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10 これまでのこと

 わたしの発言により、ぎこちなくなった雰囲気のまま反省会(デブリーフィング)は終盤となる。


ドカドカドカッ


 しかし厄介事の方からやって来たようだ。


バンッ!


 ミーティングルームに飛び込んで来たのは、怒り心頭と言った様子の上官殿(バッズ大尉)だ。


「貴様らっ、何時誰がE(電気)S(制圧)弾の使用を許可した!」


(いや、あんただろ。)


 ES弾の使用許可も何も、そもそもバッズ大尉がわたしの報告を無視して演習をセッティングしたのではないのか?

 思わずノータイムで返答しそうになるが、火に油を注ぐ結局が目に見えているので口を紡ぐ。


「中尉、黙っていれば良いと思っているならそれは

 間違いだ!」


(メンドくせ~...。)


 口を紡いでも変わらぬ結果にゲンナリする。


「良いかよく聞け!

 貴様らが相手するのは真面目な兵士だ!

 彼らは軍にとって重要なのだ!

 貴様ら不良兵士と違ってな!」


 聞くに堪えない大尉殿の話を要約すると

「何ら不備の無い兵士相手の演習でES弾を使うとは

 何事だ!」

 と言うことらしい。

 演習は模擬戦よりさらに実戦に近い条件下での、言わば殺意と不測を排した戦闘だ。

 ES弾も非殺傷弾とされているが、警備隊で使用されている“実弾”だ。

 こうした事情から数年に一件は死亡事故が発生している。

 だからこそ第一仮想敵隊(101~199)以外は、ほぼ全員が何かしらの前科を持っていたりするのだ。

 話が逸れたので戻す。

 バッズ大尉的にわたしら(仮想敵隊員)が事故で死亡するのは構わないが、一般兵士が事故に遭うことすら何としても避けたい事態なのだ。


 ──


 これ(演習初回)以降第444仮想敵小隊では演習でのES弾の使用が禁止され、最も安全な演習を行う部隊となったのであった。


 ──


 だからと言って何が変わったかと言え元々問題だらけの部隊だ、ES弾の使用が禁じられたところで些細な不便が積み上がった程度にしかならない。

 仮想敵部隊の仕事として演習を行い、その部隊の問題点を報告書(レポート)を作成し彼らの上官に上げた。

 大尉が組む過密な演習と、合間に行うシミュレーションで一月が経った頃には練度の問題はひとまずクリアしたと言える。

 時期を同じくしてそれぞれの使用機体もほぼ固定された。

 シミュレーターの結果や演習での動きを加味した機体適正は以下のようになった。


わたし

 ワーカー>ジャンクラ≧キューブ

トリアンダ

 ワーカー>キューブ>ジャンクラ

ザッコ

 ワーカー>>ジャンクラ≧キューブ

モウブ

 ワーカー>>キューブ>ジャンクラ


「姐御、済まねぇ。」


 適正から分かる通りジャンクラを自機とすることになったわたしに、トリアンダらは非常に済まなさそうにしていた。

 トリアンダはキューブカスタムを自機に。

 ワーカーを自機としたザッコとモウブであるが、ザッコはジャンクラの7.5ミリ単機関銃と5ミリバルカンを移植した軽量装備、モウブはDタイプマシンガンにロケットポッドの火力装備で固定となった。

 ザッコの機体から外された武装により、ジャンクラは即席の高速機と言えなくもない機体となった。


高速機(レイド)仕様はディックが担当なんだけどにゃ。)


 高速仕様機と高機動(ハイマニューバ)仕様機は似て非なる機体である。

 しかし今は離散したマルコシアス隊では両仕様機共に前衛を張った。

 やってやれないことはないのだ。

 

(「機体性能も隊員も段違いだけどにゃ。」)


 ともかく、だ。

 基本的には隊形を演習初回と同様に、第444小隊は相手の部隊を一機二機墜としての敗北を重ねていった。

 いくら部隊を最適化してもやはり機体性能差を覆すほどではなかった。

 撃墜スコアに関しても油断していたり、初見殺しであったりと純粋な戦果と誇るには微妙なものばかりだった。

 実際たまに突撃して来るバッズ大尉には「卑怯」だの「性根の悪さが表れている」だのと罵りを受けた。

 しかし相手部隊の上官からは評価が良く、大尉とわたしの溝は深まる一方であった。

 一度だけ旧ドギヘルス軍残党の掃討任務に出る部隊と演習を行ったことがあった。

 そのときに一方的に嬲られたときの大尉の機嫌は最上級に良かった。

 軍用に再設計された「キマイラ」に対し、444の劣化「キメラ」では正面戦闘は厳しいものであった。

 その他にも演習でひたすら逃げ回って相手を疲れさせようと試みてからは、ジャンクラの燃料タンクのメーターが半分を越えたことはなかったりと、


「フローレンス!」


 この3ヶ月を振り返っていると聞き慣れた怒声が。


「貴様っ、またパーツを外したな!」


 外しましたが?


「しかもブースターだと!

 ブースター一本の燃料がいくらするのか分かって

 いるのかっ!?」


 燃料は空だったし、そもそも半分しか入れてないじゃないか。


「分離したパーツの回収の手間も考えろ!」


 回収班には申し訳ないと思っているが大尉が言うことか?


「反省しておらんようだな?

 フローレンス中尉は減給処分だ!」


「「「……。」」」


 嵐は去った。


(『でもこれで3ヶ月連続ね?』)


 ……それで気が済むのであれば安いものだ。


(「だいぶ無理してるにゃ。」)


 それはそうだろう。

 ただの癇癪の筈が実際に半額に減らされているのだから。


「…姐御、今度奢ります。」


 ……悔しくなんか無いやい!


いつも読んでいただきありがとうございます。


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