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7  444の問題

因みに部隊呼称の数字は、マンションとかの部屋番的な奴です。

(444なら4つ目の大枠の中の44番目の小隊ということになります。…多い(?)な)

 4機のポッドを受領した翌日、第444小隊実働班(パイロット組)で早速の問題が発生していた。


「いや…、ホントどうするにゃこれ…。」


 問題が発生したと言うと少々誤解があり、元々あった問題が表出したにすぎないのだが。


「済まねえ姐御。」


「「スンマセン!」」


 その問題と言うのもポッドパイロット四名の内、わたしを除いた三名全員が模擬訓練(シミュレート)しか行ったことがないと言うのだ。


「スミマセンじゃなくて…。

 元ポッド部隊だったんじゃないにゃ?」


 軍刑務所で聞いた話では、元の部隊で軍の命令に従わなかったから投獄されたと言っていた筈なのだが。


「えー…書類上はそうなんすけど…。」


 と、モウブがおずおずと口を開く。


「…俺ら、…というかアニキが転属を蹴ろうとしたんで

 す。」


 尻萎みになったモウブの後を、ザッコが引き継ぐ。


ジロッ


 「話が違うぞ…!」とトリアンダに視線を向けて、詳しい説明を促す。


「姐御っ、違うんだ!」


 何が違うと言うのか?

 証言の食い違いと言うのであれば、証言者の数と現在の状況から信憑性の比重は明確だ。


「俺たち、元の元々は飛行隊だったんだ!」


 飛行隊…つまり戦闘機パイロットだったと。


「俺らは本隊で艦隊の防衛を担当していたんだが、機

 を前線に持ってかれたんだ。」


 そこからは聞くも涙、語るも泪の話。(のつもりだったとトリアンダは後に語った。)

 まぁ…割りとどうでもいい話は割愛するとして、トリアンダの説明は他二人の証言や状況に合致していた。

 第六次第三宙域争奪決戦と括られる一連の戦いの数々。

 各戦場では、知っての通り多くの機体がパイロットと共に宇宙に失われた。

 しかし参戦するパイロットの母数が多くなれば、機体を失いながらも生還したパイロットもまた多くなる。

 機体の補充は戦線の前進により遅れがちとなり、部隊再編の際に機体は前線部隊へと回された。

 防衛等の後方支援には、この大戦から採用されたスペースポッドが充てられた。


「俺は戦闘機乗りであることにアグラかいてたんだ。

 …同時にポッド乗りは負け組だとも思ってた。」


 つまりエリートの証と言える戦闘機からポッドへの乗り換えは、見下していた者と同じになること。


「自分が下に見るのは良くても、自分が下に見られる

 のはプライドが許せなかった…。」


 そして拒否していたら命令違反、ねぇ…?


(『マルはどう思う?』)


(「ガキにゃ。

 駄々を捏ねたせいで犯罪者に身を堕としているんだ

 からにゃ。」)


 言い方は悪いが、内容としては至極尤もだと思う。


「自分を高みに導く“誇り”を持つのは大事にゃ。

 でも周りを貶めて自分を高く見せるのは誇りとは言

 えないにゃ。」


コクコクコク…


 三人組が神妙に頷く。


「理由はどうあれわたしらはドン底から出たばかりに

 過ぎないにゃ。」


 一度失われたもの(信頼)を取り戻すのは容易ではない。


「かつていた高みは眩しく思うだろうにゃ。」


 だからこそ過去の栄光にすがらずにはいられないのだろうか?


「でも一度底まで堕ちたからこそ高みの眩しさはより

 鮮明となったにゃ。」


 ここからが分岐点。


「そして運の良い事に、わたしらには時間(若さ)(機体)、そし

 てアドバンテージ(操縦技能)があるにゃ。」


 それに頼もしい協力者(整備班)もいる。


「高みを目指す翼まで喪ったわけじゃないにゃろ?

 さあ、これからは底で見た高みを目指すにゃ。」


「「「あ…、姐御おぉ~っ!」」」


 ちょっと説教して焚き付けるつもりだったが、感動した三馬鹿が感極まって迫る。


サッ…


ドドスンッ!


「「「ぐえぇっ!」」」


 避けると雄三人が重なり絡まり合って転倒する。


(「じ、地獄みたいな絵面にゃ。」)


 視覚への暴力にマルが震えた声で言うが、悪魔(マリーダ)が言うと洒落にならない。


(『そう?

 需要はありそうだけど…。』)


 天使(シェツェナ)待った、その扉は開いてはイケない!


「折角の良い話が台無しだな…。」


「即席チームの割には息が合いそうで良いんじゃない

 ですか?」


「お上があれだから雰囲気悪いよかは、な。

 ……ところでボンド、レポートは終わったのか?」


「あっ!

 …まだでした、班長失礼します。」


「全く…。

 パイロットと言い、見習いと言い…、世話の掛かり

 そうな…。」


 整備班長は密かに嘆息していた。


(『お世話をかけます。(ぺこり)』)


 いや、お前(シア)がそのセリフ言うんかいっ!?


………………………。

……………。

…。


 その後「早速習熟訓練を行う」と気合いを入れる三馬鹿を、軽く一回模擬訓練(シミュレーション)しただけで実機に乗せられるわけがないということで模擬訓練装置(シミュレーター)に放り込んだ。

 結果。


「「無理ですって姐御ぉ~。」」


 ザッコとモウブは諦めムード。


「前やった時は楽勝だっただろっ…!」


 トリアンダは振るわない結果に悔しがっている。

 

「思った通りにゃ。」


「何だとっ!?」

「「えぇっ!?」」


 わたしが呟いた言葉に子分ズは純粋に驚き、トリアンダはわたしに食って掛かろうとする。


「前提が違うんだから当然にゃ。」


「前提だと?」

「「前提?」」


 わたしは淡々と説明を続けた。


「トリアンダ達が以前適正検査のためにシミュレート

 したのは万全の状態(フルスペック)軍用機(キメラ改)のデータにゃ。」


 適正は各々の結果と適正基準を比較して検査するため、使用する機体データは理論上の数値(カタログスペック)で統一されている。


「今回シミュレーターに入れたデータは「ワーカー」

 二機の平均値。

 当然だけど、軍用に最適化された「改」に比べると

 機体性能は劣っているにゃ。」


 カタログスペックはあくまで理論値ですあり、新品の機体でも実値はカタログスペックを下回る。

 新品でそうであるなら、劣化の激しい機体の数値は「推して知るべし」である。


(『でもピコの結果はかなり良さげだけど?』)


 ……そりゃFCS無しで戦闘機墜とせますし?

 お寿司。


(「[もしかして:根に持ってる]にゃ?」)


 …勘の良い悪魔は嫌いだよ!


単純計算[4×44×4]で、仮想敵部隊全体パイロットのみで700名近くが所属することに…。

つまり元重軍規違反者が…?


いつも読んでいただきありがとうございます。


次回は11日19時更新


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