5 ハリボテ部隊
はい、ダレた~
…けど七夕なので二回更新の一回目
~およそ3ヶ月前~
「儂が上官のゴルドー・バッズ大尉である!」
宇宙へと上がり、所定の時刻から遅れること30分。
案内された部屋に入ってきたガウル中将より年を召した老雄が、開口一番に放った言葉だ。
「儂としては貴様らのような犯罪者の部隊指揮などは
甚だ遺憾である!」
出所した時点で一応、罪は精算したことになっていると心中で訂正しておく。
「しかし!
この采配は長年軍を支える儂の功績であれば、貴様
らを最大限有効に扱えるという軍上層部の英断であ
ると儂は考えた。」
長年勤務して大尉、そして懲罰部隊とも言われる仮想敵部隊の上官。
となると無能上司である疑いが濃厚だ。
「貴様ら第444仮想敵小隊は儂の下、微力なりとも
軍へ貢献せねばならん!」
…いや~長い。
この後乗機の確認が控えているのだが…。
ただでさえ顔合わせに30分遅れが出たのに、更に無駄な薫陶を長々と。
「特にお前だ、フローレンス!」
内心で辟易としているのを察したのか、名指しされた。
「お前は中尉となったことで自らを「英雄」などと勘
違いして大それた事を仕出かしたようだが、真に英
雄とは、かの「白鯨部隊」隊長スノウ・アルレビオ
のような者のことを指すのだ!」
なんだ…、ただのスノウのシンパか。
「何故お前に降格がなされてないのか疑問だ…。
お前のような奴は軍…、延いてはキャトラス全体
の“ため”にならん。」
(「チッ…、何でこういう奴らは主語を大きくしたが
るにゃ。」)
マルが何やら黒いオーラを纏う。
(『どうどう…、マル落ち着いて?』)
少し焦ったようにマルを宥めるシアの様子に、悪い予感を感じて身体の制御権を強く意識する。
「大体貴様らは───────!
─────────────!」
己に危機が迫っていることに微塵も気付くことなく、大尉殿はヒートアップしていく。
コンコンッ
ノック音。
誰かが大尉を訪ねてきたようだ。
「何だっ!」
扉に怒鳴る大尉殿。
「っ、失礼します!
整備長が「パイロットはまだ来ないのか?」と…。」
懸念していた通り、痺れを切らした整備長が部下を寄越して来た。
「煩いっ、今儂がゴミ共の更正を行っているのが分からんか!
格納庫の掃除でもして待っておれ!」
とうとう「ゴミ」とまできたか。
加えて整備班にまで飛び火させるとは…。
「っ…、失礼しました。」
拳を握り締めて退出する整備官。
(「この老害…、夜道に注意にゃ。」)
「さてどこ迄話したか…、…そうだ!
───────────!
──────────────!」
結局大尉殿が満足したのは、それから約1時間と30分。
〆て二時間強の遅延が、本日の予定に発生したのであった。
………。
…444小隊は多難そうである。
………………………。
……………。
…。
大尉殿の長話にゲンナリしたまま、第444小隊に割り当てられた格納庫にたどり着く。
「お、よ~やっとお出ましか。」
異常なほど整理整頓の行き届いた格納庫で、如何にも技術屋という風情の整備班長に迎えられた。
「大将の相手は疲れるだろう?
申し訳ないがちょいと時間貰うぜ?」
大将とは大尉殿のことだろうか?
それよりこれから三年乗ることになる機体の話の方が重要だ。
「大将から聞いたと思うが、おれ達で使うのは軍用機
じゃねぇ。」
「「「!?」」」
わたし以外の三名が驚愕する。
しかし軍の状況を考えると、隊の機体が用意されていなくとも不思議はないのだ。。
「あの木偶が…、話してないのか?
まぁ、そっちの嬢ちゃんは分かっていたっぽいが
な。」
三名の反応に整備班長の、大尉に対する評価が下限を知らない。
「じゃあ分かっていない奴に事情説明をしつつ機体に
ついての話をする。
ボンド、データ持って来い!」
「はいっ班長、すぐ持って行きます!」
先ほど訪ねてきた若い整備官が、端末を抱えて駆けて来る。
「うわっ!」
そして躓いた。
「ととっ…、ふぅ…危なかった。
班長、どうぞ。」
しかし彼は自身が発した言葉とは裏腹に、危なげなく体勢を整えて、持っていた端末を整備班長に渡す。
「ありがとな、しかし足元には気ぃ付けろよ?」
「済みません、つい…。」
「何、誰も怪我しないなら良い。
…レポートには今のことを書いておけ。」
「はい。」
若い整備官はこの場から去り、整備班長がこちらに向き直って説明を開始する。
「この隊に配備されている機体は、作業用機の改造型
だ。」
開かれた4機の立体映像。
「コイツらは小規模の野盗団が所有していた未登録の
武装改造機でな。
整備されずに故障だらけで廃棄されるとこを引っ張
ってきた機体らしい。」
整備班長の話を聞き、機体の状況に納得する。
第444小隊に配備された4機のスペースポッド。
その内二機は懐かしの、作業機を武装しただけの機体。
そしてあとの二機は野盗らしく、辛うじて原型が伺える改修が施されている。
一機は一応は実用が考えられている…、仮に防御超特化型とでも言おう。
しかし残る4機目。
この機体に関しては正に「廃品の寄せ集め」としか形容出来ない、ある意味仮想敵として相応しい機体であった。
機体詳細が入らんかった…。
おのれ大尉め…!
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