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6  張り子の虎達

二回目

 第444仮想敵小隊、後に決まった通称「444(フォース)隊」所有の機体データは次の通りだ。

 まず武装化作業用機の二機。

 終戦後に「キメラ・ワーカー」と名称が付いたこの機体は、宇宙建築や大型輸送艦の荷の積み降ろし等、一般でも利用されているスペースポッドだ。

 しかしこの機体をベースに軍用装甲への換装、スラスターとバッテリーの大型化に加え火器管制装置(F C S)を搭載した「キメラ改」は、軍で基地や艦の防衛任務や後方支援等で現役最中である。


「というわけで機体のポテンシャルは十分。

 …ついでにコイツらにはFCSまで付いてる。」


 何やら含みのある整備班長の言い方が気になるが、その違和感の理由はすぐに判明した。


「何だ、この補正値はっ!?」


「こんなんでまともに当たると思ってんのか!?」


 データを覗いたザッコとモウブが怒鳴る。


「文句ならコレ(F C S)を弄くり回した賊共に言ってくんな。

 接続も無理矢理でこれ以上の補正は効かん。」


 班長も不本意そうに、可能な限り手を尽くしたと説明した。


「まぁまぁ、補正ナシでも旧式攻撃機(アタッカー)くらいは墜とせ

 るにゃ。」


 尚も不満そうなザッコとモウブに、わたし自身の経験から整備班長を擁護する。


「「「いや、それはナイ。」」」


 ザッコ、モウブはともかく、擁護したつもりの整備班長にまで否定されてしまった…。

 解せぬ!

 

「戦闘機を墜とせるかは置いといて…。

 付属していた武装は6ミリバルカンにレーザーカッ

 ター…、「デスボックス」のマシンガンにロケット

 ランチャーポッド、だな。」


 レーザーカッターは工業用のため別として、見事に実弾系の武装で固まっている。

 非実体弾系の火器は出回る数が少なく整備が重要なため、機体の整備すら行わない野盗が所有しているわけが無いのだが…。


「基本的に弾をばら蒔いてロケットの爆発を当てる感

 じだな。」


 狙っても当たらないなら範囲攻撃というわけか。

 わたし的には弾が勿体無いように思えるが、皆には異論が無いようなので黙っておくとしよう。


「この二機はこんなトコか。

 次は亜種の使える方だが──」


 整備班長の言う「使える方」、わたしが防御超特化型と言った機体は他の機体とシルエットから異なる。

 というのもこの機体。

 なんと側面全体が金属板で囲まれていて、パッと見正方形(キューブ)型なのだ。

 取り外された左右のアームの機械指(マニピュレーター)の代わりに溶接された可動シールド。

 シールドには真新しい銃眼が設けられており、構えた状態でアームの火器を撃てるように工夫されている。

 機体両側面には、バルカンを挟むように内蔵した二枚重ねの固定シールド。

 巨大な弾倉のつもりなのか、シールドの内側にはバルカンの弾が詰め込まれていたらしい。


「弾数だけは多いが…、ずっとは撃てねぇことに注意

 が必要だな。」


 内蔵とは言うが、冷却機構も無く金属板で覆っただけでは最悪、籠った熱により銃身の変形からの暴発が起こるのだろう。

 そして機体背部。

 もうこの機体にとって当然のようにシールドを背負っている。

 このシールドでメインスラスターが塞がれサブスラスターしか使用出来ないため、非常に機動性が悪くなっている。

 

砲台(タレット)の代わりとしてなら優秀だと思うが。」


 最大4門のバルカンに、四面のシールドによる高耐久、そして自力移動によるカバー範囲の拡大。

 なるほど、真上と真下に気を付ければこれ程厄介な砲台は無いだろう。

 

(「というか、さっきからトリの考察鋭いにゃ。」)


(『単細胞なだけじゃなかったのね?』)


((ふむ、となると…。))


 いや、まだ早いか。


(「…。」)


(『…?』)


「──んで、最後にコレなんだかなぁ…。」


 これまで、3機分の説明を完了させた整備班長が駐機ラックに目を向ける。

 整備班長の視線を追うと、最後の一機の実物が目に入る。


「うわあ。」


「あれがマシンだって!?」


「冗談キツいぜ!?」


「俺たちを何だと思ってやがる!」


 ソレを見てわたしは虚無を覚え、トリアンダとモウブは驚愕し、ザッコはこの小隊(第444小隊)の余りにもな扱いの悪さに憤る。

 ソレを一言で表すなら「廃品(ジャンク)()寄せ集め(クラッド)」というのが相応しい。

 ベースはワーカーであるのだが、本来二本あるアームが右しか存在しない。

 また機体背部、本来スラスター類が搭載されるスペースは空となっていて、未塗装の板金で閉じられている。

 そしてワーカーと異なる最大のポイントが機体下部の加速装置群(ブースターユニット)だ。

 ブースターユニットのベースは、カタパルト発進で機体を載せる射出パレットだろう。

 パレット下面にはブースターを取り付けられるよう、戦闘機のミサイルラックらしきものが移植されている。

 そしてこの機体唯一の推進装置は、小型旅客宇宙船(シャトル)打ち上げ用の使い捨てブースターが二本。

 しかも燃料タンク部分はサイズの都合からか、ドギヘルス製ポッドのものが流用されている。


「速度は戦闘機並に出せるが本体はワーカーだ、元廃棄前のな。」


 忘れはしない、速度特化改装案の実機テスト。

 厳密に言えばあの事故は接続部(ジョイント)の破損によるものだが、整備班長の言っている事は同じことだろう。

 コレの場合劣化が極まっているため、万が一の場合は…。

 

「武装は超硬度鋼(ダイヤスチール)を削っただけの実体ナイフ、製造元

 不明の7.5ミリ単装機関銃、ああ…5ミリバルカ

 ンもあったな。

 以上だ。」


 武装化「キメラ・ワーカー」二機、通称「キューブカスタム」一機、カウントしたくは無いが「ジャンク・クラッド」一機。

 第444仮想敵小隊は、この4機の機体を駆り活動を開始となったのであった。


 

 

 


 


 




 


 


 


 

 

ブースターユニットのイメージはガ○ダ○に登場する94式ベー○ジャ○ー。

7.5ミリ単装機関銃のヒントは前作にあったり?



いつも読んでいただきありがとうございます。


次回9日19時更新


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