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22 刑期満了

陰謀の匂いがががっ…。


(前回の最後のネタはM・G・T(10のn乗)です。)

~???~


 キャトラス軍本部基地。

 この基地においてすら限られた者達しか入室不可の部署の更に奥。

 キャトラス軍の一般的なものでない階級章が付いた軍服の雄複数が話を交わしていた。


「ピコ・フローレンスが軍刑務所から出所するようだ

 な?」


「はい、手続きが通常通り行われれば丁度一週間後に

 なります。」


「通常通り行われない可能性がある、と?」


「残念ながら。

 …手を回しますか?」


「いや、不要だ。

 我々が手を回さずとも手を回す者はいる。」


「では我々は関与しないと?」


「出所に関してはな…。

 これを見たまえ。」


「これは?

 ……………………、なんと!

 失礼しました。

 …この情報が確かであれば粛清隊案件ですが。」


「不確かな情報が“ここ”まで上がってくると?

 …実はこの件では、粛清隊にはまだ動かないように

 要請し既に受理されている。」


「当官にはこの件を見逃すリスクに対して利益が見

 出だせません。」


「確かに利益は可能性の段階だ。

 …しかし誤解があるようだ。

 我々は“まだ”動かないだけだ、この件は多大な利益

 が確定している。

 後はどれだけ利益を大きく出来るか、だ。」


「愚申、失礼しました。」


「気にするなとは言わん。

 しかしそれは視野を広く持てということだ。」


「はっ!」


「…君はもう少し肩の力を抜いた方がいい。」


「は。

 ピコ・フローレンスに関しては我々は監視を継続

 するということで宜しいですか?」


「ふむ…。

 ……いや、彼女の所属する隊に種を蒔け。」


「種…、というと彼を?」


「…まあ、彼が最適だろう。」


「しかし彼は少々危ういかと思われます。」


「ならば癖の強い新兵(ルーキー)を彼女らの担当

 に捩じ込め。

 それで多少の粗は消せる。」


「了解しました。

 …他に我々が動く案件はありますか?」


「今は以上だ、下がりたまえ。」


「は、失礼します。」


 


















~ピコ視点~


 いよいよ出所を明日に控え、わたしは刑務所での最後の晩餐を摂っていた。


「フローレンス、この後少し話せるだろうか?」


 するとそこへ、先に食事を終えたらしいジャクソンがやって来た。


「?…、勿論にゃ。

 少し待って欲しいにゃ。」


 わざわざ改めて約束を取り付けるジャクソンの行動を不思議に思うが、理由を聞き出す必要性を感じず、了承の返事をする。

 

「ああ、急かしたようだな。

 時間はそう取らない、喉を詰まらせんようにな。」


 皿に残っていた食事を掻き込み始めたわたしを見たジャクソンは、わたしに落ち着いて食事を摂るように言い残して配膳カウンターへと向かって行った。


(「食後の一杯(コーヒー)でもってにゃ?」)


(『わたしは甘いホットミルクがいいなぁ。』)


 どうやらジャクソンは気をつかって離れてくれたようだ。


((流石にこの量は噎せそうだったからにゃ。))


 全体の三分の一程残る食事を見て、無様を晒さずに済んだことに安堵し苦笑した。


………………………。

……………。

…。


 それから約5分後。


カチャ…


「ふぅ…、ご馳走さまにゃ。」


 最後の晩餐を完食し、一息つく。


「丁度良かった、…ついて来てくれ。」


 再び空のカップを持ったジャクソンがやって来て、わたしに食堂からの移動を促す。

 前を歩くジャクソンから漂う芳ばしい香りから、カップの中身がブラックコーヒーであったことが窺えた。


(『マル凄い!

 どうして分かったの?』)


(「…何となくにゃ、何となく。」)


(『へ~、そうなんだ?

 マルは勘がいいのね!』)


 シアはマルの言い分を信じたようだが、質問への解答に少し間があった。


((ボソッ…。))

(恐ろしく短い思考の間、わたしじゃなきゃ見逃して

 しまうにゃ。)


 大方説明が面倒になったとかの理由だろう。

 マルはシアに溺愛と言っていい感情を向けているが、かといって何でもかんでもシアを優遇するわけではなかった。

 相手に不快を与えず受け流す(すべ)は非常に参考になる。

 ……しかし何故だろうか?

 考えれば考える程上手く行く気がしないのは…。


「ここで良いだろう。」


 ジャクソンの声に、周囲へと注意を向ける。

 そこは運動場の片隅であった。

 昼間は植えられた木の葉が直射光を遮る人気の昼寝スポットだが、夜はライトの光が届かない薄暗い不気味スポットに変わっている。

 

(「ふぅん…、密談には最適にゃ。」)


 他者の気配の無さに、マルが感心したように不穏なことを言った。


「…さて、改まって言うのもおかしいが…。

 フローレンスは明日出所だろう?」


 内心どんな話を持ちかけられるか冷や汗をかいていると、そうジャクソンが話を切り出す。


「と言っても後三年は軍に縛られるけどにゃ。」


 そう言ったものの、実は問題に感じていない。

 ……まぁ、ミーコと再会していなければ退役したくて堪らなかったのであろう。

 そんなわたしの感情を何処からか読み取ったのか、ジャクソンは話を続ける。


「ここより自由であることには変わりない。

 …フローレンスにはガウルへ伝言を頼みたい。」


 ジャクソンの口から出た意外な名に驚愕するわたしを他所に、ジャクソンは伝言の内容を口にした。


「「貸しはまだ有効か?」」


 と。



次回から新章(予定)です!

次回は29日12時更新


いつも読んでいただきありがとうございます。


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