3 消えたマルコシアス隊
???
「私が居るんだから他は何も要らないじゃない?」
悲報:刑務所から出てきたら隊員みんなに脱退され
ていた(泣)
まあ前科持ちの隊長の部隊なんかに所属していたら絶対出世に悪影響ですし?
停戦を呼び掛けられている中正反対の行動をした危ない奴ですし?
そもそも偶然が重なって偶々部隊長になっただけの中身皆無の張りぼてですし?
(『うわぁ~…。』)
(「メチャクチャ鬱陶しいにゃ…。」)
わたしを寄り代にしてる方たちもドン引きしてますし!?
………あ、寿司食べたい…。
(「急に「スンッ…」てなるにゃ!」)
(『はい!
お寿司はおやつに入りますか?』)
(「なって堪るかにゃ!」)
うるせーっ!
おやつに寿司食べてもいいじゃろがい!
(「…もうヤダこの混沌…。」)
ぐでーんぐでーん、もう軍やめる。
実家でにいとするんだ。
「あっ…、三年は強制かぁ…。」
通告された時は「まあ三年だし」と思っても、こうなると途端に重いペナルティに感じる。
ぽん
「?」
液状化して現実逃避していると、頭に柔らかいものが当たる。
なでりなでり
「お祖父様、ちゃんと説明して頂かないと。
ほら見て下さい、ピコちゃんがショックで脳みそ融
けちゃいました。」
あっ、ミーコのナデナデだぁ。
きもちーな。
「ほらピコちゃんもしっかり!
世界の全てがピコちゃんの敵になっても、私はピコ
ちゃんの絶対だから、ね?」
!
「うぅっ…、ミーコおぉ~っ(感涙)
…うん、わたし頑張る!」
やはりミーコしか勝たん、わたしの大天使。
ミーコが味方なら何度でも立ち上がれるのだ!
(『やった~、ピコちゃん大復活!』)
(「ボソッ…。」)
(ミーコ、「自分は絶対的な味方」じゃなくて「自分は絶対」って言ってたにゃ。)
(『ボソッ…!』)
(マルッ、「しー!」だよしー!)
居候同士で内緒話をしているようだが、今のわたしは復活後の無敵時間中なので問題ナッシン!
チョロいって?
大いに結構、何とでも言えば良い。
……あ、やっぱり少しだけ手心を加えて頂ければ幸いです。
「お…おぉ、結果から言うのは悪い癖でな。」
誰ともなくお願いしていると、ガウル中将が話を再開し始めた。
「フローレンス中佐が軍刑務所に収監されてからなの
だが、マルコシアス隊は隊長不在により活動休止状
態となった。」
隊長は指揮だけでなく、任務を受ける役割もある。
任務を受けられなければ活動など出来ないのは当然だ。
「しかし戦後処理を進めるにあたって、マルコシアス
隊ほどの優秀な兵を遊ばせている員数的余裕は無い
のでな。
個別任務として各地に派遣、活動を行って貰ってい
たのだ。」
物事には往々にしてイレギュラーが発生する。
特に発生率の高い軍では、そういった事態に対処するため個別任務という制度がある。
これは兵員の能力が平均的になるよう配置されている部隊では対処困難な事態に対し、臨時で事態に対応したスペシャリストの部隊を結成することに利用される。
因みに、わたしが軍開発部へ出向したのも個別任務扱いとなる。
「それで、問題はここからなのだが…」
出向先の部隊の方が居心地が良くて居着いたとか?
(「まぁだ引き摺ってるにゃ。」)
「先の戦争では正規・志願多くの兵が参加し、そして
散って逝った。
そして生き延びた兵は戦後処理のため再編が急がれ
た。」
わたしが収監されるきっかけである停戦命令後の乱戦は各々が好きに行動していた。
勿論全ての部隊がそうと言うわけではないが、損害の無い部隊は極々僅かだっただろう。
「その再編の混乱に紛れてマルコシアス隊の解散申請
が出されていてな。
気付いた頃にはその他の再編に関わる部隊のもの同
様に、表面上の確認で受理された後だったのだ。」
「そんなことが罷り通るにゃ!?」
部隊の“解散”には部隊長のサインが必要であった筈だ。
幾らなんでも杜撰な確認に、声を荒げてしまう。
「済まない。
マルコシアス隊の解散は軍内の派閥の問題に巻き込
まれたということが明らかになっている。」
軍内に存在する幾つかの派閥。
その内ウィング中将を筆頭とする穏健派、キングハート中将を筆頭とする過激派、フォレスト中将自らが纏めるフォレスト派が三大派閥とされている。
戦時中はスタンスの相違はあれども、互いの派閥を敵視するほどではなかった筈だ。
「フローレンス中佐には皮肉に聞こえるかも知れないが…。
終戦を向かえた今後は更なる発展を求められるだろう。」
そして発展の余地は宇宙にあり、宇宙開発の先端は政府が行く、か…。
「どの派閥も自分たちの権勢を増すことに躍起になっている。
水面下では足の引っ張り合いも激化している。」
穏健派筆頭のガウル中将肝いりと見られるマルコシアス隊。
その隊長の不祥事は派閥の大きな枷になる。
ならば解散させて無かったようにすることで、影響を最小限に留める。
という理由により、穏健派の二番手、その代理を自称する派閥の者が手を回した。
以上がガウル中将の説明だった。
「承認していないとはいえ儂を筆頭と仰ぐ者の暴走
だ。
ならば御輿は御輿なりにきちんと統制しておくべ
きであった。
フローレンス中佐が被っている迷惑は儂の怠惰によるものだ。
本当に済まない。」
「………。」
再び頭を下げたガウル中将をよそに、わたしは思考する。
この件に関してはガウル中将の非も尤もである。
しかしもっと言うならば軍内で権力争いをしている者達、そしてそれを容認している上層部にあると言えるのではないか?
(「上層部が権力争いにどっぷりだからにゃ。」)
マルの賛同を得て、わたしの意見をガウル中将に話す。
「ううむ…、耳の痛い話だ。
そこで、だ。
フローレンス中佐が収監されたことで有耶無耶にさ
れているあの件。
詫びというわけではないが儂に任せてくれんか?」
ジャクソンの伝言の件と併せ、「最大限利益をもぎ取る」と言うガウル中将に、わたしは一も二もなく頷いたのであった。
酷い話だ…。(前半の混沌は深夜産)
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次回5日19時更新
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