む。
同時に再生していた無線記録も、二部隊の通信で混沌としている。
『くっ、調子に…!』
『スチュアート、カティアとリョウは任せた!』
『うぉっ!?、…こいつっ…!』
『クルセルさん、イカ-ワさん聞こえましたね?
三人一組で行きます!』
『兄貴、姐御にっ!』
『『了解!』』
事前に打ち合わせていたのだろう。
乱戦の最中にあってもライオネル隊は、統率の取れた動きでそれぞれの標的と相対する。
対する444小隊は分断された一番機に合流しようと必死になる。
反省点その1「戦闘時は冷静であること」。
「戦場では冷静さを欠いた者から死んでいく。」
というのは全ての教官が口にする、いわば初歩中の初歩である。
しかし生命の危機に晒され冷静であることは非常に難しい。
だからこそ事前に入念な作戦が練られ、指揮系統の周知徹底が行われている。
『この…うっ!?、被弾した!』
おっと、思考が逸れていたようだ。
…えっと、そう。
急襲を受け動揺したザッコ、モウブ、トリアンダの三名は視野狭窄に陥り、わたしとの合流を優先するあまりに被弾してしまう。
『モウブ下がれ、隊長なしでやるぞ!』
ここに至ってようやくトリアンダが指揮を取り始めた。
因みにこの間わたしは何をしていたのかというと…
『はあぁぁっ!』
全力で追い縋って来るライオネル機を躱していた。
「指揮すら出来なかったのか?」という問いには、まあYES と答える。
というのも、急襲により後続と分断されたと判断して直ぐに各自判断での応戦を指示したのだ。
但しその際に丁度ハンデが発生していたのだが。
そしてその後はライオネル機を“どうにかする”ことに集中していたのだ。
「「「おぉっ!?」」」
わたしが赤チーム対青チームの3on3を重点的に見ているように、わたしとライオネルの一騎討ちに注目していたメンバーの幾名が感嘆の声を上げた。
ちらりとそちらの軌道線図を確認すると、進行方向のみが一転した様子が示されていた。
(あれは確か…。)
自身の戦闘を思い出す。
あの時はそのままではいずれ撃墜されることが目に見えていたので、一か八か意表を突いてみたのだったか?
片側のスラスターを切ると同時にもう片側のスラスターを全開にすることで、旋回することなく進行方向を180゜変更したのだ。
タイミングが非常にシビアかつ、失敗したら最悪空中分解、良くても大きな隙を晒すことになり撃墜は免れない博打だった。
『はぁあっ!?』
…まぁ自慢するわけではないが、わたしにとってはそこまで悪い博打にならない。
意図した通りに意表を突かれたライオネルは衝突を回避するために旋回。
『やべっ…!』
衝突をギリギリ回避するも旋回で大幅に減速。
しかも敵機の至近で。
そうなって仕舞えば多少の機体性能差は無いようなものだ。
進行方向とともに攻守も逆転した。
『副隊長、リーダーが!』
チーム戦の軌道線図に視線を戻す。
赤チーム側は、被弾したモウブを下げた逆三角形の隊形を組み、青チームに応戦していた。
対する青チームは、クルセルとイカ-ワが積極的に仕掛け、グラシズが全体を俯瞰して指揮しつつ適宜援護を行っているようだ。
『今すぐの救援は無理です。
交代するのでタイミングを。』
チームリーダーが不利になったことにイカ-ワが気付き、結果として自身の戦闘から気が逸れる。
『貰った!』
ほんの僅かな隙であったが元戦闘機乗りらしく、トリアンダが飛び出す。
『残念!』
『スイッチします!』
しかしクルセル機が割り込み、更にグラシズ機が戦闘に加わる。
(あ~…、成る程。)
反省点その2というか、反省点その1にかかる事柄というか。
強いて言えば「状況の把握は正確に」と言ったところか。
イカ-ワは近距離射撃戦闘をしている最中に他を気にかける行為はNGであったし、トリアンダはチャンスと言っても隊形を崩すリスクに見合わなかった。
これに関しては、イカ-ワは仲間を気にかけるのは仕方のない部分があり、チームメンバーでフォローし合うことは悪いことではない。
トリアンダの動きにしても戦闘機とポッドでは立ち回りが異なるため酌量、むしろ不利な状況下でチャンスを拾いに行く姿勢は評価される。
『くそっ…仕方ない、防衛に専念するぞ!』
『『アイサー!』』
グラシズ機の本格的な参戦により状況を覆すことを断念した赤チームは専守防衛に方針を変更。
野盗がそういった行動をとるかという点は置いといて、戦術的にはアリである。
守備に徹した敵機を撃墜することは、たとえ機体性能差が倍であったとしても存外困難なものである。
古代の地上戦では「籠城」という、防壁のある拠点に籠っての戦い方が有用であったらしい。
現代でも援軍到着までの遅滞戦闘が行われることが時折ある。
…まぁ、この場合だと十中八九が全滅までの時間が多少延びる結果にしかならないのだが。
その例に漏れず、援軍は到着することなく撃墜され、戦力差で擂り潰される結果となった。
守備に徹したことでイカ-ワの離脱を許したことが、直接的な敗因と言えた。
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