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14 英雄の卵達

久々の更新です。


 第444小隊の保有する機体を見て、いまだに困惑している訓練生らに事情を説明するとしよう。


「あ~、…これには訳があって」

「中佐の機体は別の場所にあるんですよね!」


 何とか上手く説明しようと考えながら話始めるが、期待に目を輝かせたクルセル訓練生がわたしの話に食い気味に入ってきた。

 あとわたしの今の階級は中尉だ。


「なるほど、フローレンス中尉の乗機は特別仕様の機

 体。

 メンテナンスにも特別な設備が要るわけですね?」


 クルセル訓練生の確固とした(しかし全くの的外れ)予想に、考え込んでいたグラシズ訓練生が光明を得たような様子で同意を示した。

 しかし誤解はここまでであった。


「フローレンス中尉の搭乗していた機体は、軍の開発

 研究所で保管と解析が行われていますよ。」


 そう断言したのはボンド整備員である。


「「は?」」

「「え?」」

「そうだったんにゃ?」


 クルセル訓練生とグラシズ訓練生は勿論のこと、話は聞いていたライオネル訓練生とイカーワ訓練生も呆気にとられた反応をする。

 わたしも唐突に知った自身の乗機の現在に言葉が出たが、どこかで何となく察していたのか驚愕はほとんど無かった。


「…そう言えば新型の開発が進められているという噂

 が有りましたね。」


「噂って…ああ、あの陰謀が何たらって奴か?」


「戦闘機関連の産業を政府と軍の穏健派が潰そうとし

 ている…、だっけか?」


 グラシズ訓練生が何やら思い当たる噂を知っているらしいが、続くライオネル訓練生とクルセル訓練生の話の内容が不穏過ぎる。


「でも結局は戦闘機を製造する会社と癒着していた軍

 の高官が流したデマでしたよね?」


(あ、そういうオチにゃ?)


 イカーワ訓練生の話した軍内部のゴタゴタ(派閥争い)の一端に、派閥などには心底関わりたくないと思うのであった。


(「まあ、既に巻き込まれているんだけどにゃ?」)


(『と言うか、嵐のど真ん中?』)


 …台風の目なら平静だと思うのですが?


「それじゃあ機体が足りないのは何でなんですか?」


 予想が外れたことで答えを求めてくるクルセル訓練生。


(「こいつイイ性格してるにゃ。」)


 確かに説明を遮っておいて「何で?」はおかしいが、そこはまあ追々矯正していくとする。


(「お優しいことで。」)


 マルの皮肉を無視して早いとこ訓練生らの誤解を解くことにしよう。

 

「機体はちゃんと…ではないけど、一応員数分はある

 んだにゃ。」


 そう前置きをして「あれ。」とジャンクラを指し示す。


「「「「………。」」」」


 訓練生ら…一々「訓練生ら」と言うのも億劫になってきたので「ライオネル隊」とでも仮称しよう。

 そしてライオネル隊の面々は、わたしが指し示した廃品の塊(ジャンク・クラっド)を見て絶句。

 しかしちらちらと送られてくる視線は、彼らの内情を雄弁に語る。

 

(『えっ!?冗談だろ?』)


(『ちょっと!中佐の言葉を疑うの!?』)


(『そうなると廃棄寸前の機体を使わされているとい

 うことになりますが…。)』


(『はぁ?…何それ、有り得ない!!』)


(『でも他に機体が見当たらないっていうのも事実で

 すし…。』)


 といった具合に、ライオネル隊の面々(主にクルセル訓練生)が視線で相談を行っている。


(「…シア、何してるにゃ?」)


 シアのアテレコに、遂にマルが苦言を呈した。


(『ん?

 訓練生の子達の気持ちはこんな感じかなって。』)


 しかしシアはあっけらかんと答える。

 確かにそんな感じである、というか会って間もないのに4名の特徴を良く捉えている。


「あの、私の機体使いませんか?」


 クルセル訓練生がわたしにそう提案してきた。

 444小隊の保有する機体は一番まともな機体でも本来ならば廃棄される劣化具合だ。

 (不本意ながら)わたしを特別視しているクルセル訓練生的には耐え難いのだろう。


「カティアさんっ!?

 それはいくら何でも…。」


 イカーワ訓練生がギョッとしながらも、機体の交換は無理だと言う。


「イカーワ訓練生の言う通りです。

 我々(実地研修班)に配備された改型はDeUS(デウス)の基本データ収集も目的ですから。」


 グラシズ訓練生の言うデウスとは「Dehavior useful system 」の略称であり、つまるところ戦闘支援AIである。

 軍事技術としては異例なことに、軍自らが開発計画を大々的に発表したことで波紋をよんだ曰く付きでもある。


(まさかもう完成しているとは…。)


 グラシズ訓練生の言葉から中身はこれからといった段階ではあるが、デウスが実用化された暁には戦争の形が異なるものになるだろう。


(「英雄なんて存在しない、兵の数で趨勢が決まる戦

 争にゃ?」)


 そうなれば一部隊に負担を強いることも、極論実際の戦闘が行われずに勝敗が決まることもあるかも知れない。

 そうなれば誰も犠牲となることがない、平和の実現と言えるだろう。


(『抑止力としての軍。

 でもそれって本当に平和なのかな?』)


 結局一度武力を持った時点で平和なんてものは永久に失われてしまったと言える。


(「結局あれこれ考えても無駄にゃ。

 一兵士はただ単純に「楽になった」とでも軽く思っ

 ておけば良いのにゃ。」)


 身も蓋もないようなマルの意見だが、割合それが真理かもしれないと、次代の先駆けとなる機体と訓練生らを眺め思ったのであった。

 

前半と後半で執筆の期間が空いたせいで作者自身良く分からん話になりました。

次話辺りから戦闘パートに逃げます。


いつも読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

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